会長挨拶

日本臨床麻酔学会第44回大会

会長 内野 博之

(東京医科大学麻酔科学分野 主任教授)

内野 博之

このたび、伝統と名誉ある日本臨床麻酔学会第44回大会の会長を拝命致しまして大変光栄でありますとともに身の引き締まる思いです。会長を務めさせて頂くにあたりまして、御挨拶を申しあげます。第44回大会は、2024年11月21日(木)から23日(土)に、新宿の京王プラザホテルに於いて開催させて頂きます。

大会のテーマは「学則不固:学び続ける麻酔科医であるために」と致しました。「学則不固」は、「学べば則ち固ならず」という故事成語です。「論語」の「学而(がくじ)」に出てくる孔子の言葉に由来します。「君主の位にある者は頑固になりがちだから、学問をすることによって、道理に通じ、礼儀を弁えて独善に陥らないようにしなければならない」ということを表わした四字熟語です。我々麻酔科医は、礼節を持った柔軟な考えが必要であり、自分本位の偏った考えを弁えることが重要となります。それが、チーム医療を構築していくために必須の要素となります。さらには、我々は、礼節を十分に身に付けて自らを高めてくために学び続ける姿勢をもつことが大切になります。知識だけでなく、人としての在り方、生き方、他人への配慮・敬意など多くのことを本学会で学びながら麻酔科医として成長して行くことを期待し、このテーマを選ばせて頂きました。

現在、日本に於いて、我々は常に未来に対して大きな不安を抱きながら日々を生きていると思います。この複雑な時代に於いて明確な出口が探せずに迷っている我々が学ぶべき考え方や生き方が如何にあるべきかの答えに繋がる真理が人間の極限に挑む千日回峰行を通じて体得された生き方や考え方という経験の中にあるのではないかと自ら強く思い、本大会では、千日回峰行を成し遂げられた上原行照大阿闍梨様からお話を伺います。また、特別講演は四題を予定しております。多くの方がまともな医療を受けられないというアフリカのスーダンでの経験から外務省医務官の職位を捨ててスーダンで医療活動を行っておられる川原尚行医師から医師としての原点や在り方についてお話を伺いたいと思います。近年、飛躍的に発展してきた宇宙望遠鏡による系外惑星探査ですが、果たして地球外生命体はいるのでしょうか?東京大学先進科学研究機構教授でいらっしゃる成田憲保先生のお話はそのような疑問に答えて頂けるかもしれません。また、自見はなこ議員からは、来年から始まる働き方改革と女性医師の働き方についてのお話を伺いたいと思っております。

本大会では、学会発表やシンポジウム、教育講演、セミナー、講習会や神経ブロック、筋弛緩モニター、鎮静、DAM、母体システム等のハンズオン、TEEのワークショップなどを準備させて頂きますので楽しく学んでいただければと思います。

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