第25回日本分子脳神経外科学会
会長 藤村 幹
(北海道大学大学院医学研究院 脳神経外科学教室 教授)
このたび、第25回日本分子脳神経外科学会を、2025年7月25日(金)・26日(土)の日程で開催させていただきます。会場は札幌市の中心部に近いホテルグランドメルキューレ札幌(旧ロイトン札幌)で現地開催の予定です。本会の前身である「脳と免疫」研究会を母体に1999年日本分子脳神経外科研究会として設立され、2001年には日本分子脳神経外科学会として発足して以来、日本の脳神経外科領域の基礎研究・トランスレーショナルリサーチを牽引してきた伝統ある本会の運営に携わる機会をいただき、教室員一同大変光栄に存じます。
本会のテーマは「分子が奏でる脳神経外科:課題と展望」とさせていただきました。脳腫瘍や再生医療の分野のみならず脳血管障害や機能的脳神経外科領域においても分子生物学は基礎研究から実臨床におよぶ広い分野において大きな役割を果たすようになりました。脳血管障害領域を一例にしますと、もやもや病の疾患感受性遺伝子RNF213の発見を契機に、本遺伝子変異がもやもや病のとどまらずアジア人特有の頭蓋内動脈狭窄において血管病態を規定する重要な役割を担っていることが明らかとなりました。今回は海外招待講演として韓国Samsung Medical CenterのOh Young Bang教授よりもやもや病の分子病態についてご講演いただきます。また東京慈恵会医科大学薬理学講座の青木友浩教授からは、RNF213遺伝子欠損動物等を用いた脳動脈瘤病態解析に関する教育講演をいただく予定です。そして脳腫瘍に関しては、北海道大学病理学教室の田中伸哉教授より「HARP現象の発見とハイドロゲルを用いた膠芽腫幹細胞の創出」と題した特別講演をいただく予定です。
本会においては、脳神経外科領域において不可欠な役割を担うようになった分子生物学・細胞生物学分野における研究成果を総括し、各分野における未解決な課題を明らかにした上で近未来への展望についての討議を皆様と深めたいと思います。さわやかな初夏の札幌にて、多くの先生方のご参会と活発なご討議を心よりお待ち申し上げます。
© 2024 The 25th Annual Meeting of the Japan Society of Molecular Neurosurgery