会長あいさつ
GREETINGS
内科学講座 消化器内科部門 主任教授 Professor and Chairman, Division of Gastroenterology,
Department of Medicine, Kurume University School of Medicine.
このたび第12回肝臓と糖尿病・代謝研究会の会長を拝命致しました。本研究会は2014年より日本肝臓学会と日本糖尿病学会が共同運営しており、歴史ある本研究会を担当させていただけることを大変光栄に存じております。今回、Niigata Liver Symphonyの一環として本会を2026年6月20日(土)にホテル日航新潟にて開催いたします。多くの会員の皆様が会場にお越しいただけることを願い、医局員一同で力を合わせて鋭意準備を進めております。
肝疾患、特に脂肪性肝疾患と糖尿病はしばしば併発するだけでなく、肝がんや肝硬変は糖尿病患者の重要な死因であることが報告されています。これまで日本糖尿病学会と日本肝臓学会はこの問題に取り組み、肝線維化指数FIB-4 indexが糖尿病患者における肝発がんの危険因子であることを両学会の共同声明として発表してまいりました。また、日本肝臓学会は2023年に「奈良宣言」を発表し、ALT値が30 U/Lを超える方からの肝疾患の拾い上げについて、啓発活動を行っています。奈良宣言により、肝線維化マーカーや超音波エラストグラフィーといった非侵襲的検査を介して診療連携が進み、慢性肝疾患の早期発見と治療につながると考えられます。
近年、脂肪性肝疾患の新基準MASLD(代謝異常関連脂肪性肝疾患)が提唱されました。そして、様々なガイドラインにおいてMASLDに併発する2型糖尿病、脂質異常症、肥満症に対する治療が推奨されています。このように、「肝臓・糖尿病・代謝」は密接に関わり合っており、包括的にMASLDの治療を行うことが重要視されています。さらに、B型・C型肝炎の制御が可能となった現在、MASLDや糖尿病はHBV/HCV関連肝発がんのリスクであることが示され、代謝性疾患はウイルス性肝疾患患者のマネージメントにおいて更に重要視されてくると思われます。本研究会で様々な分野の知見が融合し、さらに発展することを祈念して、テーマを「Harmony」と致しました。
本研究会では、「肝臓」、「糖尿病」、「脂質代謝」、「肥満」、「ウイルス」、「がん」などを包括的に議論し、最先端の知見を共有する場にしていく所存です。実りある研究会にしたいと考えておりますので、皆様方のご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。