第38回日本肝胆膵外科学会学術集会
会長 庄 雅之
奈良県立医科大学消化器・総合外科学教室 教授
この度、第38回日本肝胆膵外科学会学術集会を奈良の地で開催させていただくことになり、大変光栄に存じます。会の開催にあたり、ご指導とご支援を賜ります会員の皆様、ならびに関係各位に心より深く御礼申し上げます。
今回の学術集会のテーマは、「Brightening the future of HBP surgery:Pride and Compassion」といたしました。このテーマには、高難度手術に立ち向かう外科医としての「矜持」と、患者さんはもとより、同僚やコメディカルスタッフとのチーム医療を実践するための「思いやり」という、肝胆膵外科医が持つべき二つの重要な思いを込めております。技術の向上を追求するだけでなく、常に患者さんの立場に立った医療を提供し、医療チーム全体で支え合うことの大切さを表現いたしました。
近年、肝胆膵外科領域における手術技術は、ロボット支援下手術の導入や手術器具の改善・改良等により飛躍的に向上し、従来は困難とされていた症例にも積極的に取り組めるようになりました。しかし一方で、私たちが行う手術が患者さんにとって本当に最適な治療であるかを常に問い直す必要があると考えます。本学術集会では、長期予後や晩期合併症に焦点を当てた演題テーマを多数取り上げました。手術の成功は単に手技の完遂だけでなく、患者さんの長期的な予後や生活の質の向上にこそあることを、改めて確認し議論したいと願っております。
また、本学会の発展を支える次世代の育成は極めて重要な使命です。今回の学術集会でも、特に若手医師の皆様に活躍の場となるような企画を多数ご用意していきます。若い先生方が積極的に発表し、議論に参加し、学びを深めることができる場を提供することで、日本肝胆膵外科学会のさらなる発展に繋げたいと強く願っております。
さらに、奈良という地の利を活かし、海外からの参加者との交流も積極的に推進いたします。国際的な視点から肝胆膵外科学の発展を考え、世界各国の専門医との活発な意見交換を通じて、互いの知識と経験を共有する機会を多く設けております。加えて、発表者ツールの整備や一部AI翻訳を取り入れ、事前準備のご負担を軽減できるよう工夫を凝らしてまいります。
開催地である奈良は、1300年を超える長い歴史を誇る古都であり、ユネスコ世界遺産の宝庫ともいえる文化的に極めて豊かな土地であります。東大寺、春日大社、興福寺をはじめとする数多くの歴史的建造物や、奈良公園の美しい自然環境は、多忙な日常を離れて心を癒し、新たな発想を得る絶好の機会を提供してくれることでしょう。学術的な議論に加えて、この美しい古都の魅力を存分に味わっていただき、ご参加の皆様にとって忘れられない学術集会となることを心より願っております。
最後に、本学術集会が国内外から多くの参加者が一堂に会し、熱い議論を交わすとともに、深い親交を築く場となることを期待しております。肝胆膵外科学の未来を明るく照らし、患者さんのために最善の医療を提供し続けるという共通の目標に向かって、ともに歩んでまいりましょう。
実り多き学術集会となりますよう、教室員一同、心を込めて準備を進めてまいります。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。
© 2025 The 38th Meeting of
Japanese Society of Hepato-Biliary-Pancreatic Surgery