第66回日本小児血液・がん学会学術集会
会長 足立 壯一
滋賀県立総合病院 総長・病院長
京都大学 名誉教授
皆様、こんにちは、第66回日本小児血液・がん学会学術集会を担当いたします足立です。
2023年6月まで、4年間JCCG(日本小児がん研究グループ)理事長として、皆様には大変お世話になり、改めて深く感謝申し上げます。京都での開催は、細井創先生が開催された2018年以来となりますが、2004年に杉本徹先生の小児がん学会、中畑龍俊先生の小児血液学会の合同開催を京都府立医科大学、京都大学で合同開催させていただいた折の事務局の一員として、感慨深く思い出しております。
本学会のテーマは、‘Always with youがんの子どもに寄り添う臨床と研究’とさせていただきました。ご存じのように、本学会で取り扱う疾患は、白血病や悪性リンパ腫、組織球症などの血液腫瘍疾患、脳腫瘍、神経芽細胞腫、胚細胞腫瘍、肝腫瘍、軟部腫瘍、骨腫瘍、腎腫瘍、網膜芽細胞腫などの固形腫瘍疾患からなる悪性腫瘍疾患だけでなく、血友病、再生不良性貧血、血小板減少症、好中球減少症などの非腫瘍性疾患、遺伝性骨髄不全、原発性免疫不全症なども含まれます。治療においては、まさにチーム医療が重要であり、小児内科、小児外科、脳神経外科、整形外科、泌尿器科、眼科、病理診断科、放射線治療科、放射線診断科、緩和医療科、麻酔科、遺伝科などの大きなチームが必要です。医師以外の多くの医療専門職(看護師、理学療法士、作業療法士、心理療法士など)が、小児がん患者さんの治療と長期フォローアップには必須であり、患者さんたちの教育環境も重要な課題です。第22回日本小児がん看護学会は、私が京都大学医学研究科人間健康科学系専攻教員時代に、一緒に京大小児科長期フォローアップ外来をしてくれていた、松岡真里先生(現、三重大学教授)がしてくださることになり、第29回がんの子どもを守る会公開シンポジウムは、小児がん対策国民会議をともに立ち上げていただいた山下理事長にお願いしています。小児がん看護学会との合同シンポジウムは、「小児がん患者の長期フォローアップ」会長要望シンポジウムは「AYA世代に対する臨床研究」を予定しています。このような大きな学会を支えていただくため、今回、副会長をお願いしております、京都大学小児科滝田順子先生と、ご相談させていただき、京都府立医科大学小児科、小児外科、京都大学小児外科、滋賀医科大学小児科、京都市立病院、大津赤十字病院の先生方にも、現地委員会として、ご参加いただけることになりました。
前回の北海道での学術集会同様に、チャリティラン、懇談会、コンサート等の催しを対面で行い、教育講演はオンデマンド配信として、多くの学会員の皆様と、会場でお会いしたいと思います。12月の京都は少し寒いかもしれませんが、熱い議論が会場で行われることを祈念しています。
第22回日本小児がん看護学会学術集会
会長 松岡 真里
三重大学大学院医学系研究科
看護学専攻 小児看護学分野 教授
この度の学術集会のテーマは、「Always with You〜がんの子どもに寄り添う臨床と研究」です。近年、小児がんの診断を受けた子どもの長期生存が可能となり、これは、医学の進歩、すなわち研究成果が子どものいる臨床に届いているからに他なりません。一方、小児がんの診断を受けた子どもは、治療によるさまざまな副作用や晩期合併症など身体的な苦痛だけでなく、心理・社会的な苦痛も経験していることが考えられます。子どもが治療を受ける毎日の生活の中で、少しでも安楽にその子どもらしく過ごし、成長発達を遂げること、そして、小児がんを経験しても、あるいは経験したからこそ、その先の人生を「自分」として健やかに生きることができるように、質の高いケアを届けることが、小児看護の大きな役割です。質の高いケアは、臨床での経験知とともに、研究的な取り組みによる最新の知見があってこそ導かれます。今回のテーマは、まさに、治療を受ける子ども、そしてその家族の最も近くにいる看護師のありようを示すものであり、今後さらに求められる小児がんの子どもの看護のあるべき姿だと考えています。
もう一つ、質の高いケアを子どもに届ける上で大切なことがあると考えています。それは、ケアを提供する私たち自身も安寧であることです。今回の学術集会で、新たな知見・知識を学び、同じ志をもつ仲間と出会い、語り合い、つながることで、参加されるみなさまが元気になって、日々の実践や研究や教育の場に戻ることができるようプログラムを計画して参りました。
現在、三重と近隣の大学や病院でご活躍されている方々に現地プログラム委員となっていただき、準備を進めております。看護シンポジウムは「こどもとの対話~本当のこどもの「こえ」を聴けていますか~」とし、シンポジウムに先立ち『小児がん病棟の子どもたち』の著者である田代順先生の基調講演を企画しました。特別講演は、京都大学大学院人間・環境学研究科の佐藤泰子先生に「忠犬ハチ公はなぜ待ち続けたのかー生きる意味は誰かとの間(あわい)にー」というテーマでお話いただきます。また、日本小児がん看護学会国際交流委員会企画の国際セミナーを、学会の教育講演と位置づけ、小児がんの子どもと家族とのコミュニケーションや終末期の意思決定研究の第一人者であるDana-Farber Center InstituteのJennifer W. Mack博士に、小児がんの子どもの終末期の協働意思決定についてご講演いただきます。そして、「また明日からがんばろう」とエネルギーを溜めることができるような参加型プログラムとして、「日々のもやもや、何とかしたい!看護師の声、出し合いませんか。~リサーチカフェにおこしやす~」を学術検討委員会とともに企画しました。その他、学会委員会企画や日本小児血液・がん学会、がんの子どもを守る会ととともに、魅力あるプログラムを計画しております。
今回の学術集会は、対面とオンデマンド配信とさせていただいております。ご参加いただいたみなさまに、刺激的で、かつ、温かさが感じられるとともに、「参加してよかった」「京都に来てよかった」と思って頂けるようなプログラムを準備しております。
歴史ある京都でみなさまにお会いできますことを楽しみにしております。
第29回公益財団法人がんの子どもを守る会
公開シンポジウムの開催にあたって
第29回公益財団法人がんの子どもを守る会
公開シンポジウム
理事長 山下 公輔
公益財団法人 がんの子どもを守る会
公益財団法人 がんの子どもを守る会では、長年に亘り「日本小児血液・がん学会学術集会」並びに「日本小児がん看護学会学術集会」の場で、公開シンポジウムを開催させていただいております。第29回となります本年も、これまで同様に三団体合同の形で2024年12月15日(日)に国立京都国際会館にて開催する運びとなりました。
私たちがんの子どもを守る会は、1968年の設立以来現在に至るまで変わること無く、小児がん医療に関わる医師・看護師の方々をはじめ多くの医療者の皆様と手を携えて小児がん患児・家族に対する支援の活動を展開して参りました。その中でも本公開シンポジウムを含めた学術集会の場に参加させていただいての催しは、小児がん医療界と患児・家族の協働の象徴と考えております。
第29回となる本年の公開シンポジウムは、両学術集会のテーマ「がんの子どもに寄り添う臨床と研究」を共有し、「子ども達にとっての最善の療養環境とは?」をテーマとして開催致します。
小児がん治療の考え方の基本は、患児を中心にして医師、看護師、医療職、家族、更には外部の教育者や社会の関係者が総合的に関わる「トータルケア」です。本公開シンポジウムでは「トータルケア」の輪の中心に位置する患者(子ども)に焦点を当て、基調講演に国連の「子どもの権利委員会」委員をつとめられている大谷美紀子弁護士をお迎えし、子どもの権利についての基本的理解を共有したうえで、医師、看護師、親そして当事者である経験者などの方々を演者に迎えてディスカッションを進めます。急速に進歩している小児がん医療のレベルと共に、子ども達を取り巻く療養環境が更に良くなっていくための理解を、参加の皆様と共有出来ればと願っております。
また、公開シンポジウムの他にも、既に学術集会期間中の恒例行事となっております、子ども達の絵画展、当会の治療研究助成の成果報告、そして世界遺産の二条城周辺でのチャリティー・ランなどの催しも、両学会のご支援をいただきながらこれまで同様に開催いたします。
当会が、こうして両学会学術集会の場で公開シンポジウムはじめとしたプログラムを継続的に開催することができますのも、ひとえに両学会をはじめ多くの皆さまの長年のご指導・ご鞭撻の賜物と考えております。この場をお借りして足立会長、滝田副会長、松岡会長をはじめとした関係の皆様に御礼を申し上げると共に、公開シンポジウムその他のプログラムへの皆様のご参加を心よりお待ちしております。
© 2023 日本小児血液・がん学会学術集会 2023-2024年度学術集会