会長挨拶

第56回日本人工関節学会
会長 菅野 伸彦
(川西市立総合医療センター 人工関節センター長、
大阪大学大学院医学系研究科 招へい教授
)
この度、2026年2月26日(木)~27日(金)の2日間、大阪国際会議場、リーガロイヤルホテル大阪におきまして、大阪大学整形外科教室とともに第56回日本人工関節学会を開催させていただく運びとなりました。会長を務めさせていただきます川西市立総合医療センターの菅野伸彦と申します。このような重要な学会を主催する機会をいただき、大変光栄に存じます。
人工関節による治療は、股関節や膝関節にとどまらず、肩、足関節や肘関節、さらには手指や足趾など多岐にわたり、障害関節の機能を蘇らせる標準的な治療法として確立されました。これにより患者の生活の質(QOL)は飛躍的に向上しております。しかしながら、手術進入法や手技、インプラントの材料やデザイン、固定法、さらには3次元画像やコンピュータ技術の応用など、治療体系全体として標準化されているとは言い難い状況です。また、若手外科医やコメディカルスタッフの教育や技能習得についても、まだ最適化の余地があると考えています。
今大会のテーマとして「破邪顕正 - The truth will set you free -」を掲げました。
人工関節の分野においては、真実に基づく実践的な研究や技術革新こそが、患者の生活の質を向上させる鍵となります。これまで常識とされてきた定説や、個人的な経験や判断に基づいて正しいと信じられてきた事柄が、実際には正しくない(邪)可能性もあるという視点で、科学的探究を進め、事実に基づいた議論を通じて正しい真実(正)を明らかにしていきたいと考えています。こうした考える力は、人工知能が提示する誤った結論を見抜く力にもつながり、次世代の研究者にとっても重要な姿勢となるでしょう。この学会を通じて得られた知見が、今後の診療や新たな技術革新へとつながり、参加者が真に自由な発想で患者の運動器の健康に貢献できる場となることを目指します。
日本人工関節学会は、研究の活性化、若手整形外科医の教育・啓発、そして国際化の推進を使命としています。本大会では、American Association of Hip and Knee Surgeons (AAHKS)との合同シンポジウムを予定しており、海外からの発表者や招待講演者を迎え、幅広い視点での議論ができるよう企画を進めております。また、企業の皆様のご協力のもと、会員が一堂に会して最新の技術や知見を共有し、活発な議論を行える場を共に創り上げていきたいと考えています。
皆様のご参加とご支援を心よりお待ちしております。
2025年2月吉日