第25回日本家族性腫瘍学会学術集会(The 25th Annual Meeting of the Japanese Society for Familial Tumors)

テーマ:がんゲノム新時代

ご挨拶

ご挨拶 大会長 青木 大輔

第25回日本家族性腫瘍学会学術集会
大会長 青木 大輔
(慶應義塾大学医学部産婦人科学教室)

第25回日本家族性腫瘍学会学術集会の会長を仰せつかりました慶應義塾大学医学部産婦人科学教室の青木大輔でございます。今回は東邦大学看護学部の村上好恵先生との二人会長で、2019年6月14日(金)・15日(土)の両日、東京・日本橋で本学会学術集会を開催させていただきます。

今回の学術集会のテーマは「がんゲノム新時代」といたしました。ヒトゲノム計画の終了を経て、がん医療も従来からの集学的治療を礎にポストゲノム研究の時代に突入いたしました。ゲノム情報に基づく個別化医療が様々な癌腫で実現に向かう中で、遅れていた国の体制整備も2018年に入り「がんゲノム医療中核拠点病院・連携病院」が選定され、まさにがん医療は新しい時代に突入した感があります。その中でも、家族性腫瘍はがんゲノム新時代において最も脚光を浴びる領域でありますが、同時に家族性腫瘍に携わる医療者は常に診断・治療・サーベイランスに関わる最新情報を習得し患者さんからの期待に応える責務があります。「ゲノム」とは、「gene(ジーン、遺伝子)」とすべての集合を表す「−ome(オーム)」を組み合わせた造語でありますが、本学術集会では家族性腫瘍に携わる医師、看護師、認定遺伝カウンセラー、検査技師など、専門知識を持つ医療職者が集まりdiscussionし合うことで、がんゲノム新時代の幕開けに臨みたいと思います。本学術集会では、各施設で取り組まれているクリニカルシーケンスやプレシジョンメディシンの動向、さらにはデータベース共有やバイオバンク事業など、幅広くがんゲノム医療の最新情報をみんなで共有できるプログラムを企画させていただきます。また、本学会会員数も本年度にすでに千人に到達した中、新しく家族性腫瘍に興味を持たれた先生方やこれから携わっていかれる若手の先生方も増えてまいりました。そこでsubspeciality習得の一助となりますよう、家族性腫瘍の代表的な疾患について教育講演も多数組ませていただきます。

本学術集会を開催する東京・日本橋は、江戸時代より全国津々浦々と江戸を結ぶ五街道の起点として、商業の中心地として栄え、文化を発信してまいりました。伝統と新しさが共存する日本橋で、古き良きものに心寄せつつ、新しいものを取り込み将来に繋げる、そんな江戸っ子気っ風に倣い、ともに勉強してまいりましょう。多くの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。

ご挨拶 大会長 村上 好恵

第25回日本家族性腫瘍学会学術集会
大会長 村上 好恵
(東邦大学看護学部がん看護学研究室)

このたび、慶応義塾大学医学部教授の青木大輔先生とご一緒させていただき、第25回日本家族性腫瘍学会学術集会の大会長を拝命し、大変光栄に存じますと同時に、その重責に身が引き締まる思いです。

ライフワークとなる家族性腫瘍に出会うきっかけは、1999年、兵庫県立看護大学大学院の院生時代に兵庫医科大学病院外科教授(当時)の宇都宮譲二先生の外来に毎週同席させていただいたことでした。大腸全摘後の日常生活上での困り事について話されている家族性大腸腺腫症の患者さんの様子を初めて拝見し、消化器外科の看護師経験の中でも出会ったことのない疾患であり、大腸を切除するとはどういうことだろう、この疾患は何だろう、術後の生活で他にはどのようなことで困るのだろう、など多々疑問に思ったこと、そして自分の無知さを今でも鮮明に覚えています。

その後、家族性大腸腺腫症発症に寄与するAPC遺伝子変異部位によるポリープ発生のホットスポットの解明がすすみ、手術タイミングや切除範囲の変化、内視鏡によるポリープ切除での対応など治療方針が変化してきました。他にも、HBOCでは関連遺伝子と治療薬選択の検討が実臨床に組み込まれる時代になりました。しかし、今後さらにゲノム医療が発展していったとしても、お一人おひとりが抱えるその疾患やリスクの可能性と向き合いながら生きていくこと、そして治療による身体的・精神的・社会的影響は存在しますので、医療者は常に丁寧に、真摯にお一人おひとりの困り事に取り組んでいかなければならないことに変わりはないと考えます。

ここ数年の大会テーマ(家族性腫瘍の縦糸と横糸を紡ぐ(第23回)、Linkages(第24回)、そして第25回の「がんゲノム新時代」)が一本の道筋を照らしてきたように、ゲノム医療は、今後ますますexpandingしていくことが予想されます。この先、どのような未来が待っているのか想像がつきませんが、10年先、20年先を見据えながら、「今」なすべきことに対して、医療者だけではなく当事者の方々も含めて皆で取り組んでいきたいと思います。

会員の皆さまには、研究の成果をご発表いただき、討論を通して次につながる研鑽の場にしていただきたいと思っております。参加者の皆さまにとって、有意義な2日間になるよう万全の準備を重ねていく所存です。多くの皆さまの御参加を、心よりお待ちしております。