中高生のためのセッション

作文コース 全体講評

毎年、この再生医療学会総会に合わせて作文コンクールを開催してきました。本年度も総会テーマである「Passion, Vision, Action ―実学としての再生医療―」に合わせてテーマを設定したところ、たくさんの作文をお寄せいただきました。

今回は、昨年度のテーマである「Compassion」を受けて、その情熱「Passion」をさらに進化させ、未来のあるべき姿を描く「Vision」、それを実現させるための具体的な行動「Action」までをテーマとしています。その結果、未来を切り開こうとする作文が数多くありました。また、すでに行動に移しているという人もいました。あらためて行動が最終的な目的ではなく、Actionから見えてくるVisionもあることに気づかされました。

特に、金賞を受賞された鈴木香那さんの作品は、祖父の認知症と再従姉妹(はとこ)の出産とに向き合った時の体験をもとに、命について深く思いを巡らせている作文でした。医療というのは、ともすれば、手術した瞬間や命の危険が去った瞬間に目が向きがちです。ところが鈴木さんの思いはその一瞬だけに留まらず、その後も、車椅子の友人や高齢者との関わりという自分なりのActionを通して、医療のVisionを「医療の使命は命を救うだけで終わってはならず、救われた命がその後も自分らしく生きられる道を照らし出すことが必要だ。」と述べています。ここに、鈴木さんの強い思いが表れていると感じました。医療という本質をとらえた、とても優れた作文でした。

応募された作文の中には、直接には医療問題に関わらない作文もありました。まさに、医療は社会の様々な問題と切り離して考えることはできません。人々の意識の変化、法律や制度上の問題、医療費などの経済的課題、自然災害との関連、医療行為を支えている人たちのこと、そして実際に医療を受ける人に纏わる個人個人の状況など。日本再生医療学会はこれらを包含しつつ、よりよい医療の世界を築くべくそれぞれが格闘しています。この作文コンクールに寄せられる作文は、そのような多岐に亘る課題に気付かせてくれます。これが再生医療のVisionを形作っていることは間違いなく、ここに応募してくれた皆さん全員にお礼申し上げます。

学校全体として本コンクールに取り組んでいただいているところもあり、多くの作品を応募いただきました。教育の中でこの医療の問題を取り上げていただいていること、最後になりましたが、学校関係者の皆様に深く感謝申し上げます。

作文コース 受賞者

学校名・学年・氏名 作文タイトル
金賞 慶應義塾女子高等学校 1年
鈴木 香那
治す医療から支える医療へ
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銀賞 石川県立金沢泉丘高等学校 2年
市堰 真緒
「協力」が生む「理想から実現へ」
銀賞 慶應義塾女子高等学校 1年
吉田 莉子
「今」を視て、「未来」を変える
銅賞 南多摩中等教育学校 5年
遠藤 有華
想いを繋ぐ
銅賞 慶應義塾女子高等学校 1年
伊藤 侑
進歩する医療、心歩する医者
銅賞 流通経済大学付属柏中学校 2年
桜林 大翔
夢に向かう僕の決意

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