肝胆膵外科医としてのキャリアにおいて、脳裏に深く刻まれた一例は、時に多数例の論文にも勝る教訓を我々に与えてくれる。本セッションでは、単なる希少性の報告に留まらず、明日からの臨床を変えうる示唆に富んだ「忘れ得ない症例経験」を広く募集する。術中の絶体絶命の危機を乗り越えた独創的な工夫、標準治療の限界を打ち破った一例、あるいは自らの常識を覆された苦い経験など、そこから得られた「take-home message」を共有されたい。困難な状況における外科医の思考プロセス、判断の根拠、そしてそこから得られた新たな知見を、次世代への貴重な財産として受け継いでいくための活発な議論を期待する。
本セッションでは、臨床研究を志す初学者を対象に、「医学統計」、「特定臨床研究」、「ドライ解析」という、それぞれ異なるが臨床研究において重要な要素について、基礎から学べる教育的な内容を取り上げる。医学統計は、研究デザインの立案や結果の解釈に不可欠であり、その基本的理解が研究の質を左右する。特定臨床研究は、規制と倫理を踏まえた研究実施が求められる分野であり、制度の理解と適切な運用が重要となる。またドライ解析は、既存の診療データや公的データベースを活用し、効率的に臨床的意義を導き出す手法として注目されている。本セッションでは、これら3領域それぞれの専門家より、実例を交えながら、研究を始めるにあたっての基本的な知識や考え方を学ぶ機会を提供する。研究経験の少ない若手医師・外科医にとって、基礎及び臨床研究の第一歩を踏み出すきっかけとなることを期待している。
肝胆膵外科は高度な技術と幅広い知識を要し、長期にわたる修練を必要とする分野である。近年、外科を志す若手の減少や働き方改革に伴う労働環境の変化を受け、次世代を担う人材の確保と育成は喫緊の課題となっている。若手医師のリクルートには、診療の魅力ややりがいの発信、効果的で柔軟なキャリアパスの提示、働きがいのある環境づくりなどが不可欠であり、教育面では段階的かつ体系的な手術トレーニングや研究機会の提供が求められる。本セッションでは、各施設・地域での取り組みや成功例、課題を共有し、次世代を担う肝胆膵外科医をいかに育成・確保するかを多角的に議論する。
膵癌診療において、5年生存率の向上は全ての膵癌治療医が目指す共通の目標である。近年の治療戦略の多様化により、従来では考えられなかった長期予後の改善が見られるようになった。本シンポジウムでは、各施設が実践している治療戦略を共有し、「膵癌5年生存」を達成するための道筋を明確にすることを目指す。多剤併用化学療法の最適な治療シークエンス、放射線治療との効果的な併用タイミング、外科的介入の至適適応・タイミングなど、実臨床で培われた知見をもとに、各施設における治療戦略の実践例について幅広く発表を求める。エビデンスに基づいた標準的なアプローチから、各施設独自の工夫や取り組みまで、膵癌診療における多様な治療戦略と長期生存例の詳細な検討結果の発表を通じ、本領域のさらなる発展に寄与する場としたい。
肝細胞癌(HCC)に対する薬物療法の進歩は目覚ましく、本邦より切除可能性分類が提唱されたことで、Borderline Resectable(BR)HCCに対する治療戦略が注目されている。集学的治療により切除機会は増加したものの、その治療戦略の確立は未だ途上であり、いかなる症例が真に長期生存しうるのか、その「条件」は明確ではない。本シンポジウムでは、BR HCCの長期生存を可能とする条件について、各施設における治療戦略、至適な症例選択、手術のタイミングと術式の工夫、長期成績、そして予後を規定する因子など、幅広い視点から議論したい。
胆道癌は依然として予後不良な疾患であるが、近年、免疫チェックポイント阻害薬の導入やゲノム医療の進展により薬物療法は大きな変革期を迎えている。これらの強力な全身治療の登場は、これまで切除不能とされた進行胆道癌に対し、外科的介入の可能性を広げつつある。しかし、新たな治療選択肢を長期生存に繋げるための至適な集学的治療戦略は、未だ確立されていないのが現状である。本シンポジウムでは、この新しい治療パラダイムにおける外科治療の役割と、長期生存を目指すための新たな戦略について議論したい。特に、Conversion Surgeryの適応とタイミング、術前・術後補助療法の最適化、ゲノム情報に基づく個別化治療と手術の連携など、次世代の標準治療の礎となりうる演題を募集する。
UR-M膵癌に対する治療選択肢は多様化しているが、実臨床では各転移パターンに応じた治療戦略の選択とそのタイミングの判断に迷うことが少なくない。本パネルディスカッションでは、CY陽性、肝転移、肺転移それぞれの症例において、治療方針決定の根拠と治療移行の至適時期について、各施設の実践経験をもとに議論を深める。CY陽性症例における化学療法後の再評価方法や陰転化確認のタイミング、肝転移に対するConversion surgery適応の判断基準、肺転移における放射線治療・RFA・外科切除の選択根拠など、治療効果判定から次の治療選択への切り替えタイミングまで、実臨床で直面する具体的な課題について幅広く発表を求め、より良い治療戦略の確立を目指す。各施設における治療選択の実際や判断基準、症例経験に基づく知見の発表を期待する。
解剖学的には切除可能でありながら、生物学的悪性度が高いために予後不良となる膵癌症例の術前評価は、膵癌治療における重要な課題である。Biological Borderline Resectable膵癌に対しては、画像診断とCA19-9を中心とした評価が行われてきたが、新しいバイオマーカー概念の登場や基礎研究の進展により、これらを用いた新たな評価ができる可能性がある。従来の画像診断や複数の腫瘍マーカーの組み合わせをはじめとした臨床因子による評価はどこまで有用なのか、一方で近年注目されるctDNA、エクソソーム、CTCなどのリキッドバイオプシー、新規分子マーカーと最新研究手法との融合、画像AIやラジオミクスなど、将来の切除方針決定に関わる可能性のある新規バイオマーカーはどこまで臨床応用可能なのか、議論を深める。本パネルディスカッションでは、従来の評価法の可能性と限界を検証するとともに、新規バイオマーカー研究の最新知見を共有し、将来の治療前診断がどこに向かうべきなのかを探る。外科医と基礎研究の両面から幅広く発表を求め、Biological Borderline Resectable膵癌における最適な評価法の確立を目指す。
大腸癌肝転移に対し、肝切除は長期生存が期待できる最も確立された根治的治療法である。周術期化学療法を組み合わせた集学的治療が標準であるが、依然として術後再発率は高く、真に長期生存を享受できる症例は限られるのが実情である。近年、強力な化学療法の導入は、切除適応の判断や手術のタイミングに新たな課題を投げかけている。本セッションでは、大腸癌肝転移切除後の長期予後を達成するための治療戦略を中心に、各施設がどのような考えに基づき化学療法と外科治療を組み合わせ、予後向上を目指しているのか、その戦略と治療成績について多角的な視点からの演題を期待する。
肝移植は終末期肝疾患に対する確立された治療法となり、20年を超える長期生存も現実に得られる時代となった。これは本邦における肝移植医療の大きな「成果」である。しかし、その長期生存の先に、原疾患の再発制御、免疫抑制療法に起因する腎障害・心血管イベント・新規悪性腫瘍、そしてドナーとレシピエントの高齢化といった新たな「課題」が顕在化している。本パネルディスカッションでは、これらの課題を克服し、移植後の予後やQOLを真に向上させるための具体的な方策を議論したい。各施設における長期管理の工夫や成績、直面している問題点をご提示いただき、それらを踏まえ、今後の標準的な管理指針や、未来の移植医療が目指すべき方向性について総合的に討論し、展望する場とする。
肝門部領域胆管癌は、肝胆膵外科領域における最も難易度の高い悪性腫瘍の一つであり、その治療戦略には未だ多くの論争点が存在する。その成績向上のためには、術前の精密な進展度診断に基づく切除術式の最適化、門脈塞栓術や適切な術前胆道ドレナージを駆使した安全な拡大肝切除の遂行、そして拡大手術の限界を超えるための術後補助療法や肝移植といった集学的治療の導入が鍵となる。本パネルディスカッションでは、この難治癌に対する成績向上を目指し、術前評価から切除術式の決定、周術期管理、そして集学的治療の導入に至るまで、各施設の工夫と成績、そして今後の課題について提示いただき、本疾患の標準治療の未来を展望する場としたい。
本セッションでは、消化器内科やIVR科をはじめとする他科との連携が、周術期の安全性や治療成績の向上にいかに貢献したかを具体的に示す、ベストプラクティスに関する演題を募集する。術前胆道ドレナージ戦略の最適化、門脈塞栓術の適応とタイミング、膵切除後出血に対するIVR治療、あるいはConversion Surgeryを目指した集学的治療プロトコルなど、特定の臨床課題に対する体系的な連携アプローチとその定量的評価を発表されたい。単なる連携体制の紹介に留まらず、その実践によってもたらされた具体的な臨床的知見を共有し、周術期管理の新たな治療戦略を議論する場とする。
膵全摘術は極めて侵襲的な手術でありながら、広範囲IPMNや残膵癌症例において重要な治療選択肢である。術後管理の向上により長期生存例が増加する中、膵全摘特有の長期合併症への対策がより重要な課題となってきた。膵全摘後患者では、通常の糖尿病とは異なる血糖管理が必要となり、長期経過により消化吸収障害の進行や脂肪肝から肝硬変への移行など、膵全摘特有の合併症が顕在化する。本ワークショップでは、血糖変動への対応策、消化酵素補充療法の最適化、栄養状態維持のための工夫、脂肪肝進行抑制のための方法など、各施設の管理経験や長期フォローアップデータの発表を通じて、膵全摘後患者のより良い長期管理方法の確立を目指す。
集学的治療の進歩に伴い、膵癌に対する縮小手術が注目されている。腫瘍制御と膵機能温存を両立する縮小手術は、術後QOL向上の観点から意義深い治療選択肢と考えられるが、長期的な腫瘍学的安全性については十分な検証が必要である。本ワークショップでは、膵癌に対する縮小手術の長期治療成績について検証する。術前治療の必要性、進行度による適応、リンパ節郭清の至適範囲、術後補助療法の必要性と、これらの要因による長期予後および再発パターンへの影響について、各施設の長期フォローアップデータの発表を求める。縮小手術の真の腫瘍学的妥当性を評価し、適切な適応基準の確立に向けた議論を深める。
局所進行膵癌に対するConversion surgeryは、切除不能膵癌の予後改善において重要な治療戦略として位置づけられている。適応症例における予後改善効果が期待される一方で、実際には外科的切除を施行したにもかかわらず十分な治療効果が得られない症例も少なからず存在することが知られている。本ワークショップでは、Conversion surgeryの「功」と「罪」について客観的かつ多角的に検証する。長期予後良好例における患者背景や治療経過の詳細な解析、手術適応決定における客観的指標の検討を行う一方で、予後不良例や早期再発例の詳細な検討を通じて、どのような症例において外科的介入の恩恵が得られにくいのかを明らかにする。術前治療レジメンと治療期間、手術移行の至適タイミング、術後補助療法の選択など、真に患者予後の改善に寄与するConversion surgeryの条件について、多施設からのデータに基づいた議論を展開する。
膵神経内分泌腫瘍(NET)治療において、従来の手術・薬物療法に加えて、PRRT(ペプチド受容体放射性核種療法)という新たな治療選択肢が利用可能となった。この治療選択肢の拡大により、膵NET治療戦略の見直しが求められる。本ワークショップでは、治療選択肢が拡大した現在の膵NET治療戦略について議論する。手術・薬物療法・PRRTの使い分けや治療順序の考え方、各治療法の適応基準、PRRTを考慮した治療アルゴリズムの構築など、現在の膵NET診療における治療方針について検討する。各施設の症例経験や治療戦略の変化を共有し、膵NET診療の標準化と向上につなげることを目的とする。
IPMN診療において、国際ガイドライン改訂後も残された重要な課題が存在する。切除後再発・転移例への対応や、経過観察中の進行例への治療戦略は、標準的な指針が確立されていない困難な臨床課題である。本ワークショップでは、これらの症例群に対する各施設の治療経験を共有し、実践的な対応策を検討する。再発・転移例における治療選択の考え方、切除不能進行例に対する化学療法の適応と効果、治療方針決定における判断基準など、エビデンスが限られた領域での治療戦略について有益な議論を期待する。
免疫チェックポイント阻害薬を含む薬物療法の進歩は、切除不能肝細胞癌の治療体系を大きく変え、Conversion Surgeryという新たな治療戦略を生み出した。これにより一部の患者に根治の道が開かれたが、その真価を問うには治療成績の集積と分析が不可欠である。本セッションの目的は、この新しい治療法における治療成績を多角的に検証することにある。いかなる症例がConversion Surgeryの良き適応となるのか。奏効をもたらした薬物療法の種類や、手術に至るまでの至適な期間はどうか。そして最も重要な点として、切除後の長期予後を規定する因子は何であるのか。各施設におけるConversion SurgeryのR0切除率、術後合併症、生存率といった治療成績を提示いただくとともに、本治療戦略の標準化に向けた活発な議論を期待する。
肝細胞癌は高い再発率を特徴とし、初回治療後も再発に対する適切な戦略が長期予後を規定する課題ともいえる。再発時の治療方針は、腫瘍因子に加え、残肝機能、併存疾患、全身状態など多くの要素を総合的に評価し、再肝切除、局所療法、肝移植、薬物療法などから最適な選択を行う必要がある。近年、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の導入により全身治療の選択肢は拡大しており、肝移植を含む外科的治療や局所制御療法との組み合わせによる集学的治療の重要性も増している。本セッションでは、再発肝細胞癌に対する最新の治療戦略とそのエビデンス、実臨床における課題や工夫について幅広い議論を期待する。
肝切除において、根治性の追求と術後肝機能の温存は、常に外科医が直面する二律背反の課題である。この最適なバランス点を見出すことが、真の長期予後改善に直結する。近年、術前シミュレーション技術の向上や様々な手技の登場により、その戦略は多様化している。拡大肝切除の適応限界を探る試みから、肝実質を温存する精密な切除まで、各施設で様々な工夫がなされている。本セッションでは、精密な肝機能評価に基づく切除範囲の決定、肝実質を最大限に温存する術式の工夫、そしてそれらの妥当性を検証した治療成績など、根治性と機能温存の最適なバランスを見出すための外科戦略を議論したい。
肝内胆管癌(ICC)は、依然として予後不良な悪性腫瘍であり、その治療成績の向上は肝胆膵領域における重要な課題である。治癒を目指すには肝切除が唯一の手段であるが、術後の再発率が極めて高く、その予後は依然として厳しい。この状況を打破するためには、外科治療そのものの質の向上と、新たな治療モダリティとの戦略的な融合が不可欠である。すなわち、至適な肝切除・リンパ節郭清範囲の探求といった外科的挑戦に加え、薬物療法などを組み合わせた集学的治療の再構築が、我々の喫緊の「挑戦」となっている。本セッションでは、この難治癌の予後改善を目指し、外科治療を軸とした新たな治療戦略を議論したい。至適な肝切除・リンパ節郭清範囲の探求、術前・術後補助療法の新たな試み、そしてゲノム情報に基づいた個別化治療と手術の連携など、各施設の挑戦的な取り組みと治療成績に基づいた演題を募集し、本疾患の未来を展望する。
胆嚢癌はいまだ多くの臨床的課題が未解決のままである。pT1b癌に対する追加切除の適応や、進行癌における肝切除・リンパ節郭清の至適範囲、そして周術期補助療法の役割など、いまだ明確なコンセンサスが存在せず、施設間の実践にばらつきが大きい。これらの重要課題を解決し、真の予後改善を達成するには、各戦略の長期成績に基づいた客観的な評価が不可欠である。本セッションは、胆嚢癌の長期成績を目指した各施設の、病期に応じた至適治療戦略を発表いただきたい。
非乳頭部十二指腸癌に対する唯一の根治治療は外科的切除であるが、その術式は膵頭十二指腸(PD)から各種縮小手術まで多岐にわたる。根治性の追求と術後機能温存とのバランスをいかに最適化するかが、本疾患治療における核心的課題である。しかし、根治性と機能温存のバランスを巡る術式選択や至適な郭清範囲については、いまだコンセンサスが確立されていないのが現状である。この重要課題を解決し、真の標準治療を確立するためには、各術式の長期成績を客観的データに基づき比較検証することが不可欠となる。本ワークショップでは、この重要課題に対し、長期成績とQOLの両面から光を当てることを目指す。PDと十二指腸局所切除など、異なる術式間での長期生存率・無再発生存率の比較、術後の栄養状態や消化管機能、QOL評価を含む客観的データ、そしてそれらに基づく各施設の術式選択アルゴリズムなど、根治性と機能温存の最適なバランスを探求する演題を募集し、標準治療確立に向けた議論の場としたい。
AI(人工知能)技術は医療のあらゆる場面で急速に導入されつつあり、肝胆膵外科領域においても術前診断支援、予後予測、手術ナビゲーション、画像解析など多岐にわたる応用が進展している。さらに、AIは膨大なオミックスデータの解析や創薬支援といった基礎研究の分野にも新たな視座をもたらしている。本セッションでは、肝胆膵外科におけるAI活用の最前線とその実臨床への橋渡しを担う視点から、現状と課題、将来の展望について包括的に議論いただきたい。
質の高い肝胆膵外科医療は、全国の市中病院においても力強く実践され、地域医療の砦として重要な役割を担っている。本セッションでは、市中病院という環境の特性を活かした独創的な工夫や、広く共有すべき実践経験に関する演題を募集する。肝胆膵外科チームの立ち上げと教育体制の構築、資源を意識した効率的な周術期管理プロトコルの開発と実践、クリニカルパス導入による医療の質の向上とコスト削減効果の分析、あるいは困難症例に対する院内・院外連携の具体的方策など、実臨床に根差した報告を歓迎する。大学病院やがんセンターとは異なる視点から、本邦の肝胆膵外科医療の質の底上げに貢献する、示唆に富んだ議論を期待する。
肝胆膵癌は依然として予後不良な悪性腫瘍であり、その診断・治療におけるブレイクスルーが強く求められている。近年、外科医が中心となり、患者検体から得られる遺伝情報や分子プロファイルの解析と、詳細な臨床情報に基づく知見とを結びつけるトランスレーショナルリサーチが、各施設で精力的に推進されている。ゲノム解析、マルチオミクス解析、リキッドバイオプシー、AI解析など新たな技術の導入により、腫瘍生物学の解明や個別化医療への展望が拡がりつつある。本セッションでは、肝胆膵癌における基礎と臨床を橋渡しする最新の研究成果を紹介いただき、その意義と将来展望について活発な議論をお願いしたい。
肝胆膵外科領域における高度技能専門医の取得には、高難度症例を安全に遂行できる知識と技術の修得が求められる。近年、低侵襲手術の普及もあり、限られた症例をいかに効果的に教育へ結びつけられるかが課題となっている。本ワークショップでは、修練機会の確保や効果的なフィードバック方法など、高度技能専門医の育成に向けた各施設の具体的な教育プログラムや工夫を共有し、明日からの修練に活かせる実践的な方策を探る。
ロボット支援下膵頭十二指腸切除術の導入が進む中で、従来の開腹・腹腔鏡手術とは異なる技術的特性により、安全で効率的な手技の確立が重要な課題となっている。ラーニングカーブの短縮と手術成績の安定化に向けて、標準化された手技の確立が求められる。本ビデオシンポジウムでは、各施設で取り組んでいる定型化手術手技を発表していただく。切除手順の標準化、効率的なリンパ節郭清手技など、手術時間短縮と安全性向上に資する実践的な技術を映像とともに提示いただき、手技標準化に向けた貴重な知見の共有する場としたい。
低侵襲肝切除は、標準術式としての地位を確立し、現在では高難度肝切除へとその適応が拡大している。しかし、これらの手術を安全かつ確実に行うには、開腹手術とは異なる高度な技術と工夫が不可欠である。本ビデオシンポジウムは、低侵襲下での高難度肝切除を成功に導くための、具体的な手術手技とその要点を共有することを目的とする。腹腔鏡・ロボット支援下における肝後上区域(S7, S8)の切除や拡大肝切除といった高難度術式、安全な肝門部処理や肝静脈周囲の剥離、そしてICG蛍光法や3Dナビゲーションといった先進技術の実践的な活用法など、手術手技をビデオで提示いただきたい。動画を通じた技術の供覧と討論により、本領域における手技の標準化と安全性向上を目指す。
胆道癌に対する低侵襲手術は、肝胆膵外科領域における最高難度の挑戦の一つである。根治性を担保するためには、開腹手術に劣らないリンパ節郭清や、安全かつ確実な胆道・血行再建が求められ、これを低侵襲下で実現するには極めて高度な技術を要する。本ビデオシンポジウムは、この高難度手術を成功に導くための具体的な手術手技と、それを支える判断基準に焦点を当てる。胆嚢癌に対するリンパ節郭清や、遠位胆管癌に対する膵頭十二指腸切除術、さらには複雑な胆道再建を要する手術など、各施設の手術手技を提示いただく。特にロボット支援手術がもたらす手技の革新についても歓迎する。ビデオを通じた技術の共有と討論が、この挑戦的な手術の安全性向上と健全な普及に繋がることを期待する。
ロボット支援下膵頭十二指腸切除術における再建手技は、手術成功の鍵を握る重要な技術要素である。多関節機能による精密操作の利点を最大限に活用した再建法の確立と、その技術継承システムの構築にむけ、本ビデオワークショップでは各施設の様々な再建手技とその工夫を共有していただく。膵腸吻合、胆管空腸吻合の最適化手技、合併症予防のための工夫など、実践的な内容を映像とともに発表いただくことを期待する。手術動画による詳細な手技解説を通じて、技術向上と安全な手術の普及に寄与する場としたい。
腹腔鏡・ロボット支援下手術の普及に伴い、その特有の環境下で発生する術中トラブルへの的確な対処能力が、全ての肝胆膵外科医に求められている。本セッションでは、低侵襲手術における術中偶発症の予防と対策に焦点を当てた、具体的かつ実践的な手技に関する演題を募集する。肝静脈や門脈からの出血制御、癒着や炎症が高度な症例における剥離困難の克服法、そして安全な開腹移行への明確な判断基準など、自施設での経験に基づいたトラブルシューティングの神髄を提示されたい。ビデオによる具体的な手技の紹介を積極的に受け付け、低侵襲肝胆膵手術の安全性をさらに高めるための知見を共有する場とする。
開腹手術は、現代において最も複雑かつ困難な症例、あるいは低侵襲手術からの緊急避難的に選択されることが多く、その術中トラブルはしばしば破局的な状況を呈する。本セッションでは、こうした危機的状況を打開するための高度な外科戦略に関する演題を募集する。完全血管遮断下での大血管損傷に対する修復・再建術、標準術式が破綻した際のサルベージ手技、あるいは術中迅速病理診断の結果を受けた切除範囲の緊急拡大など、外科医の総合力が試される極限状況での判断と手技について発表されたい。特に、予期せぬ出血や臓器損傷に対する緊急回避手技に関する報告を歓迎する。開腹肝胆膵手術における最後の砦を担うための叡智を結集し、安全性のさらなる向上に役立つ場とする。
急性胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術は標準術式であるが、高度炎症を伴う困難症例は、依然として多くの外科医にとっての挑戦である。胆管損傷という重大な合併症を回避するためには、的確な状況判断と、Subtotal Cholecystectomyに代表されるBail-out strategyを含む多彩な技術的引き出しが求められる。本ビデオワークショップは、「明日からの臨床に直結する、安全のための判断と工夫」に焦点を当てる。Bail-outを決断するタイミング、ICG蛍光法を駆使した胆道同定の実践的活用法など、困難な状況をいかに安全に乗り切るかという実践的な知恵と技術が詰まったビデオを募集する。ビデオを通じた経験の共有が、日常臨床における手術の安全性向上に直接貢献する場としたい。
膵・胆管合流異常および先天性胆道拡張症は、胆道癌の高リスク病態であり、発癌予防を目的とした拡張胆管切除と胆道再建が標準治療となる。近年、この定型的な手術に対し、腹腔鏡下やロボット支援下といった低侵襲アプローチが導入され、その手技は進化を続けている。本ビデオワークショップでは、低侵襲手術における安全な肝門部剥離のコツ、確実で狭窄のない胆管空腸吻合手技、そして開腹手術を含めた様々な症例に応じた術式の最適化について、提示していただきたい。ビデオを通じた技術の共有により、本疾患に対する手術の標準化と安全性向上に繋がる議論の場とする。
膵体尾部良性・低悪性度腫瘍に対する脾温存膵体尾部切除術において、脾動静脈温存(木村法)と脾動静脈切離(Warshaw法)は、それぞれ異なる利点と課題を有する。脾機能温存の観点、手術の安全性、長期合併症の頻度など、多角的な検討が必要な重要なテーマである。本ディベートでは、両手技の支持者による建設的な議論を行う。脾動静脈温存派は血流保持による脾機能維持の優位性を、脾動静脈切離派は手術の簡便性と安全性を、それぞれの立場から論じていただく。症例選択の考え方、合併症対策、長期成績の比較など、実臨床での選択指針となる有益な議論を期待する。
切除可能な多発大腸癌肝転移に対する治療方針を決定する上で、化学療法と手術のどちらを先行させるかのコンセンサスは得られていない。術前治療は微小転移制御や化学療法感受性評価の利点を有する一方、切除先行は確実な病巣除去と切除機会喪失回避の利点がある。本ディベートセッションでは、この重要な臨床的課題に焦点を絞り、両者の立場からそれぞれの利点と欠点を明確化し、明日からの臨床における意思決定の一助となる、示唆に富んだ議論の場としたい。
国内で英文医学論文の校正を専門とするネイティブ講師が、学会における英語発表の基本をレクチャーします。
本企画では、参加者による症例報告やケースシリーズ等の発表後、ネイティブ講師が英語表現、発音、発表の姿勢、そして発表全体の構成について詳細なコメントを提供し指導します。十分なアドバイスの時間を確保し、若手医師が実践的な英語発表のスキルを習得できるトレーニングの場とします。
応募資格は40歳以下の医師で、研修医も歓迎します。
肝胆膵外科に興味がある研修医・学生のみなさん、奮ってご応募ください。
疾患 | 領域 |
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01. 肝臓(良性) | 01. 診断 |
02. 肝臓(悪性) | 02. 手術 |
03. 膵臓(良性) | 03. 内視鏡手術 |
04. 膵臓(悪性) | 04. 術後合併症 |
05. 胆道(良性) | 05. 治療 |
06. 胆道(悪性) | 06. その他 |
07. その他 |
© 2025 The 38th Meeting of
Japanese Society of Hepato-Biliary-Pancreatic Surgery