会長挨拶

第76回日本胸部外科学会定期学術集会 統括会長

東北大学大学院医学系研究科 心臓血管外科学分野

齋木 佳克

齋木佳克

この度、第76回日本胸部外科学会定期学術集会の統括会長を拝命し、2023年10月19日(木)より10月21日(土)まで 、仙台国際センター(宮城県仙台市)において開催させていただくことになりました。このような機会を与えていただきましたことを大変光栄に存じます。

今回のテーマは『“Harmonization”(調和)と“Co-Creation”(共創) -to go one step further-』と設定しております。呼吸器分野会長の札幌医科大学 渡辺敦先生と食道分野会長のがん研究会有明病院 渡邊雅之先生と協働しながらしっかりと準備を進める所存です。胸部外科3分野の領域を跨いで、また、それぞれの領域内でも垣根を取り払い、問題意識を持っている共通の課題について皆で一緒に頭を突き合わせ、データを持ち寄って議論を積み上げることで、胸部外科学を一歩でも前に押し進められるような学術活動の場を共に創る会としたいと考えております。

そのために多くの課題の中からある程度絞られた検討課題を設定し、深い議論を行うことで一つでも問題がクリアになることを企図し、未解決問題を抽出し、具体的なClinical Questionを提示することでその課題や命題に解答を導き出せるような研究方法と計画を考えて頂き、その成果を集積させられることを期待しています。

昨今の特異な感染症の長期的蔓延により学術集会に大きな転換期が訪れましたが、2022年の第75回大会で3年ぶりにオン・サイトの学会が開催され、皆様方と再会しイン・パーソンで議論を深めることの大切さを再認識することができました。2023年にはさらに充実した議論をすることができるよう、学術集会の原点とは何かを自問し、皆様と共に意義を再考し、本質的に重要な活動を中心に据えて学術集会を成功に導きたいと存じます。

秋深まる杜の都仙台は紅葉と緑のコントラストが大変美しい見ごたえのある季節となりますので、この地で皆様にお会いできることを心から楽しみにしております。

第76回日本胸部外科学会定期学術集会 分野会長(呼吸器)

札幌医科大学 呼吸器外科

渡辺 敦

この度、第76回日本胸部外科学会定期学術集会分野会長(呼吸器)を拝命いたしました。日本胸部外科学会は1948年に創立されており、歴史・伝統と8000名を超える学会員を有しております。本学会の定期学術集会分野会長を務めさせていただくこととなり、大変光栄に存じるとともに、その重責に身の引き締まる思いでおります。統括会長の齋木佳克先生のもと、食道分野会長の渡邊雅之先生と協力しながら、盛会で有意義な学会となるように企画、準備を進めております。

周知の通り、日本胸部外科学会は胸部に存在する心臓血管、呼吸器、食道領域の医療を扱う外科が各専門分野を生かしながら統合的かつ有機的に各々の領域と横断(統合)領域の向上発展に寄与することを目的とした学会と承知しております。本学術集会におきましては、各々の垣根を越えて活発なご発表、ご議論を頂くことを強く希望いたします。それらの行為が、本会の目的達成の原動力になることを信じて疑いません。

本学術集会の企画に際しは、上級セッションに関しては従来のセッションテーマの設定とともに、明確なClinical Question(CQ)を設定しました。これらのCQに対する解答を明らかにする、あるいは解答に可能な限り近づくような研究の登録をお願いしております。研究設定、データ収集などに時間を要することを考慮し、セッションテーマ、CQ、セッションの概要を、これまでより、早期に発表させて頂きました。呼吸器領域では、「非小細胞肺癌に対する縮小手術の適応」、「ドナー因子と肺移植成績」「ICI時代の悪性胸膜中皮腫の集学的治療」「低侵襲呼吸器外科手術のベストプラクティス」などの9つの上級セッションを設定しました。いずれも、現下において解決すべき問題を含むテーマでその設定CQの解明に寄与するものと考えています。

我が国の呼吸器外科から発信された臨床研究、2cm以下の早期肺癌に対する肺葉切除と縮小切除の比較(肺野末梢小型非小細胞肺癌に対する肺葉切除と縮小切除:JCOG0802 /WJOG4607L)の結果が2022年4月にLancetに掲載され、縮小手術の存在感が増しているような状況となっています。さらに呼吸器分野でも、集学的治療の進歩と相まって、肺癌のみならず胸部進行悪性腫瘍に対しての術前・術後非外科的治療、拡大手術が行われております。また、低侵襲手術も多孔式胸腔鏡手術から単孔式胸腔鏡手術とロボット支援下手術へと2方向への流れが見られています。このような状況下で呼吸器外科領域はもとより横断的領域においても活発なご議論を頂き参加される皆様にも有意義な学術集会となるようご協力頂ければ幸いです。

最後になりますが、学術集会の企画運営に関わって頂いた役員、プログラム委員、事務局、運営会社の皆様はもとより関係された皆様に、心より感謝申し上げます。2023年紅葉の始まる仙台で、皆様のご参加をお待ちしております。

第76回日本胸部外科学会定期学術集会 分野会長(食道)

公益財団法人がん研究会有明病院 食道外科

渡邊 雅之

この度、第76回日本胸部外科学会定期学術集会分野会長(食道)を拝命いたしました。歴史と伝統ある本学会の分野会長を務めさせていただくこととなり、大変光栄に存じるとともに、重い責任を感じております。統括会長の齋木佳克先生を補佐し、呼吸器分野会長の渡辺敦先生と力を合わせて、有意義な学会となるように準備を進めて参りたいと存じます。

心臓血管外科、呼吸器外科、食道外科の3分野が一堂に会する日本胸部外科学会の特長を生かして、3分野会長で相談の上、領域横断的なテーマを設定いたしました。領域を跨いだ、垣根のない議論をすることで、各領域単独の学会では得られない新たなものの見方や考え方が生まれることを期待しています。

各領域において未解決の問題を抽出し、具体的なClinical Questionを提示することで課題や命題に解答を導き出せる学会にしたいという、齋木統括会長の大方針に従い、食道領域における上級演題を以下のように設定いたしました。ビデオシンポジウムとして「cT3br、cT4局所進行食道癌に対する低侵襲手術の妥当性」、パネルディスカッションとして「食道癌術後再建法と長期的なアウトカム」、ワークショップとして「術野内再発を考える」「食道癌手術の周術期管理を考える」、ディベートとして「サルベージ手術におけるリンパ節郭清;郭清は必要か」としております。各施設で十分に準備されたデータをもとに、深い議論が展開されることを願っております。

食道癌治療は本格的な集学的治療の時代を迎え、腫瘍内科医や内視鏡医、放射線治療医等の多職種を含めた議論がなされる機会が多くなりました。一方で、食道外科に特化した、外科的な手技や管理を中心とした議論の場が相対的に減っているのも事実です。秋の仙台で、食道疾患の外科治療について徹底的に議論する機会となればこれに勝る幸せはありません。多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。

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