会長挨拶

第28回日本医療マネジメント学会学術総会

会長 岩瀬 三紀

(トヨタ記念病院 病院長)

岩瀬 三紀

この度、第28回日本医療マネジメント学会学術総会を、2026年5月29日(金)・30日(土)に開催いたします。名古屋での開催は7年ぶりです。今回は同年秋に第20回アジア競技大会およびアジアパラ競技大会が名古屋で行われるため、例年より早い5月末の開催となります。演題応募期間も10月から開始する予定にしておりますのでご注意ください。皆様が交流し、学び合える学術総会となるよう、準備を進めております。

近年、医療機関の経営環境は厳しさを増しています。働き方改革や生産年齢人口の減少による人手不足、賃金・光熱費・材料費などの物価高騰、医療技術の高度化など、複合的な課題が顕在化しています。全国的に赤字病院の割合も増加し、慢性心不全の進行を思わせるような状況です。米国の関税政策などで世界経済も不透明感が強まり、医療を取り巻く環境は一層厳しくなっています。

こうした状況を踏まえ、地域の健康と健全な経営の両立を目指すべく今回のテーマは、「地域住民の健康寿命を延伸する医療マネジメント~医療および福祉施設の健康的な経営も視点にいれて~」としました。日本では総人口、生産年齢層の減少と急速な高齢化が進行しています。平均寿命は1891年の女性44.3歳・男性42.8歳から、2022年には女性87.1歳・男性81.1歳へと大幅に伸びました。一方、健康寿命は女性75.45歳・男性72.57歳で、平均寿命との差は縮小傾向にあります。都道府県別では静岡県が男女とも最長(女性76.68歳、男性73.75歳)です。 健康寿命は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されますが、「医療機関における健康寿命」とは、職員が生き生きと働き、地域医療に貢献できる期間であると考えます。そのためには、各組織が課題に向き合い、改善を積み重ね、最適な解を模索し続けることが不可欠です。

特に、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は医療・介護・福祉分野でも重要性を増しています。DXは医療の質向上、患者安全、地域連携、業務効率化、働き方改革、災害対策など、現代医療に不可欠な要素です。これは本学会が長年取り組んできた「クリティカルパス」「医療安全」「医療連携」とも深く関連しています。

名古屋は江戸時代から商業が発展し、歴史・文化に大きな影響を与えてきました。本総会のポスターに描かれた名古屋城と、本学会の本拠地にある熊本城は、いずれも加藤清正ゆかりで興味深い縁があります。名古屋は「名古屋めし」と呼ばれるひつまぶしや味噌カツなどの名物料理も豊富です。交通の要衝である名古屋駅や、会場近くのリニア鉄道館、トヨタ産業技術記念館など観光スポットも充実しています。学術総会の前後にぜひ訪れてみてください。

多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。

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