会長挨拶

第12回肩の運動機能研究会
会長 村木 孝行
東北大学病院リハビリテーション部
東北大学大学院医学系研究科肢体不自由学分野

肩の運動機能研究会が日本肩関節学会のご厚意で開催されるようになってから今年で12回目となります。発表演題数が42題であった第1回から年々発表演題数および参加者は増加し、今回では発表演題数が182題と過去最高を更新しました。世界的に見て、肩関節学会と併催されるコメディカル主体の会には国際肩肘セラピスト学会やヨーロッパ肩肘リハビリテーション研究会などがありますが、これほどの演題が集まる大きなパワーを持った会は他に類を見ません。そのような会を仙台で開催させていただくことにこの上ない喜びを感じております。

一方、今年で12年目を迎えるということは、干支でいえば一回りする最後の年になります。今回が一区切りとなり、これからまた歩み始めることができるよう原点に立ち返って本研究会では会の名称にもある「肩の運動機能」に焦点を当てていきたいと思います。「肩の病態解明を目指して」が第42回日本肩関節学会のテーマとして掲げられておりますが、それに倣って、肩関節の病態とそれに関連する肩及び全体の運動機能障害について議論を深めていきたいと考えています。

当研究会単独で行うシンポジウムでは「腱板断裂症例における機能障害」と題し、研究及び臨床で最前線を走られている5名の先生方にそれぞれの視点から見た腱板断裂症例の機能障害について挙げていただき、整理していきます。また、野球などのスポーツで多く見られる投球障害肩は保存療法が奏功することが認知されてきましたが、すべてが改善するわけではなく、不明なことがまだまだ多い肩関節障害です。そこで今回は日本肩関節学会と合同で行う合同シンポジウムで「投球障害肩の病態と機能障害、治療」と題して医師3名、理学療法士3名の先生方に投球障害肩に見られる病態とそれに関連する機能障害について提示していただき、聴衆を含めた活発な議論からより効果的な治療への道標が生まれることを期待しております。

招待講演ではイギリスの理学療法士であるJeremy Lewis先生に講演をお願いしました。Lewis先生には腱板の病態と治療についてヨーロッパでの傾向も含めてお話ししていただきます。また、国内からは冨田昌夫先生、柿崎藤泰先生にご講演をお願いしております。冨田昌夫先生には知覚循環に基づいた肩関節へのアプローチについて、柿崎藤泰先生には肩の運動機能における胸郭の関わりについてお話ししていただきます。いわゆる“整形外科領域の肩関節”だけではなく、一歩引いた広い視点から肩関節の運動機能を見つめ直すきっかけをいただきたいと思います。

東北での日本肩関節学会・肩の運動機能研究会の開催は2011年の東日本大震災以降は初めてとなります。肩に関する熱い議論が展開されることもそうですが、秋の仙台を堪能していただいたり、被災地へ訪れたりしていただくなど、皆様のご来仙が仙台ならびに東北の復興および活性化に勢いをつけいただけるかと確信しております。仙台で皆様とお会いできるのを心よりお待ちしております。

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