会長挨拶

第35回スパズム・シンポジウム
会長 石川 達哉
(秋田県立脳血管研究センター 脳神経外科診療部)

皆様におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

このたび、第35回スパズム・シンポジウムを来る2019年3月21日(木)、パシフィコ横浜において開催させていただく運びとなりました。第44回日本脳卒中学会学術集会および第48回日本脳卒中の外科学会学術集会と合同でSTROKE2019として開催いたします。事務局一同、鋭意準備を進めているところでございます。

本学会においてはテーマを“多様なアプローチで臨む脳血管攣縮の克服(エビデンスとニュアンス)”として、遅発性脳虚血DCIや脳血管攣縮の全体像を、多様な治療選択肢の中から臨床で実際に何が行われ、その治療成果はどうなっているかという現場の状況と、基礎的研究の結果から明らかにしたいと思います。

脳血管攣縮については各施設において様々な取り組みがされており、その方法の組み合わせ方や、各治療手段の重み付けは異なっているようです。スパズムの治療については、効果があると思われること全てを重ねてやっていても結果が出るわけではありません。内容が相反することもあるので、いくつかを選択して組み合わせる必要があり、そのあたりの細かいやり方が大切になるところです。本シンポジウムでは予防や治療についてエビデンスとして確かなこと、またニュアンスとして大事なことを議論することによって、今後の脳血管攣縮治療に寄与するものとしたいと考えておりました。全世界的にもスパズム関連の研究は低調な傾向が続いておりますが、プログラムの趣旨をお汲み取りいただき、珠玉の演題をご応募いただきありがとうございました。会場と時間の制限から、加えまして前回のスパズム・シンポジウムにならって総合討論の時間を取りたいと企画しており、一部の演題の発表形式がご希望に沿えなかったことを心からお詫び申し上げます。

今回は演題募集に先立ちまして、スパズム治療に積極的に取り組んでいる施設として、スパズム・シンポジウム世話人施設ならびに過去5年間にスパズム・シンポジウムでご発表いただいた施設を対象に、脳血管攣縮予防・治療の考え方を調査するアンケートを実施させていただきました。この結果については会長講演「リアルワールドにおける脳血管攣縮予防・治療の実態」としてスパズム・シンポジウムの中で私の方から発表させていただきます。各施設での色々な考え方や実際の治療において、合意が得られている点やさらには大きく相違する部分に注目してください。また恒例の文献紹介は、基礎編を富山大学脳神経外科黒田敏先生に、臨床編を次期スパズム・シンポジウム会長の三重大学脳神経外科鈴木秀謙先生にお願いしております。

またシンポジウムでは、各時間軸(根治治療時、根治治療終了後、脳血管攣縮発生時)の中で、予防と治療の選択をどうするか、各施設の考え方やニュアンス、その成果を発表いただけるようなシンポジウムを企画しました。セッションの構成は以下のようになります。
(1)Day0-1のエビデンスとニュアンス
(2)Day1からのエビデンスとニュアンス(1、2)
(3)症候性スパズム治療のエビデンスとニュアンス
詳しい内容やねらいはプログラム概要を御覧ください。様々な認識を再構築し、今後の各施設での予防や治療方法の確立にむけて討論していただければと思っています。
ほか未来のブレークスルーに向けたいろいろな要因に注目した基礎的な発表を「DINDを多角的に捉える」というセッションで、またポスターセッションでは臨床例から見えてきた事実やアイデアを「臨床の諸問題」というテーマでご発表いただきます。

皆さんにはぜひとも会場にお越しいただき、意欲的な発表に耳を傾け、また活発な討論に参加していただきたくお願い申し上げます。