第20回 肝癌治療ナビゲーション研究会 当番世話人:南 康範 近畿大学医学部 消化器内科 |
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このたび、第20回肝癌治療ナビゲーション研究会を2026年(令和8年)8月29日(土)に大阪で開催する運びとなりました。
本研究会は2003年から始まった“肝シミュレーションソフト”の研究会を前身とし、第1回として2006年に肝シミュレーション研究会、2007年からは肝癌シミュレーション研究会との名称で始まりました。当初、シミュレーションは本会の柱となるテーマでしたが、やがて画像支援の進化は治療中のナビゲーションへと発展を遂げ、その臨床的意義が増していきます。そして、2019年に肝癌治療ナビゲーション研究会と発展的に改名され、今回で第20回の節目を迎えます。
本研究会では現在に至るまで肝癌に対する外科切除・アブレーション・TACEのシミュレーションからナビゲーションにおける新たな着想や技術の共有を積み重ねて参りました。特に、外科領域では開腹手術から低侵襲な腹腔鏡下手術やロボット手術へと進化しており、ICG蛍光法やプロジェクションマッピングは必要不可欠な画像支援です。内科領域ではアブレーション治療における造影超音波やフュージョン画像の工夫によって局所制御が向上しています。放射線領域では3D-DSAやライブ3Dナビゲーション等によって腫瘍栄養血管の同定を効果的に行えます。また、AI技術の発展や新たな腫瘍免疫薬の登場は肝癌診療において大きなインパクトを与えています。これら各領域の発展を受け、本会のスローガンを「Precision Strategies」と致しました。プログラムでは、各領域のトップランナーによる精緻な肝癌治療を実施するために心掛けている戦略を披露して頂きます。さらに、肝癌薬物療法の組み合わせとその有害事象の対応も重要なテーマと掲げました。
昨今では医療の高度化・専門化が進む状況の中で、外科医・内科医・放射線科医が領域横断的に集う本会の在り方は非常にユニークで、貴重な学びの場であると私は感じています。ここ大阪の地で肝癌に関わる専門家・研究者が一堂に会し様々な討議を重ねることで、新たなインスピレーションが湧き上がることを願っています。
残暑厳しい時期ではありますが、大阪にて多くの皆様と再会できるのを心待ちすると共に、実り多き研究会となることを祈念致します。
2025年9月吉日