ご挨拶

第47回日本てんかん外科学会
会長 飯田 幸治
(広島大学病院てんかんセンター 教授・センター長)

会長 飯田幸治(広島大学病院てんかんセンター 教授・センター長)

この度、第47回日本てんかん外科学会を2024年2月1日 (木)・2日 (金)の両日に、札幌で開催させていただきますことを大変光栄に存じます。

本学会は、1978年に「ペンフィールド記念懇話会」として発足し、2000年より「日本てんかん外科学会」と改称し現在に至っております。発足時は「てんかん外科」という名を冠することが憚られる時代背景があったと聞き及んでおります。患者さんのために行なっているはずのてんかん外科が「精神外科」として排斥されていた時代です。しかし、当時と異なり、今では、患者さんに様々な福音をもたらしうる有用な手段として認識されています。また、ステレオ脳波の導入やニューロモデュレーションの発展など、さらなる展開が期待される領域となっています。

第47回大会では、このようにめざましい進歩や多様化を示しているてんかん外科(医)のあり方をもう一度よく考える機会として、テーマを「協奏するてんかん外科 -concerto and competition」としました。音楽用語での協奏 (コンチェルト concerto) は、オーケストラによる交響曲 (symphony) のようにみんなで仲良く、という意味ではありません。インターネットで調べてみますと、伊語での直訳は「競争」であり、声楽群や楽器群といった複数のグループが掛け合い、絡み合い、競争しあうものだったようです。また、協奏曲ではバイオリン協奏曲やピアノ協奏曲と言われるように、オーケストラは独奏楽器によるソロ演奏を引き立てる役に徹します。しかも、独奏楽器が伴奏無しで音楽を奏でるカデンツァというパートがあります。では、てんかん外科治療におけるソロ演奏者とは誰か?外科医ではありません、患者さんです。あくまでも患者さん中心であることが重要です。

我々てんかん外科医に求められる知識や技術は日々増え続けています。お互い研鑽し、競争していく必要があります。本学会では、是非その成果を発表・聴講いただくとともに、多様な技術や手技をどのように用いるべきかを見極め、中心にいる患者さんのカデンツァをサポート・協奏する仕組み作りまでも考えていただける会にしたいと思っております。脳神経外科はもとより、てんかんに関連する基礎・臨床の多くの領域の国内外の先生方、多数の会員の皆様のご参加を心よりお待ちしております。

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