第30回日本病態プロテアーゼ学会学術集会
会長 梶山 広明
(名古屋大学大学院医学系研究科 産婦人科学 教授)
この度、第30回日本病態プロテアーゼ学会学術集会を担当させていただくことになり、謹んでご挨拶申し上げます。本学会は、臨床・基礎・企業の研究者が垣根を越え、プロテアーゼやそのインヒビターに関する研究成果を共有し、明日の研究活動に繋がる新たな発見と議論の場を提供することを目的としております。今回で30回目という節目を迎える本学術集会を、2025年8月8日(金)・9日(土)の2日間にわたり、ウインクあいちにて開催いたします。
今回の学術集会のテーマは「いきる・いかすメカニズム」です。このテーマには、プロテアーゼが生命現象を支える基本的な仕組みとして果たしている役割を改めて見直し、その知見をもとに新たな治療法や診断法へと繋げていく意義を込めました。
私とプロテアーゼとのご縁は、当時名古屋大学産婦人科教授であられた水谷榮彦先生のご指導を受けたことに始まります。私の学位論文では、卵巣がんにおけるDPP IV(ジペプチジルペプチダーゼ4)の機能解明をテーマとして取り組みました。この研究は、私のがんの転移や進展のメカニズムを探求する一連の研究に発展し、現在でも研究の根幹たるテーマの一つとなっています。
第30回の記念企画として、学会創成期から長年にわたり運営に携わってこられた名古屋大学名誉教授の水谷榮彦先生、学会理事長で名古屋市立大学教授の尾崎康彦先生、そして私梶山の3名で、これまでの学会の歴史を振り返る特別講演を企画しております。学会の発展にご尽力いただいた諸先生方の貴重なエピソードを通じて、次の世代に繋がる知見を共有できればと考えております。
また、特別講演には名古屋大学医学部分子腫瘍学教授の鈴木洋先生をお招きし、たんぱく質の凝集と遺伝子制御メカニズム解明という最前線の研究についてご講演いただきます。この分野の第一人者の鈴木先生による講演を、皆様と共有できる貴重な機会となることを心より期待しております。
さらに、シンポジウム、ワークショップ、一般演題では、最新のプロテアーゼ研究に関する成果を広く議論していただく予定です。優れた発表には奨励賞という形で若手研究者の支援にも力を注ぎたいと考えております。
プロテアーゼ研究のさらなる発展に向けて、学会参加者の皆様とともに熱い議論ができることを楽しみにしております。本学術集会が、研究者間の交流と新たな発見の場となるよう、全力を尽くして準備を進めております。皆様の積極的なご参加を心よりお待ち申し上げます。
2024年12月吉日
©2024 The 30th Annual Meeting of the Japanese Society for Proteases in Pathophysiology