会長挨拶

第27回日本がん免疫学会総会
会長 藤原 弘
(三重大学大学院医学系研究科 個別化がん免疫治療学分野)

この度、総会会長の任を賜り、第27回日本がん免疫学会総会を2023年7月19日~7月21日に三重県津市で開催させて頂く運びとなりました。

近年のがん免疫療法の進歩は著しく、従来の治療では難治性再発性であった血液がんを始めとして幾つかの固形がんに対しても、免疫チェックポイント阻害剤や遺伝子改変T細胞療法が治癒の可能性を示しつつ治療成績の向上が得られています。しかしながら、その効果は決して満足できるレベルとは言えず、今、この瞬間も、アカデミア、企業、規制当局間の叡智の集積により、より多くの患者様に、より日常生活制限の無い、長期寛解から治癒を目指し得る治療を御提供するべく努力が続けられています。

1996年に設立された基盤的癌免疫研究会から出発した日本がん免疫学会は、諸先生方のご努力により、本邦において、ヒトのがん免疫応答の理解とその治療応用のための制御を目指して質の高い基礎研究と、臨床応用へ向けた最先端の基盤技術開発を一貫してリードしきたと自負しております。そして、がん免疫療法の臨床効果に一つの“壁”が明らかになりつつある今、そのブレークスルーに向けて、なお一層研究努力するとともに、その成果を実臨床の場で実践して示すことが、極めて重要だと改めて実感しております。その事を胸に、テーマを「深く識(し)り、果敢に挑む」として、本総会を開催させて頂くこととしました。

昨今のコロナパンデミックにより、ここ数年現地参加者は減少していますが、2023年は、よりウィズコロナも進むと予想されます。完全対面で600名以上の現地参加者を目標に、産学官を越えて日本のがん免疫学とがん免疫療法研究をさらに加速するうねりに繋げて行ければと考えております。

また、皆様ご承知かと思いますが、私たち三重大学大学院医学系研究科個別化がん免疫治療学分野の創設者で、日本がん免疫学会の創設期からのコアメンバーであり、国内はもとより世界のがん免疫学・がん免疫療法を牽引してこられた、珠玖洋特定教授が本年9月に急逝されました。私達は大きな舵取りを失いましたが、珠玖先生の「研究は止めるな。」とのお言葉を胸に、なお一層の努力を以て、本総会を成功させたいと考え、本総会プログラムにおいて、珠玖洋先生追悼記念シンポジウムを組ませて頂きます。

2023年7月に第27回日本がん免疫学会総会を、珠玖先生のおひざ元である三重大学で開催させて頂きます。多くの先生方にご参加を賜り、珠玖先生の足跡を通してがん免疫学会の歴史を感じて頂くと共に、ご参加の先生方のさらなるご発展の機会として頂ければと願っております。どうぞ宜しくお願い致します。

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