プログラム

近年、心筋症、特に二次性心筋症に対する疾患特異的な薬物治療の進歩により、心筋症の早期診断・的確な鑑別診断の重要性が増している。心エコー図検査は、心筋症の診断・治療において最も重要な役割を果たす画像診断であるが、CT、MRI、核医学などの画像診断技術の進歩により、その役割や位置付けも変わってきている。本セッションでは、最新のエビデンスと実臨床における経験を融合しながら、multimodality時代の心筋症診療における心エコー図の役割を再考したい。

経カテーテル的治療が導入され、成人先天性心疾患におけるPR診断、治療法に関してのアップデートが求められている。心エコー図による診断から治療の実際にいたるまで、エキスパートの先生方にご講演いただき情報の共有化を図りたい。

本邦には学校心臓検診制度があり、無症状であっても検診を契機に様々な心疾患が診断され、中には突然死につながる重篤なものも含まれる。本セッションでは、小児科・循環器内科で行われるスクリーニング心エコー図検査を行う際に見逃してはならない心疾患について、スクリーニングのポイントおよび、時に心筋症との鑑別を要するアスリート心臓について解説して頂き、学童期から若年期のスクリーニング心エコー図検査についての理解を深めたい。

心房性MRや心房性TRといった心房拡大にともなって現れる機能性房室弁逆流がトピックとなっている。これら心房性弁膜症の機序や治療法などについての最新知見を皆で共有し、疾患に対する認識を深めたい。

左房ストレインをはじめとした左房機能指標などの進化により、左房サイズや機能を用いた心血管疾患の予後予測、左室拡張末期圧の推定、塞栓症のリスク層別化などが可能となってきた。近年、stiff LAと呼ばれる心房病という概念も登場し、本領域の重要性は高まる一方である。本シンポジウムでは演者から最新の研究成果を報告していただくとともに、左房の詳細な評価とその臨床的意義を深く探求することを目的とする。

腫瘍循環器分野では心エコー図検査の役割は大きい。今回は、がん患者を対象とした心エコー図検査を行う際に必要な基礎知識として、腫瘍専門医からがん薬物療法についての講演を企画した。またガイドラインをふまえた心エコー図検査、および実臨床で遭遇する病態として免疫チェックポイント阻害薬、肺高血圧症に関する講演でセッションを構成することとした。明日からの心エコー図検査に活かせる内容になれば幸いである。

弁膜症の心エコー図診断の中で、重症度評価は最も重要であるといっても過言ではない。注意すべき点やちょっとしたテクニックなど、ソノグラファーの立場からご講演いただき理解を深めたい。通常の型通りの解説ではなく、エキスパート技師のコツ・裏技を披露いただくと共に、陥りやすい間違いに関しても皆で共有したい。

現在は心不全パンデミックと称され、心不全が社会問題になっている。心不全患者の診断ならびに治療方針の決定に関して心エコー図検査は必ず施行される検査ではあるが、心不全診療に対してより良い心エコー図法の活用の仕方を議論するために本セッションを企画した。現在心不全領域でトピックになっている領域を取り上げて、心エコー図法の心不全診療に対する活かし方をエキスパートから講演して頂く。日常の心不全治療の一助になれば幸いである。

心エコー図検査の技術革命として「自動化技術」が注目されている。本企画では、2次元、3次元、経食道心エコー図検査の自動化技術における最新のトピックスと課題に焦点を当てる。特に、技術の進化や新しいアプローチ、臨床での具体的な活用事例について演題を募集し、医師と技師の双方での議論を深めることを目的とする。この場を通じて、最新の技術動向との関わり方についても共同で考察する機会を提供したい。

心エコー図検査は、心臓CTやMRIなどの画像診断ツールと違い、装置をベットサイドに移動させ、「いつでも、どこでも、何度でも」、検査を行なうことができる。近年、超音波装置の小型化が進み、「ベッドサイドエコー」や「ちょいあてエコー」といった、これまで、検者が独自の裁量で、ポイントを絞って行なってきた超音波診療が、検査室で行なう「系統的超音波検査」ではない、包括的な「point-of-care ultrasound （POCUS）」として、標準化されるようになった。さらには、人工知能の進化とともに、自動計測の技術も向上し、「誰でも」、心エコー図検査ができる時代になってきている。しかしながら、超音波診療において、守るべき「基礎やルール」は存在する。本パネルディスカッションでは、「POCUSから心エコー図の基礎を考える」こととする。

肺高血圧症（PH）の診断、重症度や治療効果の判定において心エコー図は非侵襲的な肺動脈圧評価に加え心機能評価の役割を担う。PH診療の進歩に伴い、2022年には欧州で診断基準の見直しがなされた。また治療の多様化に伴う疾患ごとの管理の向上や運動誘発性のPH診断についても改めて考える必要がある。本セッションでは今後のPH診療のニーズに応える心エコー図評価について講演、議論を通して考えたい。

機能性僧帽弁閉鎖不全症の合併した重症心不全では、至適薬物治療に加え、経皮的僧帽弁クリップ術、植込み型補助人工心臓など踏み込んだ治療選択肢があり、これらをどの順番で、どのタイミングで選択していくかは、施設特性も含め意見が分かれるポイントである。本領域でのエキスパートにご講演いただき、さらに実症例を交え、心エコー図所見を中心とした密度の濃いディスカッションを展開したい。

外科手術の術前・術中に心エコー図をどのように用いて情報を取得し治療に活かしているか、トピックも含めてご講演いただき、あるべきハートチームの形を議論する。感染性心内膜炎においては手術時期、障害範囲に応じた弁形成術の可能性に関しても議論いただきたい。

ハンドグリップからエルゴメーターまで、少しずつ身近になってきた負荷心エコー図検査。既に実践している方も、これから始めようかなと思っている方も、疑問をたくさんお持ちでは？負荷の準備は何から始めればいいの？負荷の種類や程度はどうやって決めているの？TRが無い時のPH評価はどうしたらいいの？などなど。エキスパートによる活発な議論を通じて病態を深く掘り下げます。明日からの診療に役立つ新たな発見を目指しましょう。

成人先天性心疾患（ACHD）患者の増加に伴い、その診療ニーズは年々高まっている。心エコー図は、ACHDにおける診断や長期フォローアップにおいて重要な役割を果たしているが、適切に評価するには、病態、解剖、および術式の理解が必要であるため、ハードルの高さを感じ、二の足を踏む医師や技師は少なくない。本セッションでは、ACHD診療に必要な基本的知識や日常診療で生じる疑問について、講演と議論を通じて理解を深めたい。

経カテーテル的治療の臨床導入が間近に迫り、TRの心エコー図学的診断法、治療時期、外科治療、カテーテル治療についての関心が高まっている。本領域のフロントラインに立つエキスパートにご講演いただき情報の共有を図ると共に、密度の濃いディスカッションを期待したい。

構造的心疾患（SHD：Structural Heart Disease）診療において、症例のゲートキパーとして、治療方針のかじ取り役として、さらに治療中の術野構成者として心エコー医に期待される役割は多い。今回のビデオライブは僧帽弁閉鎖不全症を題材とし、診断から治療までライブ映像に沿って演者に解説いただく。Audienceには、MitraClip治療と外科的僧帽弁形成術という2つの異なる治療法で、心エコー医と術者がそれぞれどのようなエコー所見に重点を置いているかを注意して聞いていただきたい。