会長挨拶

香取幸夫

第75回日本気管食道科学会総会ならびに学術講演会
会長 香取 幸夫(東北大学耳鼻咽喉・頭頸部外科 教授)

このたび令和6年10月15日(火)、16日(水)に第75回日本気管食道科学会総会ならびに学術講演会を仙台市において開催します。伝統ある本学会の総会会長を拝命しましたことに、さらに本来2022年秋に仙台で開催すべきところを、Covid-19の感染拡大初期の影響により、3年後に延期することをご容認いただきましたことに、会員ならびに役員の皆さまに心より感謝を申し上げます。

今回の学術講演会は「多領域で導くQuality of Survival」をテーマに掲げ、気管食道領域の患者さんの救命・延命とともに、生活の質を良好に保つ治療について実際の臨床現場に活かす討議を進めてまいります。日本気管食道科学会が扱う食道・気管・咽頭喉頭といった臓器は、呼吸、摂食嚥下、音声の機能を担い、桑野博行顧問(第11代理事長)のお言葉を引用させていただきますと「命の入口、心の出口」に相当します。この重要な器官の治療開発に学際的に取り組むことを課題とし、主管する東北大学では耳鼻咽喉・頭頸部外科の香取幸夫(会長)と、総合外科の亀井尚教授(本学会理事)、消化器内視鏡センター長の小池智幸先生(本学会評議員)が協働して多くの領域の治療者が一同に聴講し得るプログラムの作成を進めています。

特別講演では東北大学医工学研究科の西條芳文研究科長に専門とされる超音波検査に関してお話しいただきます。気管食道領域ではまだ適応の少ない超音波検査を今後どのように臨床に応用していくかを学ぶ契機にしたく存じます。シンポジウム等の特別プログラムでは、気管食道領域の機能温存に資する手術治療ならびに周術期のリハビリテーションと栄養管理に焦点をあてるとともに、嚥下障害、音声障害、睡眠治療に関するプログラムを計画しています。従来の学術講演会より会場数を少し減らして、一会場あたりの参加者を増やすとともに、ポスター会場を設置して初日の夕方に飲み物を片手にディスカッションできる機会を持つ予定です。

また今回の学術講演会では、気管食道科専門医の更新に必要な単位を取得できる講習を含めて、特別講演やシンポジウムをWebでオンデマンド配信いたします。魅力的なプログラムの配信に努めてまいりますので、日程の都合等で現地参加の難しい会員の皆さまには、Webでご参加いただけますと幸甚です。また現地参加の方々におかれても、時間が重複して聴講が難しかったプログラム等を後日ゆっくりと聴いていただきたく存じます。

東北地方では平成27年に大森孝一会長が福島市で開催して以来、9年ぶりの開催となります。10月中旬の仙台は紅葉にはまだ早いものの、秋の穏やかな陽ざしと山海の恵みが訪れ、素敵な季節に包まれます。学会前日の月曜日は祝日にあたりますことから、参加者の皆さまには学会前から期間中にかけて宮城をはじめとした東北地方をご散策いただき、学術集会では多領域にわたる会員の交流と熱いディスカッションがなされることを望んでおります。どうか多くの皆さまのご参加をお願い申し上げます。

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