プログラム

美⽢レクチャー(⽇本⼼臓財団美⽢基⾦) 英語

演者: Bernard De Bruyne Cardiovascular Center Aalst, AZORG, Belgium/University of Lausanne, Switzerland

真下記念講演 日本語

演者: 宮脇 敦史 国立研究開発法人 理化学研究所 脳神経科学研究センター細胞機能探索技術研究チーム/光量子工学研究センター生命光学技術研究チーム

特別招請講演 日本語

演者: 川上 英良 大阪大学 先端人工知能(AI)医学/千葉大学国際高等研究基幹 人工知能(AI)医学

プレナリーセッション

プレナリーセッション 1 英語

PL01

Arterial calcification and calcified nodule

座長: 中澤 学 近畿大学 循環器内科

座長のことば

動脈石灰化は、加齢、慢性腎臓病、糖尿病、炎症、脂質異常など多様な因子を背景として進展し、冠動脈疾患、末梢動脈疾患、大動脈弁狭窄症など幅広い循環器疾患の病態に深く関与している。特に冠動脈インターベンション領域においては、高度石灰化病変はデバイス通過困難、ステント拡張不良、再狭窄、血栓性イベントなどの主要な要因となり、現在もなお治療成績を左右する重要な課題である。
一方、石灰化は単なる受動的な変性過程ではなく、炎症、細胞死、骨芽細胞様分化、細胞外小胞、血栓形成、血管修復反応などが複雑に関与する能動的な生物学的現象であることが明らかになってきた。さらに、calcified nodule は急性冠症候群の原因病変の一つとして注目されており、病理学的特徴、血管内画像所見、臨床的意義、そして至適治療戦略について、いまだ多くの未解決課題が残されている。
本プレナリーセッションでは、動脈石灰化および calcified nodule をテーマに、病理、血管内画像、臨床研究、インターベンション治療の各視点から、第一線で活躍する国内外の専門家に最新の知見をご講演いただく。各演者には、自らの研究データに加え、現状の課題と今後の展望についても概説いただく予定である。本セッションが、動脈石灰化の病態理解を深め、将来の診断・治療戦略を考えるうえで有意義な機会となることを期待している。

プレナリーセッション 2 英語

PL02

State-of-the-Art Guidance of Coronary Revascularization
-Physiology and Imaging-

座長: 松尾 仁司 岐阜ハートセンター 循環器内科

座長のことば

冠動脈疾患に対する血行再建治療は、大きな変革の時代を迎えています。従来、PCIやCABGの適応決定は冠動脈造影による解剖学的評価が中心でしたが、現在では虚血や血流障害を評価するPhysiologyと、血管構造やプラーク性状を把握するImagingを統合したアプローチが求められています。さらに、CT技術やAIの進歩により、診断から治療戦略立案、予後予測に至るまで、冠動脈診療は新たな段階へ進化しつつあります。
本セッションでは、冠血行再建ガイダンスの最前線をPhysiologyとImagingの両面から俯瞰します。Pressure wireによる生理学的評価に加え、近年急速に発展しているAngiography-derived physiologyなどのnon-wire based physiology、さらにIVUS・OCTによる画像ガイド治療、CTを活用したPCI・CABG戦略、AIやVirtual Realityを用いた次世代の血行再建支援技術まで、幅広いテーマを取り上げます。
また、本セッションでは一部の演題を公募とし、最先端の研究成果や独創的な取り組みを広く募集いたします。新たな知見や技術革新を共有することで、より活発な議論の場となることを期待しています。
PhysiologyとImagingは互いを補完しながら、より精密で個別化された血行再建を実現するための両輪となっています。本セッションを通じて、これからの冠動脈治療の新たなスタンダードと未来像を展望したいと思います。今まさに到来しつつある“Physiology and Imaging Era”の最前線をご覧いただければ幸いです。

プレナリーセッション 3 英語

PL03

Upcoming coronary imaging modalities: Future Application of Novel Imaging Technologies

座長: 前原 晶子 高木病院

座長のことば

冠動脈イメージングは単なる診断ツールではなく、将来的には個々の患者の疾患活動性を可視化し、心筋梗塞発症前の介入を可能にする「プレシジョン予防医療」の中核技術となる可能性を秘めている。
冠動脈疾患のマネージメントは、心筋梗塞や狭心症を発症してから治療する時代から、若年期からの動脈硬化予防と生涯にわたるリスク管理へと大きく変化している。その実現には、病変の存在や進行を可視化し、患者自身の疾患理解を深めることで、生活習慣の改善や薬物治療へのアドヒアランス向上を促す冠動脈イメージングが重要な役割を担う。
現在の冠動脈イメージングは、非侵襲的な冠動脈CTから、プラーク性状や血管壁構造に加え、炎症や生物学的活性まで評価可能な次世代ハイブリッド血管内イメージングへと発展している。一方で、すべての患者に最先端技術を適用することは現実的ではなく、臨床的価値とコストパフォーマンスを考慮した適切な選択が求められる。
本セッションでは、AIとの融合も含めた最新の冠動脈イメージング技術を概観し、それぞれの強みと限界を整理するとともに、予防から治療までの冠動脈疾患マネージメントをどのように変革し得るのか、その未来像を展望する。

プレナリーセッション 4 日本語

PL04

B型大動脈解離における早期TEVAR:功罪を踏まえた最適化戦略
Early TEVAR for Acute Type B Aortic Dissection: Optimizing Strategies and Balancing Risks

座長: 大木 隆生 東京慈恵会医科大学 血管外科
飯田 修 大阪けいさつ病院 循環器内科

座長のことば

急性B型大動脈解離に対する治療戦略は、デバイスの進歩に伴いパラダイムシフトを迎えている。破裂や臓器虚血(Malperfusion)を伴うComplicated症例に対する急性期TEVARは、合併症リスクを負ってでも救命目的で完遂すべき不可欠な標準治療である。一方で、Uncomplicated症例に対する先制介入(Preemptive TEVAR)の妥当性とその至適時期に関しては議論の余地がある。
最新のESCガイドライン等では、偽腔の部分血栓化(Partial thrombus)、最大大動脈径40mm以上、偽腔径22mm以上、初期エントリー径10mm以上といった将来の拡大高リスク因子を有する症例に対し、組織の脆弱性が落ち着く亜急性期(14〜90日)での介入が推奨されている。しかし、早期介入は真腔拡大や大動脈リモデリングという「功」をもたらす半面、致死的な逆行性A型解離(RTAD)や脊髄虚血、遠隔期のSINE(ステントグラフト誘発性新規エントリー)といった「罪」を内包する諸刃の剣である。
本セッションでは、国内外のエキスパートを招聘し、リアルワールドデータに基づく早期TEVARの治療成績を検証する。さらに、合併症を低減するための解剖学的適応の厳格な評価、革新的デバイスの有用性、至適なサイズ選択(Sizing)や手技的工夫についても演者に論じていただき、Uncomplicated急性B型解離に対する至適戦略と将来展望を深掘りしたい。

プレナリーセッション 5 日本語

PL05

急性動脈閉塞における最適治療アルゴリズムの構築
Optimizing the Treatment Algorithm for Acute Limb Ischemia

座長: 山岡 輝年 松山赤十字病院 血管外科
曽我 芳光 小倉記念病院 循環器内科

座長のことば

急性動脈閉塞(acute limb ischemia: ALI)は、発症から短時間で不可逆的な組織障害に至りうる極めて重篤な病態であり、迅速かつ適切な血行再建戦略の選択が救肢率および生命予後を大きく左右する。従来、ALIに対する治療は外科的血栓除去術やバイパス術が中心であったが、近年の血管内治療(Endovascular therapy; EVT)の進歩、ウロキナーゼの供給不足により、その治療戦略は大きく変貌しつつある。特に、血栓吸引デバイスの登場により、病変形態や虚血重症度に応じた低侵襲かつ迅速な治療選択が可能となった。また、画像診断技術やハイブリッド治療環境の発展は、外科治療とEVTを柔軟に組み合わせた集学的アプローチを後押ししている。一方で、ALIは塞栓症、血栓症、血管損傷など多様な病態を背景としており、患者背景や虚血時間、併存疾患によって最適治療は大きく異なる。そのため、単一治療に依存しないアルゴリズムベースの意思決定が重要である。本セッションでは、最新のEVTデバイスや治療成績、外科的治療との役割分担、さらに重症例に対する集学的治療戦略について議論し、急性動脈閉塞における“最適治療アルゴリズム”の構築を目指して議論したいと考えている

プレナリーセッション 6 英語

PL06

不整脈治療のパラダイムシフト:Pulse Field Ablationの現状と未来
Paradigm Shift in Arrhythmia Treatment: Current Status and Future of Pulse Field Ablation

座長: 井上 耕一 NHO大阪医療センター

座長のことば

Pulse Field Ablation(PFA)は、不可逆的電気穿孔を原理とし、心筋への高い組織選択性により周囲組織への傷害を回避しうる治療として、不整脈アブレーションのエネルギー源に新たな選択肢をもたらした。そして、臨床導入からわずか数年で、多くの施設でPFAが心房細動アブレーションにおける第一選択のエネルギー源となるなど、劇的な変化がおこっている。肺静脈隔離における高い有効性と再現性、手技の効率化、そして食道・横隔神経傷害を回避する優れた安全性プロファイルが、この急速な普及を支えている。今後は、さらなるデバイスの進化や、波形の最適化、病変の永続性のさらなる検証に加え、肺静脈隔離を超えた持続性心房細動への基質改変や心室性不整脈への応用など、その適応をいかに広げていくかが次なる焦点となる。
本プレナリーセッションでは、state-of-the-art講演に続き、国内外の演者が各自のデータと現状、将来展望を提示する。PFAがもたらしたパラダイムシフトの全体像を、現状の到達点と今後の展望の両面から描き出す場としたい。

プレナリーセッション 7 英語

PL07

HCMにまつわるあれこれ
The Ins and Outs of HCM

座長: 北岡 裕章 高知大学医学部 老年病・循環器内科学

座長のことば

肥大型心筋症(HCM)の病態、診断、治療は近年大きな進歩を遂げています。本セッション「HCMにまつわるあれこれ」では、HCM診療に関する最新の知見を幅広い視点から取り上げ、日常臨床に役立つ議論を深めたいと考えています。
診断の分野では、心エコー図検査に加え、心臓MRIなどの画像診断技術が著しく発展し、形態評価のみならず、病態進展の評価が可能となってきました。また、遺伝子診断の実装により、原因遺伝子の解明や家族スクリーニング、さらには予後予測への応用も期待されています。
治療面では、従来の治療に加え、心筋ミオシン阻害薬の登場によって、HCM治療は新たな時代を迎えています。疾患の根本的な病態に介入する治療戦略が現実のものとなりつつあり、その適応や長期的な有効性、安全性について活発な議論が行われています。
さらに、実際の診療現場では、ガイドラインだけでは十分に答えが得られない場面にしばしば遭遇します。
本セッションでは、最新のエビデンスを共有するとともに、ガイドラインでは語り尽くせない実践的な問題についても活発な討論を行い、HCM診療のさらなる向上につながる機会となることを期待しています。

プレナリーセッション 8 英語

PL08

フォトンカウンティングCTが変える循環器診療
Photon-Counting CT: A New Era in Cardiovascular Imaging

座長: 三好 亨 岡山大学 循環器内科

座長のことば

近年、冠動脈CTを中心とした循環器画像診断は急速な進歩を遂げている。その中でもフォトンカウンティングCT(Photon-Counting CT: PCCT)は、高空間分解能、優れた時間分解能、スペクトラルイメージングを同時に実現する次世代技術として注目されている。特に、石灰化病変評価におけるブルーミングアーチファクト低減や、微細構造の描出能向上により、従来困難であった冠動脈病変の定量的・質的評価が可能となりつつある。 さらに近年では、冠動脈狭窄評価のみならず、冠動脈プラークの組成解析や心筋性状評価、さらにはAI技術との融合によるリスク層別化など、循環器診療におけるPCCTの役割は急速に拡大している。また、スペクトラル情報を活用した物質弁別技術は、 従来の形態診断を超えた性状評価への応用が期待され、循環器CTを単なる解剖学的評価から、病態や生物学的活動性を評価するモダリティへと進化させつつある。 これにより、診断精度向上のみならず、不必要な侵襲的冠動脈造影の回避や個別化医療への応用も期待されている。本セッションでは、PCCTの最新技術、臨床応用、今後の展望について議論する。循環器画像診断の未来を展望し、次世代循環器診療の可能性を共有する機会となることを期待したい。

プレナリーセッション 9 英語

PL09

Optimal antithrombotic strategy for cardiovascular intervention

座長: 大野 洋平 東海大学医学部付属病院 循環器内科

座長のことば

プレナリーセッション 10 英語

PL10

次世代脂質治療の最前線:PCSK9阻害薬からLp(a) 標的治療まで
The New Era of Lipid Management: PCSK9-Targeted Therapies and Emerging Lp(a)-Lowering Strategies

座長: 吉田 雅幸 東京科学大学 先進倫理医科学分野・遺伝子診療科

座長のことば

動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の2次予防では、LDL-Cをより低く、より確実に管理することが重要である。スタチン、エゼチミブを基盤とした治療に加え、抗PCSK9抗体薬は家族性高コレステロール血症や高リスクASCVD患者における強力なLDL-C低下療法として定着しつつある。さらに、PCSK9 mRNAを標的とするsiRNA製剤インクリシランの登場により、薬剤選択だけでなく、投与間隔、アドヒアランス、治療継続性を含めた長期管理戦略が改めて問われている。一方、LDL-Cを十分に管理してもなお残るリスクとして、Lp(a)への関心が急速に高まっている。Lp(a)は遺伝的に規定されるASCVDおよび石灰化大動脈弁狭窄症の重要なリスク因子であり、測定標準化、リスク閾値、臨床での解釈、患者への説明が今後の課題となる。現在、アンチセンス核酸やsiRNAなどの核酸医薬を中心に、Lp(a)を選択的に低下させる治療薬の開発が進んでおり、将来的には「LDL-C管理後の残余リスク」への介入という観点から、脂質管理の概念を大きく変える可能性がある。本セッションでは、PCSK9標的治療の現在地を整理し、Lp(a)測定と標的治療の展望を概説しながら、新時代の脂質管理の方向性を議論する。

プレナリーセッション 11 英語

PL11

肺高血圧症:定義を超えた臨床へ
Pulmonary Hypertension: Beyond Definitions Toward the Next Evidence Frontier

座長: 阿部 弘太郎 九州大学大学院医学研究院 循環器内科学

座長のことば

肺高血圧症(PH)の血行動態定義の改訂により、より早期かつ多様な病態が診断対象となった。これに伴い、日常診療では「誰を対象に検査を進め、いつ専門施設や臨床試験へ紹介するか」という実践的課題が改めて問われている。
本セッションでは、基礎研究、定義の確認にとどまらず、将来のLate Breaking Evidenceへと発展し得る試験・研究の現在地を見渡したい。ランダム化比較試験、大規模レジストリ、先端画像・デジタル診断、治療介入研究を横断しながら、未解決課題をどう設定し、対象集団・エンドポイント・解析計画をどう設計し、得られた知見を実臨床や医療システムへ還元するか議論したい。
病型別の枠組み(PAH、CTEPH/CTEPD、左心疾患・先天性心疾患に伴うPH)を超え、早期診断から病態層別化、治療選択、右室–肺循環連関の理解、長期予後評価、さらには社会実装に至るまで、臨床開発の全体像として再構築する。海外招請講演によるstate-of-the-artと国内外の進行中研究が提示する問いを重ね合わせ、次世代のPH診療が定義の先にいかなるエビデンスを切り拓くか、ともに展望したい。

プレナリーセッション 12 英語

PL12

大動脈基部病変に対する治療戦略
Systemic Root Dilatation in Congenital Heart Disease

座長: 笠原 真悟 岡山大学 心臓血管外科
落合 由恵 JCHO九州病院 小児心臓血管外科

座長のことば

成人先天性心疾患(ACHD)患者の増加と高齢化に伴い、大動脈基部病変に対する治療戦略の重要性が高まっている。従来、大動脈基部拡大はMarfan症候群をはじめとする結合組織異常疾患に特徴的な病態として認識されてきた。しかし先天性心疾患領域においても、ファロー四徴症や両大血管右室起始症では大動脈基部拡大や大動脈弁逆流を認めることがあり、その病態や自然歴については未だ十分に解明されていない。また近年では、大血管転位症に対する動脈スイッチ術後やRoss手術後など、本来肺動脈基部であった組織の拡大や弁機能不全も重要な課題となっている。
これらの病態に対して、後天性大動脈疾患や結合組織異常疾患で用いられている手術適応基準や介入時期をそのまま適用することが妥当であるかについては明確な結論が得られていない。さらに、手術方法についても、弁温存基部置換術、人工弁を用いた基部置換術、自己弁温存を目指した再建術など、多様な選択肢が存在し、症例ごとの最適解を見出す必要がある。
本セッションでは、先天性心疾患に伴う大動脈基部病変の自然歴、治療介入のタイミング、手術適応、術式選択について議論を深めるとともに、成人心臓血管外科医、成人先天性心疾患専門医、循環器内科医の知見を共有し、今後の診療指針や治療戦略の構築につなげたい。

プレナリーセッション 13 英語

PL13

Cardioimmunologyの最前線:免疫が関与する心血管疾患の発症と進展
Frontiers of Cardioimmunology: Molecular, Computational, and Quantitative Approaches to Immune-Mediated Cardiovascular Disease

座長: 藤生 克仁 東京科学大学総合研究院難治疾患研究所 統合生理学分野/
東京大学大学院医学系研究科 先進循環器病学

座長のことば

近年、心血管疾患の発症と進展における免疫・炎症の役割が急速に明らかとなり、Cardioimmunologyは循環器病学の最前線を形づくる領域へと発展してきた。その射程は、心不全・不整脈・構造心疾患・先天性/小児から成人にいたる幅広い病態に及び、自然免疫・獲得免疫から神経-免疫連関、臓器間連関にまで広がりつつある。
この急速な進展を支えているのは、遺伝子改変動物やシングルセル・空間オミクスに代表される分子生物学的技術と、AI・基盤モデル・数理データ解析・数理モデリング、さらには量子計算といった定量科学の融合である。免疫が関与する心血管病態の複雑性は、ウェットとドライ両アプローチが結びついてはじめて解き明かされる。
本プレナリーセッションでは、Cardioimmunologyを最も広い意味でとらえ、最先端の分子生物学・計算科学・数理科学を駆使してその理解を革新する研究を、基礎・橋渡し・臨床のいずれの段階からも募集する。確立された手法にとらわれない萌芽的な挑戦を歓迎し、キャリアの段階を問わず、次代を担う若手研究者からの意欲的な応募をとくに後押ししたい。国内外の気鋭の研究者とともに、新しい循環器病学の姿を本セッションから世界へ発信したい。多くの研究者の積極的なご応募を期待している。

シンポジウム

シンポジウム 1 日本語

SY01

虚血心における機械的循環補助(MCS)の最前線:STEMI DTU 後の戦略
Redefining MCS Strategies for the Treatment of Ischemic Heart Disease

座長: 石井 秀樹 群馬大学大学院医学系研究科 内科学講座 循環器内科学分野
朔 啓太 国立循環器病研究センター 循環動態制御部

座長のことば

デバイスの進化によって、臨床の景色が大きく変わる瞬間を、私たちはこれまで繰り返し目の当たりにしてきました。IABPやVA-ECMOの登場は、循環を維持し、冠動脈治療を安全に遂行するうえで大きな救いとなり、多くの患者の命を支えてきました。一方で、急性心筋梗塞(AMI)に伴う心原性ショックは、いまなお循環器診療の前に立ちはだかる大きな難題であり、これらの補助循環が心原性ショックの生命予後を明確に改善するというエビデンスは必ずしも十分ではありません。
近年、経皮的左室補助カテーテルは、適切に選択されたコホートにおいて生命予後を改善し得る可能性を示し、心原性ショックにおけるMCS戦略に新たな展望をもたらしました。さらに、STEMI-DTU試験に代表されるように、非ショックSTEMIに対する機械的補助循環の役割を再定義する挑戦も続いています。いま求められているのは、MCSを「循環や冠血流を保つためのデバイス」として捉えるだけでなく、「心筋保護や臓器保護を統合し、予後を改善する次世代治療戦略」として再構築する視点です。
本セッションでは、MCSによる循環保護・改善効果と心筋保護効果を、基礎と臨床の双方から捉え直し、これまでの議論をさらに一歩先へ進めたいと思います。AMIショックに対する新しい補助循環戦略、薬剤治療や他デバイスとの組み合わせを含めたAdvanced MCS戦略、さらにはモニタリング、離脱、合併症回避を含む管理最適化まで、幅広く、かつ未来を見据えて議論します。単なる有効性の議論やデバイス論にとどまらず、「長期予後改善を見据えた急性期治療の本質とは何か」、そして「次世代のMCS治療はどこへ向かうべきか」という視点で、熱のある議論を皆様とともに深められることを楽しみにしています。

シンポジウム 2 日本語

SY02

心原性脳塞栓症予防の最前線:カテーテルアブレーションと経皮的左心耳閉鎖術の視点から
Frontiers in the Prevention of Atrial Fibrillation-related Stroke: Perspectives from Catheter Ablation and Percutaneous Left Atrial Appendage Closure

座長: 古賀 政利 国立循環器病研究センター 脳血管内科
奥村 恭男 日本大学医学部内科学系循環器内科学分野

座長のことば

心房細動に起因する心原性脳塞栓症は、重篤な後遺症や高い致死率をもたらす重大な疾患であり、その予防は超高齢社会において喫緊の課題である。現在、経口抗凝固療法が予防の標準治療として確立しているが、出血リスクの高い患者や、適切な薬物治療下でも脳梗塞を再発する患者が存在し、新たな予防戦略の構築が求められている。
近年、心原性脳塞栓症の予防において非薬物治療の役割が大きく注目されている。一つは、カテーテルアブレーションによる早期リズムコントロールである。近年の臨床試験により、早期の洞調律維持が脳卒中や心血管イベントを減少させることが示され、アブレーションは「不整脈の症状緩和」から「脳卒中予防」へとパラダイムシフトをもたらしつつある。もう一つは、長期の抗凝固療法が困難な患者に対して保険適応となっている経皮的左心耳閉鎖術(LAAC)であり、機械的な血栓塞栓症予防として重要な選択肢となっている。
本シンポジウムでは、エキスパートを招請し、カテーテルアブレーションとLAACによる心原性脳塞栓症予防の最前線について議論する。循環器内科医と脳卒中診療医が連携する「Brain-Heart Team」の視点から、最新のエビデンス、最適な患者選択、今後の展望について深く掘り下げ、心原性脳塞栓症の積極的予防のための新たな方向性を共有し、活発な討論が行われることを期待する。

シンポジウム 3 英語

SY03

Practical Guide to Implementing VT Arrhythmia Radiotherapy: Lessons from the World and Japan Focusing on Treatment Planning, Team Workflow, and Safety Management

座長: 草野 研吾 国立循環器病研究センター 心臓血管内科
里見 和浩 東京医科大学病院 循環器内科

座長のことば

基質的心疾患に伴う瘢痕関連心室頻拍(ventricular tachycardia:VT)に対しては、不整脈基質を同定しカテーテルアブレーションを行う治療戦略が広く普及し、その有効性を示すエビデンスも蓄積されてきました。しかしながら、心筋深部に存在する不整脈基質や広範な瘢痕組織を有する症例では、通常のアブレーション、さらにはエタノールアブレーションなどの補助的治療を用いても十分な治療効果が得られないことがあり、依然として重要な臨床課題となっています。
このような難治性VTに対する新たな治療選択肢として、不整脈放射線治療(Stereotactic Arrhythmia Radioablation:STAR)が世界的に注目されています。STARは非侵襲的に不整脈基質を標的化できる革新的な治療法であり、近年、米国、日本、欧州を中心に臨床経験や研究成果が急速に蓄積されつつあります。一方で、標的領域の設定、画像統合、治療計画、照射精度の確保、急性期および晩期有害事象への対応など、多くの課題が残されており、安全かつ効果的な実施には不整脈専門医、放射線腫瘍医、医学物理士、画像診断医、診療放射線技師などによる密接な多職種連携が不可欠です。
本セッションでは、世界および日本における先進施設の実践経験を共有し、治療標的の決定から治療計画、チーム構築、ワークフロー運営、安全管理に至るまでの実践的な知見を議論します。さらに、今後のエビデンス創出や適応拡大に向けた課題についても展望し、本治療の適切かつ安全な普及に向けた道筋を探ります。STARの導入・発展に必要な実践的ノウハウを学び、非侵襲的VT治療の未来を展望する貴重な機会となることを期待しています。

シンポジウム 4 日本語

SY04

遺伝性不整脈診療の最前線 ~GDMTから全ゲノム研究、遺伝子治療まで
Frontiers in the Management of Inherited Arrhythmias: From Guideline-Directed Medical Therapy to Whole-Genome Research and Gene Therapy

座長: 清水 渉 新東京病院 心臓内科
中野 由紀子 広島大学 循環器内科

座長のことば

QT延長症候群、ブルガダ症候群、カテコラミン誘発多形性心室頻拍(CPVT)などを代表とする遺伝性不整脈は、若年者の突然死や失神の重要な原因である。近年、分子生物学の進歩により病態理解が飛躍的に進展し、診断・リスク層別化・治療戦略は大きく変化している。
2026年には、日本循環器学会・日本不整脈心電学会合同による「2026年改訂版 遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン」が公表され、遺伝学的知見と臨床エビデンスを統合した診断アルゴリズム、遺伝学的検査、リスク層別化、生活指導などに関する推奨が大きくアップデートされた。
また、治療面ではβ遮断薬、植込み型除細動器(ICD)、左側心臓交感神経遮断術、カテーテルアブレーションなど、ガイドラインに基づく標準治療の重要性が再認識される一方で、病態や遺伝背景に応じた個別化医療も進展している。さらに、全エクソーム解析や全ゲノム解析の進歩により病態解明が進み、新たな治療標的の探索や核酸医薬・遺伝子治療の開発へと発展しつつある。
本シンポジウムでは、2026年改訂ガイドラインを踏まえた最新の標準診療から、全ゲノム研究による病態解明、さらには将来の遺伝子治療まで、基礎・臨床の最前線で活躍する先生方に最新の知見をご紹介いただく。遺伝性不整脈診療の現在と未来を考える機会となれば幸いである。

シンポジウム 5 日本語

SY05

デバイス治療の未来戦略:高齢社会と新技術のはざまで
Future Perspectives on Cardiac Implantable Electronic Device Therapy in the Era of a Super-Aging Society and Emerging Technologies

座長: 副島 京子 杏林大学医学部 循環器内科
野田 崇 近畿大学病院 心臓血管センター

座長のことば

本邦は世界に類を見ない超高齢社会を迎え、不整脈や伝導障害を有する患者数は年々増加している。これに伴い、ペースメーカ、植込み型除細動器(ICD)、心臓再同期療法(CRT)をはじめとする心臓植込み型不整脈デバイス治療の重要性は、ますます高まっている。一方で、高齢患者ではフレイル、認知機能低下、多疾患併存などを背景に、単なる“デバイス適応”のみでは語れない時代となった。
近年、デバイス領域は急速な技術革新の只中にある。リードレスペースメーカの登場は、感染やリード関連合併症低減への期待を高め、dual chamber機能や心房心室同期技術の進歩により、その適応拡大も進みつつある。また、左脚領域ペーシングに代表されるconduction system pacingは、生理的ペーシングとして心不全発症抑制やCRT代替治療として注目されている。さらに、Bachmann束ペーシングによる心房細動予防効果も報告されている。加えて、S-ICDやEV-ICDなど、経静脈リードを回避する新たな除細動治療戦略も発展しているが、高齢者における適応や長期予後に関するデータは依然として限られている。さらに、心房細動患者に対する左心耳閉鎖デバイスは、出血高リスク患者における脳梗塞予防の新たな選択肢として普及が進み、高齢社会における抗凝固療法戦略を変えうる可能性がある。
世界有数の超高齢社会である日本から発信される実臨床データは、国際的なデバイス診療の方向性を示す上でも極めて重要である。まさに「技術革新」と「超高齢社会」のはざまで、我々は次世代のデバイス治療戦略を再構築する転換点に立っていると言える。

シンポジウム 6 日本語

SY06

HFpEFなんか、何もわかっていないのではないか?
HFpEF – we don't understand anything at all?

座長: 猪又 孝元 新潟大学大学院医歯保健学研究科 循環器内科学
坂田 泰史 大阪大学 循環器内科

座長のことば

HFpEFという疾患カテゴリーは、そもそも疫学や研究デザインから派生した。そのなかで、ガイドラインに基づくというある意味の免罪符を掲げ、個々のHFpEF患者に平均値的な診療が展開されてきた。しかしながら、HFpEFという言葉を日常診療で当たり前に使っているわれわれは、実のところどこまでHFpEFのことをわかって使っているのであろうか。例えば、HFpEFの主因は、左室拡張機能障害なのか、血管硬化なのか、微小血管障害なのか、骨格筋異常なのか。左室駆出率50%以上という定義は妥当なのか、52%がよいのか65%がよいのか。CHARM-Preserved、I-PRESERVE、TOPCAT、PARAGON-HFなど、なぜ多くの研究がfailureに終わるのか。obesity-orientedだけをターゲットにしていてよいのか。アミロイドーシスの混在をどのように整理していくのか、などなど。
そろそろHFpEFというphenotypeの括りを一つの病態として捉えるのは止め、endotypeで考える時期がきているのではないか。本セッションでは、そんな本質的な議論を戦わせたい。

シンポジウム 7 日本語

SY07

Global standardに近づく我が国の心臓移植とDT-LVAD
Future directions of heart transplantation and DT-LVAD in the era of global standardization

座長: 小野 稔 東京大学 心臓外科
波多野 将 鳥取大学医学部 循環器・内分泌代謝内科

座長のことば

わが国の心臓移植の成績は、10年生存率88.7%と世界トップレベルにある。一方で、ドナー不足から待機期間が極めて長いことが大きな問題であった。既に平均待機期間は約5年におよび、今後さらに長くなることが懸念されてきた。しかし、移植件数は近年確実に増加傾向にあり、2023年には年間115件と初めて100件を超え、この傾向は今後も継続することが期待される。これにより一時は1000人を超えると思われていた待機患者数も減少に転じ、直近では790人となっている。わが国では移植件数が少ないことから、状態の悪い患者が優先的に移植を受けられるようにする、いわゆるUrgent Listを作ることが長らくできなかったが、移植件数の増加を受けて本年よりUrgent List に相当するStatus1Aが新設され、既にStatus1Aから移植に到達した症例も存在する。待機期間が長いことからわが国のBTT-LVADの患者は実質DTに近いところがあったが、逆にこの結果、わが国では植込型LVADの長期管理について以前から多くの経験をすることができた。この経験が今日のDT-LVAD治療に生かされ、DT-LVADの成績も3年生存率81%と世界トップレベルである。一方で、わが国でDT-LVAD治療を受けている患者は自動車を運転することができなかったり、旅行をしづらい状況であったりと、さまざまな制約を受けてきたが、DT-LVADが普及してきた現在、これらの制限を緩和する方向で議論が進んでいる。本セッションでは、このようにGlobal standardに近づいているわが国の心臓移植とDT-LVADについて、各分野のエキスパートからさまざまな角度からディスカッションしていただく。

シンポジウム 8 日本語

SY08

心不全とアルドステロンを忖度なしに再考する
Rethinking Heart Failure and Aldosterone: An unbiased review

座長: 吉村 道博 横須賀市立総合医療センター
桑原 宏一郎 信州大学 循環器内科

座長のことば

アルドステロンは、高血圧、慢性腎臓病、そして心不全をはじめとする循環器疾患全般の病態形成において、不動の枢軸を担う極めて重要な因子である。原発性アルドステロン症のみならず、循環器診療の根幹をなすこのホルモンは、長年多くの研究者によってその真髄が究明されてきた。近年、分子メカニズムの解明がさらに進み、我々は今、アルドステロン学の理解における劇的な転換期を迎えている。
この変革は、臨床現場にも大きなパラダイムシフトをもたらした。非ステロイド型MRAの登場や新たなアルドステロン合成酵素阻害薬の台頭、そして診断技術の刷新により、アルドステロン制御は新たな時代に突入したといえる。今、臨床医に求められているのは、深化した病態理解を土台として、多様な選択肢の中から患者個々に最適な臨床解を導き出す「個別化医療」の実践である。
本セッションの核心は、この「病態」と「治療」の結節点を鋭く議論することにある。広がる治療選択肢の中で、何を指針とし、どのような臨床哲学を持って治療を選択すべきか。本セッションでは国内外の英知を結集し、諸賢の真摯かつ忌憚のないご見識を広く賜りたいと考えている。ここでの対話が、明日の臨床の指針となり、次世代の診療スタンダードを築く契機となることを確信している。アルドステロン学の新たな一歩を刻むべく、活発な議論を期待する。

シンポジウム 9 日本語

SY09

なぜ日本の心不全診療はDx化できないのか?―遠隔診療は本当にできるのか?
Why digitalization is so slow in the practice of heart failure in Japan? – Is it really possible to implement telemedicine?

座長: 絹川 弘一郎 富山大学 第二内科
安斉 俊久 北海道大学 循環器内科

座長のことば

内閣府のDx推進が叫ばれて久しいが、一体心不全診療のDx化は何を導入し、誰をその対象とし、その費用負担はどのようにし、その結果誰が恩恵を受けるのか、少なくとも座長には全く道筋が見えない。
Telemedicineとされるものは多岐に渡り、心不全領域では特に心不全増悪を検知する遠隔モニタリングのデバイスがいくつか開発されてきているが、それの開発に現実に携わっているものとして、行政がその導入にさほどの興味を示していないのには何の理由があるのだろうか?
費用対効果が示されていない、またはモニタリングに対応する保険点数が創設されていないなど、ほぼ理由とは言えないことを理由としている。
もっとも我が国の高齢者におけるデジタルリテラシーが他の先進諸国と比較して(特に韓国との比較において)、かなり低いということは常々指摘されるところで、しかしそれを理由にすることもDx化を諦めているとしか言えない。
人工知能(AI)ベースの心電図や心音や心エコーの解析もDx化の1つの方向性であるが、心不全専門医不在の環境では大きな役割を担うはずである。
このシンポジウムでは心不全診療における様々なDxモダリティについて識者から現状と今後の見通しを聞くとともに、どこに目詰まりがあるのかも議論したい。

シンポジウム 10 日本語

SY10

弁膜症診療における画像診断の位置づけ
The Role of Imaging in Valvular Heart Disease Management

座長: 泉 知里 国立循環器病研究センター 心不全・移植部門
平田 久美子 岸和田徳洲会病院 循環器内科

座長のことば

近年、弁膜症診療は大きな転換期を迎えています。外科手術に加え、TAVIをはじめとする経カテーテル治療が急速に普及し、さらに僧帽弁や三尖弁に対する低侵襲治療の選択肢も拡大しています。治療法が多様化した現在、患者ごとに最適な治療戦略を選択するうえで、画像診断の重要性はかつてないほど高まっています。
心エコー図検査は弁膜症診療の基盤として中心的な役割を担っています。近年では、病態の正確な理解から重症度評価、治療適応の判断、術前計画、さらには治療後のフォローアップに至るまで、画像診断が診療のあらゆる場面を支えるようになりました。各画像診断法の特性を理解し、それらを適切に活用することが、最適な患者マネジメントにつながる時代となっています。
本シンポジウムでは、弁膜症診療における画像診断の現在と未来について議論したいと考えています。心エコー図検査の新たな展開に加え、各種画像診断法がもたらす付加的情報、カテーテル治療を支える画像診断の実際、さらには今後期待される新たな展望まで、幅広いテーマを取り上げる予定です。
弁膜症診療の進歩とともに進化する画像診断の現在地と未来を見つめ、その可能性と課題について理解を深める機会となれば幸いです。

シンポジウム 11 日本語

SY11

心不全患者の突然死を画像診断で読み解く
Unraveling Sudden Cardiac Death in Heart Failure Through Cardiovascular Imaging

座長: 笠間 周 滋賀医科大学 臨床研究開発センター
中森 史朗 三重大学大学院医学系研究科 循環器・腎臓内科学

座長のことば

突然死は心不全患者の主要な死亡原因の一つであり、その発症には心筋線維化、虚血、不整脈基質、自律神経異常、心腔リモデリングなど、さまざまな病態が関与している。近年の画像診断技術の進歩により、これらの複雑な病態を非侵襲的かつ多面的に評価することが可能となり、突然死リスクの層別化において重要な役割を果たしている。
心エコー図検査は、心機能や機械的異常の評価に加え、ストレイン解析を用いた微細な心筋障害の検出を可能としている。心臓MRIでは、遅延造影やマッピング技術を用いて心筋線維化や炎症などの組織学的情報を可視化でき、不整脈基質評価における有用性が注目されている。また、心臓CTは冠動脈病変評価にとどまらず、心筋性状評価への応用も進んでいる。さらに、RI検査では交感神経機能や代謝異常の評価を通じて、突然死リスクとの関連が再認識されている。
これら各種モダリティを用いた研究や臨床知見の蓄積により、突然死の病態解明、リスク予測、新規画像指標の開発、AI・定量解析の活用、さらには治療介入への応用など、多方面での発展が期待されている。多角的な視点から突然死のメカニズムと予防戦略を検討することは、今後の心不全診療のさらなる発展につながる活発な討論の場となることを期待している。

シンポジウム 12 日本語

SY12

ASに合併した重症冠動脈疾患への至適介入方法を考える
Optimal Revascularization Strategies for Severe Coronary Artery Disease in Patients with Aortic Stenosis

座長: 大倉 宏之 岐阜大学大学院医学系研究科 循環器内科学
鳥飼 慶 獨協医科大学埼玉医療センター 心臓血管外科

座長のことば

大動脈弁狭窄症(AS)に重症冠動脈疾患(CAD)を合併する症例は高齢化とともますます増加している。近年、TAVIの適応拡大とデバイスの進歩によりAS治療は大きく変化したが、冠動脈病変への治療戦略については依然として多くの課題が残されている。例えば、PCIをTAVI前に施行すべきか、同時あるいはTAVI後に行うべきか、どの病変を治療対象とするべきか、完全血行再建を目指すべきか、さらにはPCIとCABGをどのように選択すべきかについて、十分なエビデンスが蓄積されているとは言えない。また、治療適応の決定に必要な虚血の評価法は、合併するASにより影響を受けるため、核医学検査や、冠血流予備量比(FFR)やNon-hyperemic pressure ratios(NHPR)による評価がそのまま適用できない可能性もある。さらには、治療困難な石灰化病変が多いことも治療戦略の決定に影響する。また、TAVI後の冠動脈アクセスや将来の再介入を見据えたLifetime Managementの視点も不可欠となっている。
本シンポジウムでは最新のエビデンスと経験をもとに、Heart Teamの視点からASに合併した重症冠動脈疾患に対する至適な治療戦略を多角的に議論したいと考える。本セッションが、明日からの臨床に直結する実践的な知見と、今後のエビデンス創出、ガイドライン改定につながる有意義な議論の場となることを期待する。

シンポジウム 13 日本語

SY13

三尖弁閉鎖不全症における最新の治療戦略
Latest treatment strategy for tricuspid regurgitation

座長: 島本 健 京都大学医学部附属病院
林田 健太郎 関西医科大学 内科学第二講座

座長のことば

三尖弁閉鎖不全症は、長らく「忘れられた弁膜症」とされてきたが、心不全診療の進歩、画像診断の発展、高齢化社会の到来に伴い、その予後規定因子としての重要性が再認識されている。
近年は、薬物療法や外科治療に加え、経カテーテル三尖弁治療、とりわけT-TEERのエビデンスが急速に蓄積され、さらにTTVR(経カテーテル三尖弁置換術)の国内治験(TRISCEND Japan)の登録も終了し、治療選択肢は大きく変化しつつある。本シンポジウムでは、病態評価、外科治療とカテーテル治療の適応、ハートチームによる意思決定を多角的に議論する。

シンポジウム 14 日本語

SY14

治療抵抗性高血圧へのチャレンジ
Challenges in Treatment-Resistant Hypertension

座長: 苅尾 七臣 自治医科大学 内科学講座 循環器内科学部門
三浦 伸一郎 福岡大学 心臓・血管内科学

座長のことば

治療抵抗性高血圧は、利尿薬を含む3剤以上の降圧薬を併用しても血圧管理が困難な病態と定義される。その背景には、食塩感受性・体液量増加、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系、とくにアルドステロン過剰、交感神経活性亢進、慢性腎臓病、肥満・睡眠時無呼吸、動脈硬化、服薬アドヒアランス、白衣効果や仮面化など、多彩な成因が関与している。なかでも、診察室血圧に加えて家庭血圧やABPM血圧でも高値が持続する「真の治療抵抗性高血圧」は、臓器障害と心血管イベントが集積する最も高リスクの表現型である。こうした病態理解を踏まえ、MRA、ARNI、アルドステロン合成阻害薬、GLP1・GIP作動薬や腎デナベーションなどの新しい治療を、どの患者に、どの段階で、どの血圧指標を目標として用いるべきかが重要となる。さらに日本高血圧学会、CVIT、日本循環器学会が参画する日本腎デナベーション協議会では、腎デナベーションの適応確認と適正使用に向け、高血圧専門医、循環器・インターベンション専門医、看護師、薬剤師、管理栄養士等からなる高血圧腎デナベーション治療(HRT)チームを基盤とした体制整備が進められている。常勤の高血圧専門医を中心に高血圧専門外来を開設し、コントロール不良・治療抵抗性高血圧を専門的に精査することは、生活習慣・服薬指導、二次性高血圧の鑑別、診察室外血圧評価、そして腎デナベーションを含む次世代治療の適正な導入に不可欠である。本セッションでは、大きく診療体系が変革する治療抵抗性高血圧に関して、成因、リスク層別化、24時間血圧管理、新規治療の実装について議論を深めたい。

シンポジウム 15 日本語

SY15

循環器病対策基本法を踏まえたこれからの心臓リハビリテーションの在り方
Future Direction for Cardiac Rehabilitation in the Context of Japanese National Plan for Promotion of Measures Against Cerebrovascular and Cardiovascular Disease

座長: 木庭 新治 昭和医科大学 循環器内科
福本 義弘 久留米大学医学部 内科学講座心臓・血管内科部門

座長のことば

2018年に施行された循環器病対策基本法は、循環器病の予防から急性期、回復期・慢性期に至るまで、切れ目のない医療提供体制の構築を目指すわが国の重要な政策基盤です。さらに、2023年に策定された「第2期循環器病対策推進基本計画」では、健康寿命の延伸と循環器病死亡率の減少が目標として掲げられ、地域格差の是正、多職種連携、デジタル技術の活用が求められています。
心臓リハビリテーションは、これらの目標達成に不可欠な医療介入です。運動療法に加え、生活習慣の是正、疾病管理、再発予防、フレイル対策、患者教育を含む包括的医療として有効性が確立されています。しかし、わが国では外来・生活期心臓リハビリテーションの普及は十分とは言えず、多くの患者が継続的な支援を受けられていません。特に高齢者や通院困難な患者への対応は大きな課題です。
今後、急速な高齢化と心不全患者の増加が進む中、その解決策として期待されるのが、診療ネットワーク (リハビリテーションネットワーク)の構築とICTやデジタルヘルスを活用した遠隔心臓リハビリテーションです。医療アクセスの格差を是正し、シームレスな循環器医療を実現するためには、診療報酬体系の整備や保険収載を含めた政策的支援が重要です。
本シンポジウムでは、循環器病対策基本法の理念を踏まえ、これからの心臓リハビリテーションの在り方について議論します。すべての循環器病患者が住む場所や年齢にかかわらず適切な支援を受けられる社会の実現に向けて、その課題と将来像を共有したいと考えています。

シンポジウム 16 日本語

SY16

小児期発症心疾患の移行医療支援制度の確立に向けて
Challenges and Perspectives in Establishing a National Support System for Transition of Care in Childhood-Onset Cardiovascular Disease

座長: 石津 智子 筑波大学 循環器内科
檜垣 高史 愛媛大学大学院医学系研究科 小児・思春期 療育学講座

座長のことば

小児期に心疾患を発症し、手術や長期治療を乗り越えてきた患者が成人を迎えるにあたり、医療の継続性をいかに担保するかは、今日の循環器医療が直面する喫緊の課題である。先天性心疾患をはじめ、川崎病による冠動脈後遺症、さらにはフォンタン術後患者に特有のフォンタン関連肝疾患(FALD)など、成人期に顕在化する多彩な合併症への対応は、小児科医のみならず循環器内科医・心臓血管外科医・消化器内科医ら多科にわたる専門的関与を必要とする。わが国では成人先天性心疾患患者数が小児患者数を上回るまでになった一方、移行医療を支える制度的基盤は地域によって大きな格差が生じているのが現状である。
本シンポジウムでは、各都道府県における移行医療の先進的な取り組みを共有するとともに、循環器内科専門医および心臓血管外科医における成人先天性心疾患診療の担い手育成に関わる課題を正面から議論したい。また、患者自身が疾患を理解し自律的に医療参加できるよう促す患者教育の実践、多職種・多施設間での診療連携の構築、さらには就労・社会参加を支援するための包括的なアプローチについても、現場の経験に根ざした活発な意見交換を期待したい。
本邦における移行医療支援制度の確立に向けて、本シンポジウムが実践知の集積と全国的な連携強化の契機となることを願う。

シンポジウム 17 英語

SY17

成人先天性心疾患に対する最新のカテーテル治療
The Next Era of Transcatheter Therapy for Adult Congenital Heart Disease

座長: 金 成海 静岡県立こども病院 循環器科
金澤 英明 東京医科大学病院 循環器内科

座長のことば

成人先天性心疾患(ACHD)に対するカテーテル治療は、心房中隔欠損や動脈管開存などの標準的治療に加え、複雑心疾患術後の再治療、心室間短絡の閉鎖、大動脈縮窄、肺動脈・肺静脈狭窄に対する治療、右室流出路病変、経カテーテル肺動脈弁留置術などへ広がっている。対象患者も若年者から高齢者まで幅広く、小児期手術後の遠隔期再治療、成人期診断例、再手術リスクの高い症例など、背景は多様である。
特に近年はACHD患者の高齢化が進み、心不全、不整脈、肺高血圧、弁膜症など成人循環器領域の課題を併せ持つ症例も増加しており、カテーテル治療には単なる低侵襲治療としての役割を超え、生涯にわたる包括的治療戦略の一翼を担うことが期待されている。
本邦でも導入期を迎えたCPステントおよびCovered CPステントは、術後肺動脈狭窄や大動脈縮窄に対する治療を広げる重要な医療機器である。
また国際的には、成長、再拡張、長期耐久性、複雑な心血管形態への適合を意識した新たな先天性心疾患用ステント技術も発展し、三次元的に複雑な心血管構造を再構築する治療へも応用が広がっている。
本シンポジウムでは、海外招請演者による最新の知見と国内外の経験を共有し、ACHDカテーテル治療の現状と今後の展望について議論したい。適応判断、医療機器の選択、外科治療との役割分担、安全な導入、長期経過観察体制を含め、次世代のACHD診療のあり方を考える機会としたい。

シンポジウム 18 英語

SY18

オミックス科学が紐解く循環器疾患の病態生理

座長: 野村 征太郎 東京大学 先端循環器医科学講座

座長のことば

シンポジウム 19 英語

SY19

Beyond 20 Years of iPSCs: 循環器疾患の病態解明と創薬・再生医療の新たな地平
Beyond 20 Years of iPSCs: New Frontiers in Disease Modeling, Drug Discovery, and Regenerative Medicine for Cardiovascular Diseases

座長: 遠山 周吾 藤田医科大学, 神奈川県立産業技術総合研究所

座長のことば

2006年のマウスiPS細胞、2007年のヒトiPS細胞の誕生から20年が経過し、その研究は基礎生命科学のみならず、循環器学の発展にも大きな変革をもたらしてきた。
近年では、iPS細胞由来心筋細胞を用いた再生医療研究が臨床応用の段階へと進み、重症心不全をはじめとする難治性循環器疾患に対する新たな治療選択肢として期待が高まっている。
また、iPS細胞を用いた疾患モデルの開発は、循環器疾患の病態解明を飛躍的に進展させるとともに、新規治療標的の探索や創薬研究の加速に大きく貢献している。
一方で、細胞の成熟化や細胞移植においては免疫拒絶反応など、解決すべき課題も少なくない。
本シンポジウム「Beyond 20 Years of iPSCs: 循環器疾患の病態解明と創薬・再生医療の新たな地平」では、iPS細胞研究20年の到達点を俯瞰するとともに、循環器領域における病態解明、創薬、再生医療の最前線について、第一線で活躍する先生方にご講演いただく。基礎研究からトランスレーショナルリサーチ、さらには臨床応用に至るまでの最新の知見を共有し、次世代の循環器医療の展望について議論を深める機会としたい。

シンポジウム 20 日本語

SY20

腫瘍循環器??心毒性の定義を本気で再設計する:HF-free Cancer Careを実装する
Onco-Cardiology: A Critical Redesign of Cardiotoxicity to Implement HF-free Cancer Care

座長: 高橋 雅信 山形大学大学院医学系研究科 臨床腫瘍学分野
赤澤 宏 金沢医科大学総合医学研究所 分子心血管研究分野

座長のことば

がん治療の目覚ましい進歩にともない、がん患者の長期生存が可能となった一方で、がん薬物療法や免疫療法、放射線治療などによる「心毒性(Cardiotoxicity)」の克服が喫緊の課題となっている。従来の心毒性の評価は、左室駆出率(LVEF)の低下を主指標としてきた。しかし、臨床現場においては、数値的な低下が顕在化する前の潜在的な心筋障害への早期介入や、多様な新規薬剤がもたらす複雑な循環器合併症への個別化対応が求められており、既存の定義や枠組みだけでは十分に対応しきれなくなっている。
本シンポジウムでは、がん治療を中断することなく心不全の発症をゼロに抑える「HF-free Cancer Care」の社会実装を目指し、心毒性の定義そのものを現代のがん治療の実態に即して“本気で再設計”することを試みる。ゲノム情報を含めた心不全発症リスクの層別化や、最新のバイオマーカーや画像診断による超早期診断の可能性、さらには循環器医とがん治療医、医療スタッフの有機的な連携(腫瘍循環器チーム)のあり方について、多角的な視点から議論を展開する。
従来の定義の限界を突き崩し、患者が安心して最善ながん治療を全うできる未来の標準ケアを確立するため、本セッションが新たなパラダイムシフトの足がかりとなることを期待したい。

シンポジウム 21 指定のみ 日本語

SY21

医療者をどう評価し、どう育てるか
—公平性・功績・WLBを両立する“評価×人材育成×リーダーシップ”設計
Evaluating and Developing Healthcare Professionals: Building Integrated Systems of Evaluation, Talent Development, and Leadership that Balance Fairness, Achievement, and Work–Life Balance

座長: 井澤 英夫 藤田医科大学 循環器内科
中山 敦子 榊原記念病院 循環器内科

座長のことば

医療を取り巻く環境が大きく変化するなか、優れた医療者を育成し、その能力を最大限に発揮できる組織づくりは、循環器医療の持続的な発展に不可欠である。
一方で、医療者の評価は診療実績、研究業績、教育活動、組織運営への貢献など多面的な視点が求められ、その公平性と透明性の確保は容易ではない。さらに、働き方改革の進展や価値観の多様化を背景に、ワークライフバランスとキャリア形成を両立できる環境整備が重要な課題となっている。
とりわけ循環器領域では、女性医師の活躍推進が喫緊の課題である。女性医師数は出産・育児・介護などのライフイベントを契機としてキャリア継続やリーダーシップポジションへの登用に課題を抱えるケースも少なくない。
多様な働き方を尊重しながら、個々の能力や貢献を適切に評価し、次世代のリーダーを育成する仕組みづくりが求められている。
本セッションでは、「医療者をどう評価し、どう育てるか」をテーマに、公平性・功績評価・ワークライフバランスを両立するための評価制度、人材育成のあり方、そして多様な人材を活かすリーダーシップについて議論する。
大学病院、地域基幹病院、診療所などさまざまな立場からの経験を共有し、女性医師をはじめとする多様な医療者が能力を発揮しながら成長できる組織づくりについて考える。
本セッションが循環器医療の未来を担う人材育成と持続可能な組織運営のあり方を展望する機会としたい。
『評価される人を育てる』から『人を育てることを評価する』へ、本セッションが、循環器医療の未来を支える人材マネジメントを考える契機となることを期待したい。

シンポジウム 22 日本語

SY22

減少する循環器内科医師対策をどうするか?循環器系学会の在り方を考える
Strategies to Address the Declining Number of Cardiologists:Reconsidering the Future Role of Cardiovascular Societies

座長: 小林 欣夫 千葉大学 循環器内科学
夛田 浩 福井大学 心臓血管先進治療講座

座長のことば

循環器内科医師数の減少は、地域医療や高度循環器診療の維持に深刻な影響を及ぼしつつある。長時間労働や緊急対応の多さ、医療訴訟リスク、若手医師の価値観の変化などが存在する。また、カテーテル治療をはじめとする高度専門化が進む一方で、教育負担や業務負荷は増加しており、循環器内科を志望する医師の減少につながっている。今後は、単に医師数確保を目指すだけではなく、働き方改革を踏まえた持続可能な診療体制の構築が必要である。その中で循環器系学会には、専門技術や学術研究の推進だけでなく、若手育成、地域医療支援、多職種連携、女性医師支援など、より広い視点での役割が求められる。さらに、過度な競争や資格偏重ではなく、臨床現場の実情に即した教育・認定制度の見直しも必要である。デジタル技術やAI活用による業務効率化も重要な課題である。
本セッションでは、循環器内科医減少の現状と背景を整理するとともに、今後の循環器系学会の在り方について、多面的に議論したい。

シンポジウム 23 日本語

SY23

患者が生成AIに相談する時代の循環器診療
Cardiovascular Medicine in the Era of Patients with Generative AI

座長: 的場 哲哉 九州大学大学院医学研究院 循環器内科学

座長のことば

爆発的に登場した生成人工知能(AI)は、あらゆる社会活動に影響を与え始めている。医療においては、症候や検査結果の解釈に生成AIが活用される一方、これまで医師が独占していた専門知識へのアクセスが民主化され、患者が自ら生成AIに症状や治療法を相談する時代が来つつある。
緊急性の高い急性期対応から日常的な慢性期管理まで幅広い対応が求められる循環器診療において、この変化がもたらす影響は極めて大きい。患者が胸痛や動悸、息切れといった症状を生成AIに相談した際、AIが適切な受診勧奨を行うことで、心筋梗塞や心不全などの致命的な疾患の早期発見・早期治療につながる期待がある。その一方で、AIが不正確な情報を提供し、重大な疾患の受診遅れを招いたり、逆に不必要な不安を煽って医療機関を逼迫させたりするリスクも孕んでいる。
このような時代において、循環器医に求められるのは、生成AIを含めたAIの現在地を理解し、「患者のAI利用」を前提とした新たな診療を構築することである。本セッションでは、わが国の最先端の生成AIを知るとともに、循環器診療におけるAIの活用事例を持ち寄り、患者と生成AIと医療者の共有意思決定を含む、未来の循環器診療のあり方について議論したい。

シンポジウム 24 日本語

SY24

循環器疾患と災害医療:災害関連循環器病の予防と診療体制
Cardiovascular Diseases and Disaster Medicine: Prevention and Healthcare Systems for Disaster-Related Cardiovascular Diseases

座長: 高村 雅之 金沢大学 循環器内科

座長のことば

近年、大規模自然災害が頻発し、災害医療の重要性が高まっている。災害時には外傷や感染症への対応が注目される一方、避難生活や医療アクセスの途絶、精神的ストレスなどを背景として、高血圧、心不全、急性冠症候群、不整脈、静脈血栓塞栓症などの循環器病の発症・増悪が増加する。これら「災害関連循環器病」の予防と早期介入は、被災者の生命予後と健康寿命を守る上で極めて重要である。
わが国では阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災、熊本地震などを通じて多くの知見が蓄積されてきた。さらに能登半島地震とその後の豪雨災害は、同一地域が短期間に複合災害に見舞われるという未曾有の経験となった。今後、医療機関、行政、DMAT、多職種が連携し、平時から「災害関連循環器病対応」を地域医療計画に組み込んだレジリエントな医療体制を構築することが求められる。
本シンポジウムでは、災害関連循環器病の診療課題、循環器医療支援体制、多職種・多機関の連携、デジタル技術を活用した新たな取り組みについて議論し、将来の大規模災害への備えに資する知見を共有したい。

シンポジウム 25 日本語

SY25

院外心停止の今後の展望:All-Japan Utstein Registry 20年のエビデンスが示す課題と未来戦略
Two Decades of the All-Japan Utstein Registry: Epidemiology, Prehospital Care, and Neurological Outcomes in OHCA

座長: 田原 良雄 国立循環器病研究センター 心臓血管内科/救急部
竹内 一郎 横浜市立大学 救急医学/高度救命救急センター

座長のことば

総務省消防庁によるAll Japan Utstein Registryのデータ収集開始から20年が経過し、本レジストリには長期的かつ大規模な院外心停止データが蓄積されてきた。さらに、他の医療・公衆衛生データベースとの連結解析により、これまでに多様な疫学的・臨床的知見が得られてきた。これらのデータは、わが国における院外心停止(Out-of-Hospital Cardiac Arrest: OHCA)の疫学的特徴や転帰の変遷を明らかにする上で極めて重要な基盤を形成している。これまでの20年間において、バイスタンダー心肺蘇生の普及や救急医療体制の整備により一定の成果が得られている一方で、救命率および神経学的転帰のさらなる改善に向けては依然として多くの課題が残されている。最終的な目標は良好な神経学的転帰の達成であり、本シンポジウムでは、プレホスピタルと循環器専門医の連携にも着目する。蓄積されたデータに基づいて現状と課題を整理し、良好な神経学的転帰の改善に向けた戦略について、疫学、臨床、および医療体制の観点から議論する。

シンポジウム 26 日本語

SY26

循環器集中治療の標準化と心原性ショックセンター構築:DanGer Shock試験後の新たな展開と学会への期待
Standardizing Cardiac Critical Care and Building Cardiogenic Shock Centers After the DanGer Shock Trial: Challenges and Future Directions

座長: 安田 聡 東北大学 循環器内科
山本 剛 日本医科大学付属病院 心臓血管集中治療科

座長のことば

DanGer Shock試験は、心原性ショックに対する機械的循環補助の位置づけに新たなエビデンスをもたらし、治療戦略のみならず診療提供体制のあり方にも大きな議論を喚起している。標準化された循環器集中治療、適切な患者集約化、補助循環管理を担うショックセンターの必要性が議論される一方、その定義や要件、わが国における実装可能性はいまだ明らかではない。本セッションでは、最新のエビデンスを踏まえ、心原性ショックセンター構築をめぐる課題と将来展望について、循環器学・集中治療学の両視点から議論する。

シンポジウム 27 日本語

SY27

クリニックの症例から学ぶ日欧米の循環器ガイドライン2027
~Lessons from clinical cases in accordance with
beyond guidelines~

座長: 横山 広行 横山内科循環器科医院
香坂 俊 慶應義塾大学 循環器内科

座長のことば

日常診療の現場では、脂質異常症や高血圧の継続管理から、急性肺塞栓症、感染性心内膜炎、心筋炎・心膜炎の初期対応まで、専門施設に紹介する前の数日、時に数時間の判断が患者の経過を左右する場面がある。そうした場面で臨床医の支えとなるのがガイドラインであるが、近年、米国 ACC/AHA の脂質管理、同 AHA/ACC の急性肺塞栓症、同 AHA/ACCの高血圧、 我が国の JCSの感染性心内膜炎、 欧州の ESC の心筋炎・心膜炎など、関連する文書は相次いで改訂され、その診断、リスク評価、そして治療の推奨は大きく変わりつつある。
本シンポジウムでは、最近アップデートされたガイドラインやコンセンサス文書を、単なる推奨文として読むのではなく、クリニックで実際に出会う症例を起点に、日欧米の考え方の違いと共通点を整理する。ガイドラインは診療の標準化のための地図であるが、実際の外来では、高齢化、併存疾患、地域の医療資源、患者の価値観を踏まえた判断が求められる。どこまでを外来で判断し、どの段階で専門施設へつなぐのか。標準化された推奨を、日本の診療体制と患者背景の中でどのように生かすのか。座長、演者、参加者がともに「Beyond Guidelines」の実践を考える場としたい。

シンポジウム 28 日本語

SY28

多職種による心不全療養指導の成果と今後の課題
-2040年問題を見据えて-
Outcomes and Future Challenges of Multidisciplinary Heart Failure Care Guidance: Looking Ahead to the 2040 Challenge

座長: 的場 聖明 京都府立医科大学 循環器内科
眞茅 みゆき 北里大学 看護学部

座長のことば

わが国では高齢化の進展に伴い心不全患者数が増加し、再入院予防は心不全診療における重要な課題となっている。特に2040年頃には高齢者人口がピークを迎える一方で、生産年齢人口の減少が進み、医療・介護人材の不足が深刻化すると予測されている。このような「2040年問題」を見据えると、限られた医療資源の中で持続可能な心不全診療体制の構築が求められる。心不全患者の再入院予防には、薬物療法に加え、セルフケア支援、栄養管理、運動療法、社会的支援を含めた包括的疾病管理が不可欠であり、その実践には医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、医療ソーシャルワーカーなどによる多職種連携が重要な役割を果たす。こうした背景から、2026年度診療報酬改定では「心不全再入院予防継続管理料」が新設され、心不全疾病管理や多職種協働の重要性が改めて評価された。一方、地域や施設による支援体制の格差、人材確保、多職種連携の質の向上など、今後解決すべき課題も多い。さらに、高齢化の進展に伴い、再入院予防のみならず、患者の価値観や人生観を尊重した患者中心の支援が一層重要となる。本シンポジウムでは、多職種による心不全療養指導の成果を共有するとともに、新たな診療報酬制度を踏まえながら、2040年を見据えた心不全疾病管理の今後の方向性について議論したい。本セッションが、持続可能で質の高い心不全診療体制の構築に向けた一助となることを期待する。

チーム医療セッション シンポジウム

チーム医療セッション シンポジウム 1 日本語

CS1

循環器診療における最新の画像診断技術ーAI活用およびPitfallー

座長: 髙岡 浩之 千葉大学 循環器内科
高尾 由範 大阪公立大学医学部附属病院 中央放射線部

座長のことば

構造的心疾患へのカテーテル治療の進化等に伴い、循環器領域における低侵襲画像診断の重要性が飛躍的に高まっています。これら画像診断自体も近年の技術革新により、その画質や診断精度の向上、検査時間や被ばく低減、評価項目の拡大等、飛躍的な発展を日々遂げています。最近では人工知能 (Artificial Intelligence: AI)を応用した最新技術も登場し、循環器画像診断においても画像再構成、ノイズ低減、自動解析、診断支援などに活用されるようになり、従来以上の検査の効率化や低被ばく化、診断精度向上への期待が高まっています。一方で、新たな技術の普及に伴い、画像取得や解析過程における限界や誤認識、データ膨張によるネットワークや医療スタッフへの過負荷、アーチファクトなど、様々なPitfallも明らかになってきています。
本セッションでは、診療放射線技師、臨床検査技師、循環器画像診断に関わる医師をはじめとする各種メディカルスタッフの視点から、最新の画像技術やAI活用の実際、その有用性と課題について広く議論したいと考えます。各種画像診断における自動解析・定量評価技術などの先進的な取り組みはもちろん、日常診療において遭遇したPitfall事例やそれに対する工夫、ワークフロー改善に関する報告も歓迎します。
本セッションでは、最新技術の可能性と限界を正しく理解し、安全かつ質の高い循環器診療へつなげるための活発な討議を期待しております。

チーム医療セッション シンポジウム 2 日本語

CS2

心不全患者の最適な栄養と口腔ケアを考える

座長: 衣笠 良治 医療法人寛謙会 在宅ケアクリニック米子
宮島 功 近森病院 臨床栄養部

座長のことば

心不全患者における低栄養、サルコペニア、フレイルは、再入院や生命予後に大きく影響することが明らかとなり、栄養管理の重要性はますます高まっている。一方で、適切な栄養摂取を実現するためには、食べる機能を支える口腔管理や摂食嚥下機能の評価および介入が不可欠であり、栄養と口腔ケアは切り離して考えることのできない重要な課題となっている。
近年、心不全診療は急性期治療のみならず、再発予防や生活機能の維持・向上を見据えた包括的な疾病管理へと発展している。その中で、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、歯科医師、歯科衛生士、言語聴覚士、理学療法士など、多職種が連携して患者を支えるチーム医療の役割はますます重要となっている。
本シンポジウムでは、「心不全患者の最適な栄養と口腔ケアを考える」をテーマに、各専門職の立場から最新の知見や実践的な取り組みを共有し、急性期から回復期、在宅療養に至るまでのシームレスな支援について議論したいと考えている。また、栄養状態の評価、口腔機能評価、サルコペニア・フレイル対策、多職種連携など、日常診療に直結する課題についても取り上げる。
本セッションが、心不全患者のQOL向上と予後改善を目指した新たな連携のあり方を考える機会となり、参加者の皆様の臨床実践に役立つ有意義な討論の場となることを期待している。

チーム医療セッション シンポジウム 3 日本語

CS3

『生きる』を支える高齢心不全医療― 患者の声を中心としたチーム医療の展開

座長: 志賀 剛 東京慈恵会医科大学 臨床薬理学
庵地 雄太 国立循環器病研究センター 心不全・移植部門

座長のことば

高齢心不全患者にとって、病状の進行にあわせて「何を大切にして生きるか」を医療者と共有することは非常に重要であり、そのプロセスは心不全診療の中核をなす。本ジョイントシンポジウムでは、患者の「語り」を起点とし、循環器医療・サイコカーディオロジー・緩和ケアの視点から高齢者心不全診療のあり方を探索したい。ここでは、認知症を含めた多疾病合併患者へのACP、退院・在宅療養支援、家族ケアを取り上げ、急性期病棟から外来、そして在宅療養まで、各ステージで、医療者が患者の声をどのように拾い、共有し、支援につなげるかを考える。一方、医療現場では対話の重要性を認識しつつも、診療報酬の制限、人的資源(スタッフ)の不足、地域連携体制の構築などの制約や課題に直面している。今回、医師、看護師、薬剤師、リハビリテーション専門職、心理師、医療ソーシャルワーカーなど多職種が協働し、医療者目線ではなく患者の視点から、患者の「生きる」を支える心不全医療の方向性について議論したい。

チーム医療セッション シンポジウム 4 日本語

CS4

慢性心不全の再入院予防の評価の新設を受けた具体的な取り組み

座長: 高橋 哲也 順天堂大学 保健医療学部 理学療法学科
眞茅 みゆき 北里大学 看護学部

座長のことば

心不全は高齢化の進展とともに患者数が増加し、再入院の反復による身体機能や生活機能の低下、医療費の増大が大きな社会課題となっている。こうした背景のもと、2026年度診療報酬改定では「心不全再入院予防継続管理料」が新設され、急性期治療中心の医療から、退院後を見据えた継続的な疾病管理へと政策の重心が移りつつある。
心不全の再入院予防を実現するためには、適切な薬物治療や病態管理のみならず、運動療法、栄養管理、服薬支援、セルフケア支援、多職種連携、さらには地域との連携を含めた包括的な介入が不可欠である。一方で、新たな評価制度を現場で実効性のある取り組みへと発展させるためには、各施設がどのような体制を構築し、どのような指標を用いて成果を評価していくべきかについて、十分な議論が求められている。
本セッションでは、「慢性心不全の再入院予防の評価の新設を受けた具体的な取り組み」をテーマに、心不全診療に関わる多職種それぞれの立場から先進的な実践事例や課題を共有いただく。新設された心不全再入院予防継続管理料を契機として、患者中心の継続的な心不全管理をどのように実現し、再入院予防とQOL向上につなげていくのかについて活発な議論を期待したい。
本セッションが、循環器医療に携わる多職種にとって、制度改定の本質を理解し、地域や施設の実情に応じた新たな実践を考える機会となれば幸いである。

チーム医療セッション シンポジウム 5 日本語

CS5

地域で循環器病を見逃さない:脳卒中・心臓病等総合支援センターが主導する予防と連携のイノベーション

座長: 髙橋 尚彦 大分大学 循環器内科
池田 聡司 長崎大学病院 脳卒中心臓病等総合支援センター

座長のことば

虚血性心疾患、心不全、不整脈、さらには脳卒中をはじめとする循環器病は、早期発見の遅れや見逃しによって重症化や再発を招く大きな要因の一つです。今後、ますます高齢化が進む日本において、これらの疾患の増加は健康寿命の短縮や医療・介護費の増大に直結することから、発症予防から重症化予防までを見据えた包括的な対策の強化が急務となっています。
このような課題に対応するため、循環器病対策基本法に基づき、整備が進められてきた「脳卒中・心臓病等総合支援センター」は、2026年までにすべての都道府県に設置されました。本センターには、循環器病の急性期から回復期、維持期(生活期)に至るまで、多職種が協働して包括的な患者支援や疾患の啓発・予防活動を推進する中核としての役割が期待されています。
本セッションでは、全都道府県への整備という節目を迎えた本センターの取り組みに着目し、各地域における多職種連携に基づく特色ある循環器病予防の実践例を紹介します。さらに、日常臨床および地域保健の現場において有機的に機能する、実効性の高い医療・保健連携モデルについて、多角的な視点から検討します。
循環器病に関わる多様な職種がシームレスに連携し、それぞれの専門性を発揮することで、「循環器病を見逃さない」持続可能で強固な地域医療体制の構築と、その社会実装に向けた具体的な戦略について議論を深めます。

チーム医療セッション シンポジウム 6 日本語

CS6

弁膜症治療の最前線:様々な画像診断による適応評価と治療効果判定

座長: 岩永 史郎 埼玉医科大学国際医療センター 心臓内科
中島 英樹 筑波大学附属病院 検査部

座長のことば

開胸手術が標準であった弁膜症の外科的治療は、カテーテル治療法の進歩によって適応が拡大されてきた。大動脈弁狭窄(AS)に対する経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)は、開胸手術が高リスクな高齢重症ASを対象として開始されたが、より年齢が低く、より重症度の低い症例の予後も改善させることが明らかとなった。僧帽弁閉鎖不全(MR)に対して行われる経カテーテル弁接合不全修復術(TEER)も、機能的MRに加えて、弁逸脱による器質的MRに適応が拡大され、さらに、三尖弁閉鎖不全(TR)の治療にも適応が広がっている。現在では、MRやTRに対する経カテーテル弁置換術や大動脈弁閉鎖不全に対するTAVIもすでに治験段階に入っている。
このような弁膜症に対する治療戦略の多角化に伴い、適応や治療効果の評価に用いられる画像診断の役割も変化している。診断のためのツールとして従来から使用されている心エコー図検査に加えて、3D心エコー図法や心臓CT/MRIが弁膜症の治療方針を決定し、その治療効果を判定するために広く使用されるようになった。このセッションでは主にメディカルスタッフを対象として、弁膜症治療の最前線を紹介し、適応評価と治療効果の判定にどのような画像診断が有用であるかを解説する。

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