ご挨拶

第36回日本臨床栄養代謝学会学術集会 会長 鍋谷 圭宏(千葉県がんセンター 診療部長 / NSTチェアマン 千葉大学医学部臨床教授)

第36回日本臨床栄養代謝学会学術集会
会長 鍋谷 圭宏
千葉県がんセンター 診療部長 / NSTチェアマン
千葉大学医学部臨床教授

第36回日本臨床栄養代謝学会学術集会(JSPEN2021)開催にあたりまして

この度、2021年7月21日(水)〜22日(木)に、第36回日本臨床栄養代謝学会学術集会(JSPEN2021)を開催させていただくことになりました。2020年から名称変更した日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)は、会員数が約22,000人の臨床栄養学における世界最大のPEN societyとなりました。このJSPENの学術集会を担当させていただけることは大変光栄であり、ご支援を賜りました学会員の皆様に心からお礼申し上げます。
 JSPENの第35回学術集会(JSPEN2020 京都:佐々木雅也会長)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行により集合型開催が中止になった最初の大きな学術集会でした。本年のJSPEN2021は、拡大していたCOVID-19の終息と神戸での現地開催部分を残したハイブリッド形式の開催を祈念して、当初予定していた2月から7月への開催延期という前例のない決断をさせていただきました。多くの医療者や企業の方々にご迷惑をおかけしましたことを改めてお詫び申し上げます。しかしながら、2021年6月上旬の時点で第4波の感染がまだ続いており、長期化しているCOVID-19対策にご尽力されている全国の医療者の皆様に心から敬意を表します。こうした状況下で、JSPEN2021の開催形式については経時的に慎重に検討してまいりました。まだ最終結論は出ておりませんが、安全対策に留意した上で可能であれば、神戸での現地開催部分を講演・主題中心に縮小したハイブリッド形式で開催させていただきたいと願っております。しかし、今後のCOVID-19の拡大状況によっては、完全WEB形式の開催への変更も起こり得ることをどうかご了解いただきたく思います。
 JSPEN2021のテーマ「温故知新:栄養療法のこれまで・今・これから」は、「新たな学会名称となった今、これまでの歴史を振り返り、現状と、次世代に伝えるべきことを考えたい」という想いで掲げましたが、図らずも2020年からのコロナ禍で、学術集会のあり方を根本から考え直す機会となりました。この1年余りの経験から、WEBを用いた学術集会や会議は利点も多く、全ての参加者が会場まで集合しなければならない学術集会は今後なくなってしまうのではないかと感じます。コロナ禍に準備を始めた初めてのJSPEN学術集会であるJSPEN2021はまさに今後のモデルになると認識して、誠心誠意準備に取り組んでまいりました。結果的には、COVID-19に翻弄され、予定変更ばかりで時間だけ過ぎてしまいましたが、多くの方々からの激励とご支援をいただきました。至らない点も多々あるかと思いますが、どうかご理解とご容赦をいただけますと幸いです。
 また、開催延期により新年度となり、JSPENも大きく変わりました。新たに比企直樹教授(北里大学)が理事長に就任され、組織も一新されました。しかし、世界最大のPEN societyとして「これから」発展していくためには、歴代理事長を始め研究会時代からご尽力された役員そして学会員の「これまで」の努力、その結果としてのJSPENの「今」があることを忘れてはなりません。まさに「温故知新」の想いで、学術集会のプログラムも一部変更させていただきました。理事長講演に加えて、将来構想委員会の分科会として45歳以下の若手会員がJSPENの「これから」を考える会「U45(ユー・フォー・ファイブ)」の立ち上げをご報告する座談会は注目です。是非多くの若手会員に聴いていただき、将来はU45に参加してご活躍いただきたいと願っております。

JSPEN2021では大変興味ある演題が多数発表されます。記念講演、第一線でご活躍の先生からの特別講演と教育講演は、様々な視点からお話しいただきます。海外のPEN societyを代表する6 名のご高名な先生からも、オンラインでご講演いただけることになりました。関連する主題セッションと合わせて聴講いただければ、理解がより深まると思います。さらに、一般公募演題の中からCOVID-19と栄養管理に関連したセッションを2つ設けました。抄録提出時から社会状況が変化しているかもしれませんが、様々な視点からCOVID-19対策として私達の経験を共有できればと思います。主題セッションとしては、シンポジウム9、パネルディスカッション13、ワークショップ6と計28のセッションが開催されます。司会の先生のご尽力により、いずれも最新の知見を学べる素晴らしい内容です。特に、学術集会テーマと関連して、静脈栄養、成分栄養剤、周術期栄養管理、救急集中治療という4つのテーマで「これまで・今・これから」を学ぶシンポジウムを設けました。それぞれの分野で活躍された先達にレジェンドとして基調講演と総括をいただくという、必見のセッションです。また、2019年から3年間継続して議論することになった3つのテーマ(サルコペニア・フレイル対策としての栄養管理、がん化学療法・放射線療法における栄養療法、重症患者の栄養療法)についても、シンポジウム・パネルディスカッションで十分議論していただき、最終回として何かメッセージが得られることを期待しています。今年から、NSTフォーラムとNST関連ワークショップは、NST関連のクレジット対象セッションとなりました。他にも、フェローシップ応募者セッションやアワードの受賞講演、そして英語論文の書き方講座など、臨床栄養学・代謝栄養学の臨床・研究・教育の全てに関連する幅広い内容の構成になっていると思います。
 要望演題はWEBですが、ライブでは登録済発表動画を配信し、リアルタイムの質疑応答を計画しております。全ての一般演題は会期中に先行してオンデマンド視聴が可能です。座長の先生のご評価(総括スライド)に加えて、質問投稿システムから質問できるように致します。WEBのメリットを活かして、是非とも双方向で意見交換ができることを期待しています。プレゼンテーションの録音とアップロードはやや面倒かもしれませんが、これからの学術集会では必ず必要な応募システムになってしまいました。今回は、動画形式(MP4)にはご自身で変換されなくてもシステムで対応できるようになりましたので、少し手間が省けるかと思います。学術的交流を少しでも維持し、さらに自身の発表が評価を受けるために必要な方法としてご理解いただければ幸いです。

WEBの利点が分かってきた一方で、人と人・物・出来事などとの貴重な出逢いは、現地参加でないと得難い財産です。ハイブリッド形式の開催が叶いましたら、ご来場可能な先生は、感染対策に十分に留意して神戸での勉強と意見交換に参加していただきたいと思います。しかし、COVID-19の流行状況は予断を許さず、現地参加につきましては、ご自身の体調や各施設の事情などを十分考慮して慎重にご判断いただきたく存じます。もし神戸にお越しになれなくても、完全WEB形式の開催となっても、本学術集会のプログラムはライブ配信し、一部の共催セミナーを除いて会期終了後にオンデマンド配信を行いますので、十分に楽しんでいただけると思います。リアルでは決して聞くことができない同時進行のプログラムを、オンデマンドで全て聴講できるのです!勿論、現地参加でもWEB参加でも参加証明証は発行され、その記録は本学会の認定取得単位の対象となりますので、ご安心下さい。
 多くの皆様と神戸でお会いできないことは誠に残念ですが、JSPEN2021が栄養療法の進歩に寄与する有意義な学術集会になりますように現時点での最善を尽くす所存でございます。開催形式によらず、ぜひともJSPEN2021にご参加いただき、新しい形の学術集会で学んでいただければ幸いです。皆様のご理解とご指導・ご支援を賜りますよう何卒宜しくお願い致します。

神戸でお会いできることを祈念して。

2021年6月吉日

この度、第36回日本臨床栄養代謝学会学術集会(JSPEN2021)を、2021年2月18日(木)~19日(金)に神戸で開催させていただきます。2020年より日本静脈経腸栄養学会から名称変更した日本臨床栄養代謝学会は、現在会員数が約22,000人で、年次学術集会には臨床栄養学に携わる10,000人以上の熱心な方々が参加されています。そのため、学術集会開催地が会長の所属先に規定されない選択となりまして、今回は、神戸国際会議場・神戸国際展示場・神戸ポートピアホテルで構成される神戸コンベンションセンター全体が会場となります。

JSPENの前身である日本静脈・経腸栄養研究会の発足は、私が千葉大学を卒業した1985年です。私は1989年第4回の札幌での研究会で初めて発表し、その後今日までJSPENで多くのことを学び、多くの仲間と出逢い、かけがえのない経験をさせていただきました。私の母教室である千葉大学第二外科(現 大学院先端応用外科学)同門では、JSPENのルーツの一つである第1回成分栄養研究会を1977年に当時の佐藤 博教授が開催され、静脈・経腸栄養研究会としては、第6回を小越章平先生が、第11回を碓井貞仁先生が開催されております。また、1998年に千葉大学第一外科の中島伸之教授が第13回の研究会を開催された後に、小越章平先生を初代理事長として日本静脈経腸栄養学会(JSPEN)が発足しました。このようにJSPENの発展に貢献された偉大な先達には到底及びませんが、私も育てていただいたこのJSPENの会長を今回拝命したことは、千葉大学同門として大変光栄であると共に重責に身が引き締まる思いです。改めまして、この機会を与えて下さった学会員の皆様に厚くお礼申し上げます。

JSPEN2021のテーマは、「温故知新:栄養療法のこれまで・今・これから」とさせていただきました。新たな学会名称でスタートした今、これまでの歴史を振り返り、現状と、そして次世代に伝えるべきことを考えたいという想いです。多方面での研究成果を発表していただき、学び、活発な意見交換の場となりますよう、充実したプログラムを企画しております。今回の学術集会から、倫理審査が必要となる演題がございますが、JSPEN側でしっかりサポートさせていただきますので、HPをご覧の上でぜひ今まで通り多数の演題の応募をお願い致します。

ご存知のように、学会名称変更後初めての2020年2月の第35回学術集会が集合型開催中止という苦渋の決断となりました。楽しみにして下さっていた皆様にはご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。2021年2月には、是非とも今年の想いを引き継ぎ、実りある第36回学術集会が開催できますよう、千葉県がんセンターに加えて千葉県で臨床栄養に携わるスタッフの力を結集し、誠心誠意準備して参ります。アウエーではありますが、神戸は私の大好きな街で全国からのアクセスも良好です。多くの皆様と神戸でお会いできますことを心より楽しみにしております。どうぞ宜しくお願い致します。

第36回日本臨床栄養代謝学会学術集会