ご挨拶

第26回日本脳神経減圧術学会
会長 田辺英紀
町田脳神経外科/梅田脳脊髄神経クリニック 理事長

町田脳神経外科/梅田脳脊髄神経クリニック 理事長

 この度、2024年2月に札幌で開催される第26回日本脳神経減圧術学会の会長を努めさせて頂くことになりました。私とこの手術との出会いは、北野病院の研修医1年目の1984年9月に近藤明悳先生が北野病院に赴任された時に始まります。自身の脳外科医としての原点であり、歴史そのものでもある本手術の学会を、脳外科医となって40年目となる2024年に開催させて頂くことは、この上なく光栄であると同時に大変有難く思っています。
 その自身の脳外科医としての集大成の意味と、open microsurgeryの今後の流れの中での、この手技の維持発展の願いを込めて、「手術手技の標準化と若手術者の育成」を今回の学会のテーマとしました。
 本学会は機能脳神経外科の一つとして日本てんかん学会、日本定位・脳神経機能外科学会と同時開催されるようになりましたが、学会となる前の研究会時代には日本脳神経外科学会総会の前日に開催され、本手術の技術的な本質はvascular microsurgeryである故にvascular/
skull base tumorの術者も参加しやすい日程でした。しかしながら今日ではopen vascular microsurgeryはIVRに置き換わりつつあり、その傾向はより顕著になるでしょう。果敢に攻めていたskull base surgeryも定位放射線手術との併用で非侵襲的手技に流れていきます。となれば、本手術は将来最後に残るべくmicrosurgeryと言えますが、施設数に比べて多い手術ではなく、この手術手技の継承、発展には技術の習得、経験を共有するシステムが必須です。
 その意味で2年前より本学会では技術認定医制度なるものを作って、本手術手技の標準化を目指しましたが理由あって思うように進んでいません。そこで今回、エキスパートには若手の術者育成を目的とした手技の標準化に関する演題を、若手術者にはエキスパートからの批評を恐れることなく自身の手術を遠慮なく多くご発表頂くことで、本学会が将来に向けてより意義あるものになればと思っています。
 自身の記憶にも残る1998年に第1回が札幌で開催されて以来初めてとなる札幌での開催です。きれいな雪景色の寒い中でしょうが、お互いに顔、声を生で感じての熱い、盛んな会になるよう、皆さまのご協力を何卒宜しくお願いします。

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