第107回日本病理学会総会

2018年6月21日(木)〜23日(土)

コンパニオンミーティング

CM-1 エキスパートに学ぶ皮膚病理診断

6月21日(木)19:20~20:50 B会場(さっぽろ芸文館 3階 瑞雪の間)

皮膚病理診断研究会

オーガナイザーの言葉

一般病院の病理医は、日常的に皮膚料領域も診断しなくてはなりません。表皮嚢腫や母斑細胞性母斑のように、さほど苦にならない疾患が多いものの、少し敷居の高い症例に遭遇することも少なくありません。病理医の中には、皮膚科領域の病理診断のトレーニングを十分受ける機会に恵まれなかった方が多いのではないでしょうか。さらに、皮膚科の病理診断はしばしば皮膚科医自身も下す施設が多く、臨床所見を見ることのない病理医にとっては、皮膚科医と対等にディスカッションすることがしばしば困難です。

皮膚病理診断研究会では、日本病理学会における「コンパニオンミ―ティング」と、秋に開催を予定している「講習会」とを活動の主軸としています。両会とも、一般病理の診断に携わる先生方を対象に、皮膚病理を診断する上で知っておくと役に立つ所見の取り方や、病理診断書に書くべき事項など、実践に役立つ具体的な内容を提供すべく活動してまいります。

今回のコンパニオンミーティングでは、「エキスパートに学ぶ皮膚病理診断」と題し、「先人に学ぶ組織構築の言い回し」と、「特殊な偽リンパ腫」というテーマで講演します。当日は皆様のご理解と後日の診断にお役に立つよう、白黒ではありますがハンドアウトを無料で配布いたします。

本年9月末に開催する皮膚病理診断研究会の「講習会」の内容については、本研究会のホームページをご覧下さい。ご来場をお待ちしています。

オーガナイザー 新井 栄一(埼玉医科大学国際医療センター 病理診断部)
座長 新井 栄一(埼玉医科大学国際医療センター 病理診断部)

CM-1-1 特殊な偽リンパ腫
演者:阿南 隆(札幌皮膚病理診断科)

CM-1-2 先人に学ぶ”かたち”の言い回し
演者:山元 修(鳥取大学医学部感覚運動医学講座皮膚病態学分野)

CM-2 精巣腫瘍の新しい概念とその運用

6月21日(木)19:20~20:50 D会場(さっぽろ芸文館 3階 黎明の間)

日本泌尿器病理研究会

オーガナイザーの言葉

精巣腫瘍、特に胚細胞腫瘍の概念は近年大きく変わってきています。オランダのLooijengaらは、精巣腫瘍を思春期前後で大別し、更にGerm cell neoplasia insitu (GCNIS)を前駆病変とするか否か胚細胞腫瘍を分類する方法を提唱しました。この考えは広く受け入れられ、2016年に改訂されたWHO分類及び現在改訂中の精巣腫瘍取り扱い規約もこの概念を規範にして作成されています。今回のコンパニオンミーティングでは、精巣腫瘍取り扱い規約の作成に携わった委員により、胚細胞腫瘍の新しい概念の紹介、新しい精巣腫瘍取り扱い規約における胚細胞腫瘍の概念及び紹介及び治療効果判定が紹介されます。本コンパニオンミーティングで、参加者の皆さんと従来の概念と大きく異なる胚細胞腫瘍の概念を共有できる機会となればと考えています。

オーガナイザー 都築 豊徳(愛知医科大学附属病院 病理診断科)
長嶋 洋治(東京女子医科大学病院 病理診断科)
座長 都築 豊徳(愛知医科大学附属病院 病理診断科)
長嶋 洋治(東京女子医科大学病院 病理診断科)

CM-2-1 はじめに
演者:都築 豊徳(愛知医科大学附属病院 病理診断科)

CM-2-2 精巣腫瘍の新病理分類(精巣腫瘍取扱い規約の改訂内容を中心に)
演者:森永 正二郎(日野市立病院・病理診断科)

CM-2-3 性索間質性腫瘍および小児の精巣腫瘍
演者:田中 祐吉(神奈川県立こども医療センター・病理診断科)

CM-2-4 精巣胚細胞性腫瘍の組織学的治療効果判定基準
演者:渡邊 麗子(国立がん研究センター中央病院病理・臨床検査科)

CM-3 乳頭状胆道腫瘍を再整理する

6月21日(木)19:20~20:50 E会場(さっぽろ芸文館 3階 清流の間)

日本膵胆道病理研究会

オーガナイザーの言葉

胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)は、膵臓IPMN に類似した腫瘍として、中沼、全らによって提唱されたものであるが、胆道癌の一型にすぎないとする考えも根強くあった。しかし2010年にWHO分類に胆管癌の前駆病変の一つとして掲載されたことにより、これらの議論に一定の決着がついたものと考えられた。ところが、その後もこの議論は収まらず、それどころかむしろ議論が再燃し混乱に拍車がかかったとさえ言える。IPNBへの反対意見としては、1)IPMNのカウンターパートというには相違点が多い。2)肝内病変と肝外病変で特徴がかなり異なる。3)管内発育型胆管癌(肝外胆管では乳頭状胆管癌)との違いが不明瞭であること、などが主なものとして挙げられる。そんな中、日本胆道学会と韓国肝胆膵外科学会がこの問題の解決に向けて共同プロジェクトを立ち上げた。そして、ここでの議論を通して、病理学的にはおおよそのコンセンサスが得られてきた。本コンパニオン・ミーティングでは、IPNBについてのこれまでの経緯から、病理学的には概ね合意に達してきた病理学的分類のコンセンサスを整理し、実際の症例を検討しながらその妥当性や課題について話し合う機会としたい。

オーガナイザー 古川 徹(東北大学大学院医学系研究科 病理形態学分野)
座長 原田 憲一(金沢大学医薬保健研究域医学系 人体病理学教室)
福嶋 敬宜(自治医科大学 病理学 病理診断部)

CM-3-1 IPNB overview-概要と課題
演者:福嶋 敬宜(自治医科大学 病理学 病理診断部)

CM-3-2 IPNBの提唱とその経緯、そしてこれから
演者:中沼 安二(福井県済生会病院病理)

CM-3-3 IPNBの臨床病理学および分子病理学的特異性
演者:全 陽(神戸大・病理診断学)

CM-3-4 症例提示;胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)診断コンセンサスの確立に向けて
演者:福村 由紀(順天堂大・医・病理)

CM-4 乳腺病理ふぁんだめんたる講座

6月21日(木)19:20~20:50 F会場(ロイトン札幌 2階 エンプレスホール)

国際病理アカデミー日本支部

オーガナイザーの言葉

乳腺腫瘍の病理診断は、経験のある病理医にとってもしばしば難しいことが多い。今回、病理学会のCompanion Meetingを利用させていただき、特に若手の病理医を対象に、乳腺腫瘍病理の基礎的なこと、病理診断報告のあり方、バイオマーカーについての最新の知見などについて、第一線で活躍されているお二人に解説して頂きます。併せて国際病理アカデミー日本支部の活動、国際的な立ち位置、今後の展望について紹介します。

オーガナイザー

小田 義直(九州大学大学院医学研究院 形態機能病理学 /
IAP日本支部 福岡事務局(常任幹事))

モデレーター 松原 修(平塚共済病院 病理診断科 / IAP日本支部 東京事務局)

CM-4-1 乳腺腫瘍の組織分類:過去・現在・未来
演者:森谷 卓也(川崎医科大学・病理学2)

CM-4-2 乳癌の病理診断報告とバイオマーカー検索
演者:三上 芳喜(熊本大学医学部附属病院病理診断科)

CM-4-3 IAP日本支部の紹介と世界での役割

演者:小田 義直(九州大学大学院医学研究院 形態機能病理学 /
IAP日本支部 福岡事務局(常任幹事))

CM-5 呼吸器疾患の病理UPDATE

6月21日(木)19:20~20:50 G会場(ロイトン札幌 2階 リージェントホール)

日本肺病理学会

オーガナイザーの言葉

今回のコンパニオンミーティングは会員からアンケートを取り、希望が多い非腫瘍性疾患を2題、腫瘍性疾患を2題選びました。
非腫瘍性疾患として、類上皮細胞肉芽腫とじん肺を選びました。類上皮細胞肉芽腫は病理学的にサルコイドーシスを示唆し、日常診断でしばしば遭遇します。しかし、類上皮細胞肉芽腫は多様な疾患で観察されるため、その性状、分布様式に基づく鑑別診断が重要です。じん肺の病理診断は病理組織像、粉じんの種類、職種などから総合的に判断する必要があります。石綿肺は労災や環境省の救済の対象であるため病理学的な診断を求められることがありますが、診断が難しい症例が存在します。肺癌、中皮腫の病理診断は、この数年で大きく変化をしました。2015年にWHOより肺癌の新分類が発表され、肺癌取扱い規約も第8版が発行され、各施設で新分類に基づいて肺癌が診断されるようになりました。新分類は予後を反映し、治療に直結する分類ですが、新分類を適応するうえに判断が難しい症例が存在します。中皮腫は癌腫との鑑別が重要ですが、現在用いられているマーカーでは、中皮腫と癌腫の鑑別に苦慮する症例が存在します。近年、分子生物学的手法により、新たな中皮腫陽性マーカー、中皮腫陰性マーカーが発見されました。
これらの内容につき、各分野の専門家に解説をお願いしました。本企画が明日からの病理診断に役立つことを希望します。

オーガナイザー 廣島 健三(東京女子医科大学八千代医療センター 病理診断科)
座長 廣島 健三(東京女子医科大学八千代医療センター 病理診断科)

CM-5-1 肺におけるサルコイドーシスと他の肉芽腫性疾患の病理学的鑑別
演者:武村 民子(日本赤十字社医療センター 病理部)

CM-5-2 じん肺の病理組織像
演者:岡本 賢三(独立行政法人労働者健康安全機構 北海道中央労災病院)

CM-5-3 浸潤性粘液癌の腫瘍径の検討
演者:石井 源一郎(国立がん研究セ・先端医療開発セ・病理)

CM-5-4 浸潤性粘液癌の腫瘍径の検討
演者:齊藤 朋人(関西医大・医・呼吸器外科)

CM-5-5 網羅的遺伝子発現解析に基づく新規中皮腫診断マーカーの検出と応用
演者:武島 幸男(広島大・院・病理学)

CM-6 小児に発症する嚢胞性肺疾患

6月21日(木)19:20~20:50 H会場(ロイトン札幌 2階 ハイネスホール)

日本小児病理研究会

オーガナイザーの言葉

当研究会では毎回小児期に発生する頻度の高い疾患を、臨床的な事項を含めて取り上げている。今回は、嚢胞性肺疾患をテーマにした。胎児期~小児期に発症する嚢胞性肺疾患はいくつかの病型に分類される疾患群である。発症には呼吸器系器官の発生・分化が関わっているが、発症時期・発症機序は不明な点が多く、専門家の間でも見解・解釈に差異がある。厚生労働科研「小児呼吸器形成異常・低形成疾患に関する実態調査ならびに診療ガイドライン作成に関する研究(臼井班)」では、小児期に発症する代表的疾患(横隔膜ヘルニア、嚢胞性肺疾患、気道狭窄、リンパ管異常症、側弯症)について診療ガイドライン作成を行っており、当研究会も研究班に参加し、診療ガイドライン作成に関与した。今回は、大阪母子医療センター小児外科の臼井規朗先生に小児呼吸器形成異常・低形成疾患の臨床的事項について診療ガイドラインの内容を含めご講演いただく。また、北海道大学の高桑恵美先生には嚢胞性肺疾患の病理学的解釈の近年の動向について解説していただく。また、北海道立子ども総合医療・療育センターの木村幸子先生、奈良県立医科大学の武田麻衣子先生にはそれぞれ興味深い症例を提示していただく。会員の皆様のご参加をお待ち申し上げます。

オーガナイザー 松岡 健太郎(獨協医科大学埼玉医療センター 病理診断科)
座長 田中 水緒(神奈川県立こども医療センター臨床研究所 病理診断科)
松岡 健太郎(獨協医科大学埼玉医療センター 病理診断科)

CM-6-1 先天性嚢胞性肺疾患の臨床像と診療ガイドライン ー出生前診断から外科的治療までー
演者:臼井 規朗(大阪母子医療センター 小児外科)

CM-6-2 小児に発生する嚢胞性肺疾患の病理所見
演者:高桑 恵美(北海道大学病院 病理診断科)

CM-6-3 CPAM type 3と考えられた先天性肺気道奇形の一例
演者:木村 幸子(北海道立子ども総合医療・療育セ・病理)

CM-6-4 Filamin A遺伝子異常を伴う小児びまん性肺病変の1例
演者:武田 麻衣子(奈良医大・病理診断)

CM-7 甲状腺腫瘍新WHO分類(第4版)改定のポイント

6月21日(木)19:20~20:50 I会場(ロイトン札幌 1階 キャッスル)

日本甲状腺病理学会

オーガナイザーの言葉

今年、甲状腺腫瘍のWHO分類が改訂された(第4版)。日本甲状腺病理学会として、その主な改訂内容および取扱い規約との違いを日本病理学会の会員に解説する予定である。

オーガナイザー 廣川 満良(医療法人神甲会 隈病院 病理診断科)
座長 廣川 満良(医療法人神甲会 隈病院 病理診断科)
亀山 香織(慶應義塾大学病院 病理診断科)

CM-7-1 新WHO分類における被包性濾胞性腫瘍
演者:近藤 哲夫(山梨大学・医・人体病理)

CM-7-2 濾胞癌におけるWHO分類第4版(内分泌腫瘍)の改訂点
演者:日野 るみ(大東文化大学・スポーツ健康科学部・病理形態学)

CM-7-3 新WHO分類における甲状腺低分化癌の改訂点
演者:林 俊哲(医療法人神甲会 隈病院 病理診断科)

CM-7-4 甲状腺腫瘍の新WHO分類への本邦における対応
演者:菅間 博(杏林大学・医・病理)

CM-8 子宮頸部・子宮内膜の前癌病変の病理診断

6月22日(金)19:30~21:00 C会場(さっぽろ芸文館 3階 蓬莱の間)

日本婦人科病理学会

オーガナイザーの言葉

2014年に改訂されたWHO Blue bookとそれを受けて2017年に改訂された子宮頸癌及び子宮体癌の取扱い規約ではそれぞれの前癌病変について新しい概念が取り入れられた。子宮頸癌ではこれまで使われていた子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)という疾患名と共に、HPV感染による腫瘍の発生機序と病態が明らかになったことを反映した扁平上皮内病変(SIL)という疾患名が採用された。CINの3段階分類からSILは2段階分類となっているが、規約ではSILとCINを併記し、実質的には3段階分類が残されている。子宮体癌では類内膜癌の前癌病変として子宮内膜異型増殖症(AEH)とともに類内膜上皮内腫瘍(EIN)という用語が採用された。EINは子宮内膜の類内膜癌の前癌病変として生物学的、計量形態学的な知見に基づいて提唱された概念で、この病変が腫瘍性病変であることを明示している。SIL. EIN共にこれまでとは細胞異型の捉え方が異なるなど、それぞれCIN, AEHと完全に対応するものではない。このミーティングではSIL, EINが提唱された生物学的背景と共に、実際の標本をどのように読み、診断するかを示していく。

オーガナイザー 柳井 広之(岡山大学病院 病理診断科)
佐藤 勇一郎(宮崎大学医学部附属病院 病理診断科)

CM-8-1 子宮頸部・子宮内膜の前癌病変はどう捉えられてきたか
演者:柳井 広之(岡山大学病院 病理診断科)

CM-8-2 子宮頸部の扁平上皮性前癌病変
演者:長峯 理子(熊本赤十字病院・病理診断科)

CM-8-3 子宮内膜類内膜癌の前癌病変 -EINを中心に-
演者:前田 宜延(富山赤十字病院・病理診断科)

CM-9 胚細胞遺伝子変異に起因する「がん関連症候群」に対し、
病理医の対応力向上に役立つコンパニオンミーティング

6月22日(金)19:30~21:00 D会場(さっぽろ芸文館 3階 黎明の間)

臓器横断的病理診断から読み解く「がん関連症候群」

オーガナイザーの言葉

がん診断における遺伝子情報の重要性が高まるにつれ、クリニカルシークエンスで偶発的に発見される胚細胞遺伝子変異や、医療機関を介さない遺伝学的検査によって直接がん症候群遺伝子情報が未発症被験者にもたらされるケースなどが今後増加することが予想されます。それに伴い、保因者における不顕性段階の臓器から検診目的で検体が採取され病理診断を求められる機会が増えるかもしれません。がん関連症候群の中には散発性との鑑別が難しい様々な良性疾患が含まれます。本コンパニオンミーティングでは、まだ医療関係者に十分認識されていない新規がん関連症候群も含めて、良性疾患から気づかれる可能性がある病態にスポットを当て、これらの疾患概念、類似する症候群や散発性疾患との鑑別に役立つ病理像などを議論します。胚細胞遺伝子変異が疑われる「がん関連症候群」に遭遇した場合に病理医としても知っておきたいポイントを臨床遺伝学の櫻井晃洋先生に、各症例について経験豊富な病理医2名と皮膚科医1名にご発表いただきます。遺伝学的検査で発見頻度が高まる新規がん関連症候群に対し、病理医の対応力向上に役立つコンパニオンミーティングを企画しました。

オーガナイザー 古屋 充子(横浜市立大学医学部 分子病理学講座)
座長 長嶋 洋治(東京女子医科大学病院 病理診断科)
中谷 行雄(横須賀共済病院 病理診断科)

CM-9-1 ゲノム医療時代が拓く新たながん診療の地平
演者:櫻井 晃洋(札幌医大・医・遺伝)

CM-9-2 遺伝性平滑筋腫症―腎細胞癌症候群(HLRCC)の病理
演者:大江 知里(関西医科大学 臨床病理学講座)

CM-9-3 DICER1症候群の概要と最近の知見
演者:田中 水緒(神奈川県立こども医療センター・病理診断科)

CM-9-4 日本人におけるBHD症候群の皮膚病変:皮膚科医の立場から
演者:岩渕 千雅子(日産厚生会玉川病院・皮膚科)

CM-10 デジタルパソロジーの導入で病理診断はどう変わっていくか?

6月22日(金)19:30~21:00 E会場(さっぽろ芸文館 3階 清流の間)

日本デジタルパソロジー研究会、デジタルパソロジーの導入と病理診断

オーガナイザーの言葉

病理診断の今後の方向性や医療における役割、ワークフローなどは、デジタルパソロジーの導入で大きく変わることが予想されています。米国 FDAでWSIスキャナが医療機器の認定を受けるなど、デジタルパソロジー時代がすぐそこに迫っているなかで、今後の病理診断の方向性についての議論が今こそ求められています。日本デジタルパソロジー研究会では、こういった状況を鑑みデジタルパソロジーの現状を踏まえた今後の病理診断の方向性や、デジタルパソロジー導入に伴うワークフローの変化について考えてみたいと思います。また、病理診断へのAI導入の可能性とその影響、特に今後の病理医の仕事のあるべき方向についてディベート形式にてディスカッションを行うinteractiveな会を実施することを予定しています。予定する内容は3部で、1)デジタルパソロジーへの移行状況 4名 30分、2)AI後の病理医の役割は? 2名(pros and cons)30分、3)病理に必要とされるインフォーマティクスとは何か? 30分等を予定しています。是非ご参加ください。

オーガナイザー 森 一郎(国際医療福祉大学医学部 病理学)
座長 森 一郎(国際医療福祉大学医学部 病理学)
白石 泰三(地方独立行政法人 桑名市総合医療センター)

CM-10-1 デジタルパソロジーへの移行状況
演者:森 一郎(国際医療福祉大学医学部 病理学)

CM-10-2 AI後の病理医の役割は? Proの立場から
演者:福岡 順也(長崎大学・医・病理)

CM-10-3 AI後の病理医の役割は?
演者:前田 一郎(聖マリアンナ医科大学 病理学)

CM-10-4 デジタル病理に必要とされるインフォーマティクスとは何か?
演者:齋藤 勝彦(富山市立富山市民病院 病理診断科)

CM-10-5 病理に必要とされるインフォーマティクスとは何か?
演者:伊藤 智雄(神戸大学病院・病理診断科)

CM-11  1)ミニレクチャー 胃癌取扱い規約第15版における変更点
2)炎症性腸疾患(IBD)関連異形成の生検診断--症例検討を中心に--

6月22日(金)19:30~21:00 F会場(ロイトン札幌 2階 エンプレスホール)

消化管病理医の会

オーガナイザーの言葉

消化管病理医の会より、コンパニオンミーティングの申し込みをさせていただきます。病理医にとって消化管は最も数の多い対象であり、日常の診断に役立つヒントを盛り込んだ企画には、例年多数の会員のご参加をいただいています。今回は、診断に苦慮することの多い「炎症性腸疾患(IBD)関連異形成の生検診断」を症例検討の形式で取り上げます。IBD関連異形成にはどのようなバリエーションがあるのか、sporadicな大腸腺腫との鑑別などについて、症例を見ながら考えたいと思います。明日から役立つ「ミニレクチャー」では、2017年10月発行の胃癌取扱い規約第15版における変更ポイントの解説をいたします。

オーガナイザー 八尾 隆史(順天堂大学大学院 人体病理病態学)
根本 哲生(東邦大学医療センター大森病院 病理診断科)
座長 伴 慎一(獨協医科大学 埼玉医療センター 病理診断科)
八尾 隆史(順天堂大学大学院 人体病理病態学)

CM-11-1 胃癌取扱い規約改訂のポイント
演者:九嶋 亮治(滋賀医科大学・病理診断科)

CM-11-2 炎症性腸疾患(IBD)関連異形成の生検診断ー自施設での経験から
演者:林 宏行(横浜市立市民病院・病理)

CM-11-3 炎症性腸疾患(IBD)関連異形成の生検診断 ―実際の症例を見ながら
演者:根本 哲生(東邦大学医療センター大森病院病理診断科)

CM-12 WHO 2017におけるリンパ球系腫瘍について

6月22日(金)19:30~21:00 G会場(ロイトン札幌 2階 リージェントホール)

日本血液病理研究会

オーガナイザーの言葉

2017年9月、WHO classification of tumours of haematopoietic and lymphoid tissue, revised 4th edition が刊行された。2008年版の439ページから585ページに増えたのは、血液・リンパ球系腫瘍の遺伝子プロファイルが大幅に加えられ、腫瘍の本質がより明らかになった結果と考えられる。このセッションでは新WHO分類における変更点をB細胞リンパ腫とT細胞リンパ腫について詳しく解説し、病理学会会員の理解に役立てたいと思う。

オーガナイザー 中村 直哉(東海大学医学部基盤診療学系 病理診断学)
座長 大島 孝一(久留米大学医学部 病理学講座)
中村 直哉(東海大学医学部基盤診療学系 病理診断学)

CM-12-1 WHO分類2017:B細胞リンパ腫
演者:吉野 正(岡山大・大学院・病理)

CM-12-2 2017悪性リンパ腫WHO分類:T細胞リンパ腫を中心として
演者:中村 栄男(名古屋大・病理部)

CM-13 唾液腺腫瘍WHO分類2017・新規の組織型を理解する

6月22日(金)19:30~21:00 H会場(ロイトン札幌 2階 ハイネスホール)

唾液腺腫瘍病理研究会

オーガナイザーの言葉

唾液腺腫瘍の新しいWHO組織分類第4版が2017年初頭に発刊されて1年余りが経った。良悪性を含めた組織型の総数としては第3版(2005年)に比してむしろ減り、整理と再編がなされたが、新規に採用された組織型について個々の概念が周知され十分に広まっているとは言い難いと思われる。今回のコンパニオンミーティングでは、1)多型腺癌(Polymorphous adenocarcinoma)、2)導管内癌(Intraductal carcinoma)、3)低分化癌(Poorly differentiated carcinoma)、4)硬化性多嚢胞腺症(Sclerosing polycystic adenosis)の4つの組織型をとり上げ、その概念、実例、診断のポイントについて演者の方々に解説していただく。これらは疾患概念が拡大された腫瘍や、いくつかの組織型を統合し設けられたカテゴリー、あるいは新しく認識された腫瘍様病変である。本コンパニオンミーティングが新WHO分類の理解と唾液腺腫瘍診断の一助になれば誠に幸いである。

オーガナイザー 浦野 誠(藤田保健衛生大学 医学部 病理診断学講座 病理診断科)
座長 浦野 誠(藤田保健衛生大学 医学部 病理診断学講座 病理診断科)
長尾 俊孝(東京医科大学 人体病理学分野)

CM-13-1 多型腺癌 -疾患概念と鑑別診断-
演者:小川 郁子(広島大学病院・口腔検査センター)

CM-13-2 導管内癌の疾患概念と診断
演者:中黒 匡人(名古屋大学病院病理部)

CM-13-3 唾液腺の「低分化癌」とは?;WHO2017年版での考え方
演者:草深 公秀(静岡県立静岡がんセンター 病理診断科)

CM-13-4 硬化性多嚢胞性腺症
演者:山元 英崇(九州大・病院・病理診断科)

CM-14

6月22日(金)19:30~21:00 I会場(ロイトン札幌 1階 キャッスル)

病理解剖と死亡時画像診断(Ai)研究会

オーガナイザーの言葉

医療事故調査制度における医療事故の院内調査の項目に病理解剖と死亡時画像診断(Ai)が含まれている。したがって、医療事故が疑われる院内死亡例については、CT装置を有する病院であれば、Aiを実施することはほぼ必須になる。つまり、解剖前にAiが撮影されることになり、病理医もAiに関係しなければならなくなった。さらに、医療事故調査における解剖以外でも、Ai撮影を行う施設は多くなったと推測される。実際に、Ai撮影を施行した後に解剖をしたことのある病理医は、両者を施行することでより正確な病態や死因の究明が可能となることを実感していると思われる。そこで、今回のコンパニオンミーティングでは、病理解剖とAiとを施行した症例を桂先生に提示していただく。また、我々はAi画像と病理解剖結果とから新たな知見を生み出すこと、つまり、Ai学(Autopsy imagiology)とも言える研究分野を提唱していきたいと考えている。そこで、病理解剖とAiとを施行した症例検討とともに、工学部の情報工学的なアプローチの研究を山口大・工学部の平野先生に発表していただく。多くの病理医がAiに興味を持ってもらえれば幸いである。

オーガナイザー 法木 左近(福井大学医学部医学科 腫瘍病理学分野)
丸山 理留敬(島根大学医学部 器官病理学)
座長 稲井 邦博(福井大学医学部医学科 分子病理学分野)
荒木 亜寿香(島根大学医学部 器官病理学)

CM-14-1 Aiにより確認できた胃重積症の一例
演者:桂 義久(JCHO横浜中央病院)

CM-14-2 Ai-CTのテクスチャ解析による死後経過時間推定
演者:平野 靖(山口大学・創成科学研究科)

CM-15 フローチャートによる脳腫瘍病理診断の手順 -WHO2016への対応-

6月22日(金)19:30~21:00 J会場(ロイトン札幌 20階 パールホールAB)

日本脳腫瘍病理学会

オーガナイザーの言葉

2016年に脳腫瘍WHO分類が大幅改訂された。従来の細胞分化、形態学的分類から分子診断を取り入れた客観的な統合診断となり、腫瘍診断におけるパラダイムシフトがおこった。日常に経験する脳腫瘍において、形態診断とともに分子情報が必須となった疾患も少なくない。新分類が導入されてから2年近くが経過するが、本邦における病理診断の現場では未だ混乱が収まっていないのが現状である。日本脳腫瘍病理学会においては、一般診断病理医向けに各疾患ごとに診断過程をレベル別フローチャートに示し、新WHO分類に適合した統合診断の手順書の作成を目指している。今回のコンパニオンミーティングでは、gliomaの診断について試作されたチャートの運用方法を解説し、日常の脳腫瘍病理診断に貢献できればと考えている。また、小児、胎児性腫瘍においても、病理診断の流れを解説したい。様々な病理診断施設のお立場から、チャートに対するご批判を頂ければ幸いである。

座長 澁谷 誠(東京医科大学八王子医療センター 中央検査部)
若林 俊彦(名古屋大学大学院医学系研究科 脳神経外科学)

CM-15-1 脳腫瘍新WHO分類における統合診断
演者:澁谷 誠(東京医科大学八王子医療センター 中央検査部)

CM-15-2 Glioma病理診断における統合診断フローチャートの提案
演者:園田 順彦(山形大学・医学部・脳神経外科)

CM-15-3 Gliomaにおける統合診断手順
演者:横尾 英明(群馬大・医・病態病理)

CM-15-4 胎児性腫瘍における統合診断の手順
演者:信澤 純人(群馬大・医・病態病理)

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