ARS 2021 Annual Meeting

会長挨拶

大会長 白土博樹
大会長 白土博樹

北海道大学大学院医学研究院 教授

この度、日本放射線腫瘍学会第33回学術大会を、2020年10月1〜3日にホテル ロイトン札幌と札幌市教育文化会館にて開催させていただくことになりました。北海道大学としては初めての開催であります。

今回のテーマは、「真理の追究と人々の平安」で、私が若い頃に当時の北海道大学医学部放射線科教授の故入江五朗先生と交わした約束に由来します。ある時、「あんたがこれからの人生で大切にしたいことを紙に書いてこい。」と言われ、お渡ししたのがこの言葉でした。日本の放射線治療の発展に大きく貢献された、故入江五朗教授へのオマージュも込めて、テーマにさせていただきました。

理想的な学問は、真理の追究をすることが、そのまま人々の平安につながるものだと思います。しかし、真理を追究するだけでは人々の平安にはつながらず、人々が平安であればそれでよいと居直れば学問の進歩が止まるため、その両立は難しい課題です。放射線腫瘍学は、数学・物理という普遍的科学を土台とし、科学的な議論による真理の追究がそのまま患者や家族の苦しみを減らすことに繋がり、人々を平安に導くことができるという、学問として理想的な特徴を持っております。

学術大会のルールは、参加者全員が科学的に真理を追究することであり、本来は演者も聴衆も対等ですが、とかく聴衆は受動的になり勝ちです。今回は、いくつかのセッションでアクテイブラーニングを取り入れるなどで、主体的、対話的で深い知識の普及を目指します。本学術大会において、個々の参加者が対等に議論し、参加者が主体的に深い知識を吸収し、その知識が波紋となって日本中そして世界に広がり、人々の平安に繋げることができれば、これに勝る喜びはありません。

リアルワールドで「初めてのご挨拶・たわいもない語らい・笑い合い・ふれあい」ができることも、学術大会の醍醐味です。情報交換会では、北海道を代表する料理と、軽い余興により、日常ではお話できない方々との「生涯忘れられない、柔らかい時間」がスムーズに進むフレームワークをご用意します。人生の師や友を見つけたり、新たな研究のヒントが生まれる、良いきっかけになるはずです。また、スポーツ好きには、札幌大通公園と道庁周辺のラン&ウォークも予定しております。澄み切った秋の北海道の空気の中、セレンディピティの瞬間が訪れる可能性大です。

大変恐縮ですが、天候などを考慮し、例年よりも約1月早く開催させていただきますので、演題登録締め切りなども1月ほど、早まりますことをご了承ください。

できるだけたくさんの皆様にお集まりいただき、盛大な学術大会になりますことを祈っております。