会長挨拶

第68回日本医真菌学会総会・学術集会
会長 杉田 隆
明治薬科大学 微生物学研究室 教授

杉田 隆

来たる2024年11月6日(水)~9日(土)、国立京都国際会館に於いて第68回日本医真菌学会総会・学術集会を開催させていただくこととなりました。本学による主催は第43回(1999年)の篠田孝子先生、第54回(2010年)の西川朱實先生に続き実に3回目となりますが、伝統ある本学会総会を担当させていただくことは大変光栄に存じますとともに、誠に身の引き締まる思いでございます。また今大会は、日本で初めて催されるアジア・太平洋医真菌学会・学術集会(APSMM)の第8回大会との共同開催という運びに相成りました。世界の医真菌学を牽引するアジア諸国から医真菌学研究の先駆となる多くの研究者が一堂に会し研究交流の機会がもてますことは大変嬉しく感慨深いものがあり、この大会が有意義なものとなるよう鋭意努力して参る所存です。

今回、大会テーマを「医真菌学を編む」といたしました。編み物は、一本の糸だけで編むより二本、三本と複数の糸を掛け合わせることにより多様な形が形成され魅力的な作品が生まれます。途中で糸を足して編むこともできますし、色を変えれば彩りも加味され、編み込みの過程でやり直したいと思えばその糸を解き、また編み直して新たな形につくりあげることも可能です。翻って私たちの研究もまさに「編む」日々なのではないでしょうか。一つの視点や見解、結果だけではなく先人たちの研究成果や知見が相互に重なり合い、掛け合わさり、絡まったら解かれ、また編み上げられて今の医真菌学へと発展してきたことは自明の理です。かつての問いや疑問は周知の事実となり、新しい発見や謎、問題・課題が次々と創出される日々。世界中が混沌とした激動の情勢にありながらも、科学や医療の弛みなき成長は留まることを知らず加速度を増し続けている現代社会です。そのような今だからこそ、この複雑で多様に絡み合う医療環境や社会体制を様々な視点から多角的に解きほぐし、柔軟な発想を掛け合わせ、次代へ絆ぐ未来の医真菌学研究の礎を皆様と編み上げたいと思いこのようなテーマを掲げさせていただいた次第です。医真菌学研究の未来には、いまだ広大無辺な未踏の領域がその開拓の時を待っている可能性を多分に秘めています。本大会が、国境を超え、世代を受け継ぎながら、さらなる医真菌学発展のための学術的研鑽と研究交流の端緒となることを願ってやみません。

秋深まり山装う錦秋の京都の地で、活発で実りある彩り豊かな時間をともに編むことが出来れば幸甚です。一人でも多くの皆様のご参加を衷心よりお願い申し上げます。

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