優秀教育講演賞、Highly Cited Award、JRR誌優秀論文賞、
優秀査読者賞、地域貢献賞、優秀教育発表奨励賞のご案内

優秀教育講演賞

西岡 健太郎

西岡 健太郎

(北海道大学病院 放射線治療科/北海道大学 医理工学グローバルセンター)

このたび優秀教育講演賞に選出して頂き、望外の喜びに浸っております。講演の機会を下さったJASTRO教育委員会の皆様、ならびにご聴講・ご評価下さった先生方に厚く御礼申し上げます。

私は昨年の学術大会で膀胱癌に関する教育講演を担当させて頂きました。膀胱癌に対する膀胱温存療法は患者さんのQOL向上に大きく貢献する治療ではありますが、適応判断のためには進行期分類だけでなく臓器や腫瘍の特徴を理解する必要があり、また膀胱温存療法と言っても様々な治療法があり、治療に携わるようになった当初から悩みと迷いの連続でした。壁にぶつかるたびに文献を探し、当科や泌尿器科の先生方にご指導を頂き、患者さんからも様々なことを教わりながら少しずつ知識を集めてまいりました。今回の教育講演では今までに学んだことの集大成として、特定の治療法にこだわらず、広く周辺知識を盛り込んだつもりです。私などよりも多くのご経験がある先生がいらっしゃる中で“教育”などと申し上げるのは大変恐縮ですが、私の講演の中に何かご参考にして頂ける情報がありましたらこれに勝る喜びはございません。

私が賞を頂けましたのは、これまでご指導下さった諸先生方のお力添えや同僚・家族の支えによるものに他ならず、この場をお借りして深く御礼申し上げます。今後も膀胱温存療法の発展・普及に微力を尽くして参る所存ですので、引き続きご指導・ご支援下さいますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

吉村 通央

吉村 通央

(京都大学 大学院医学研究科 放射線腫瘍学・画像応用治療学)

この度は、日本放射線腫瘍学会優秀教育講演賞という名誉ある賞に選出いただきまして、大変光栄に感じております。また、教育講演の機会を与えていただきました教育委員会の先生方、大会関係者の先生方に心より感謝申し上げます。

今回私に与えられましたテーマは乳癌で、ちょうど2022年に日本乳癌学会の乳癌診療ガイドラインが改訂になり、私が放射線療法小委員会の委員長を務めさせていただきました関係でお声をかけていただき、ガイドライン改訂のポイントを中心にお話させていただきました。乳癌診療ガイドライン放射線療法の項は、8名の委員、16名のシステマティック・レビュー委員が力を合わせて作成いたしましたので、その先生方を代表して講演させていただいたという気持ちです。乳癌の放射線治療は、ここ10年でかなり複雑化してきました。乳房部分切除術後放射線療法における領域リンパ節照射の適応、PMRTの適応、内胸リンパ節照射の適応、化学療法が奏功した場合の対応、薬物療法とのタイミング、再建乳房に対する放射線治療の適応、など先生方も日常診療で悩まれることが多いと思います。なるべくその一助となるようにスライドを作成させていただきました。少しでも先生方のお役に立てたのであれば幸いです。

また、最後になりましたが、いつもご指導いただいております医局の先輩方、サポートいただいている同僚・若手の先生方・コメディカルの皆さん、乳癌診療ガイドラインの委員・システマティック・レビュー委員の先生方にもこの場を借りて感謝申し上げたいと思います。この度は本当にありがとうございました。

伊藤 慶

伊藤 慶

(東京都立駒込病院 放射線科治療部)

第23回夏季セミナーで「脊椎SBRT~その1ピクセルを描き出せ~」の講演を行いました都立駒込病院の伊藤慶です。この度は大変栄誉な賞にご選出頂き、誠にありがとうございます。

講演のタイトルは東洋大駅伝チームのスローガン「その1秒をけずりだせ」をもじったものですが、決してふざけて決めた訳ではありません。脊椎SBRTでは、1ピクセルにこだわった「脊髄」の描出が必要だと考えており、それを明確に打ち出したかったのです。さらに言えば、技師によるCT・MRI・照射時の脊椎アライメントの再現、医師による画像フュージョンと脊髄描出、物理士による急峻な線量勾配の形成、いずれの工程においてもサブミリ単位の精度が要求されます。逆に、脊髄さえ正確に取り扱えば治療はほぼ成功で、パレートの法則のように、明確な勘所がある点もお伝えできていたら大変嬉しく思います。

Johns Hopkins 大学のRedmond先生は「質の低い脊椎SBRTを行うくらいなら通常照射を実施すべき」と技術面での注意喚起をしています(聖マリアンナ医科大学の中村直樹先生も同じことを仰っていました)。実は海外の大規模施設の輪郭描出も、よく見ると細かなミスが散見されます。緻密な作業が求められるこの治療は、私たち日本人の得意分野であると確信しています。近日、脊椎SBRTを用いたJCOG試験が複数開始されます。日本の高い技術力が世界の注目を集める日は近いかもしれません。

今回の受賞を励みに、これからも脊椎SBRTの普及と発展に向けて精進していく所存です。改めまして講演の機会を与えてくださった教育委員会の先生方、セミナー関係者の皆様、ご評価くださった先生方に感謝申し上げます。誠にありがとうございました。

Highly Cited Award

大野 達也

大野 達也

(群馬大学 放射線治療科)

この度は、栄誉あるHighly Cited Awardを頂戴し、誠に光栄に存じます。この論文は、2008年から2011年に群馬大学で行われた、子宮頸癌に対する治療室CTを用いた画像誘導小線源治療の成績をまとめたものです。群馬大学で開発された組織内照射併用腔内照射(ハイブリッド照射)も症例の18%で実施されており、腫瘍径によらず90%を超える局所制御率が得られました。昔は、「大きな腫瘍は腔内照射に向いていない」と教科書に書かれていた時代もあったようですが、この治療成績をまとめるにあたり、大きな腫瘍でも大きいなりに高線量を投与できれば局所制御率を改善できる、との手応えをつかむことができたのを覚えています。査読の過程では、Associate Editorよりご指摘を頂き、同室CTの画像を追加しました。論文の長所を引き出していただいたことに大変感謝しています。

この論文では、当時の婦人科腫瘍担当医が共著者として並び、皆のartとskill、そして患者さんの病を治したいとの思いが詰まっています。その意味では、歴代の担当医を代表して、たまたま私がこの賞を頂いたと思っております。

これからも本邦の放射線腫瘍学の発展に貢献できるよう、自身の責務を果たして行くとともに、本論文で共著者となった後輩達が、再びこの賞を受賞できるよう支援していきたいと思います。

JRR誌優秀論文賞

岸 徳子

(京都大学医学部附属病院 放射線治療科)

この度はJournal of Radiation Research誌優秀論文賞、しかも創設初年度に、思いがけずこのような素晴らしい賞を賜り大変光栄です。

データ取得から論文投稿までの過程で、不出来な私を根気強く指導しここまで導いて下さった松尾幸憲先生、自信を無くしてめげそうになっていた時に温かい励ましの言葉を下さった溝脇尚志先生、本研究のために患者さんのデータを快く共有して下さり、心強いご協力・ご助言を下さいました当院呼吸器外科の先生方をはじめ、ご指導頂きました共著の先生方および関係するすべての皆様にこの場を借りて心より御礼を申し上げます。

本論文では、機械学習モデルで算出した傾向スコアに基づき I期非小細胞肺癌における標準手術・縮小手術・SBRTの同時比較を行いました。JCOG0802/WJOG4607Lでは、標準手術に比べ縮小手術で生存成績が良好であることが示され、高齢者を対象とした手術適応の拡大が期待されています。これにより、高齢者肺癌患者を対象としてきたSBRTの位置づけは、今後大きな変革が予想されます。本論文のモデルはShared Decision Makingに必要な情報を提供し、その応用により患者の治療選択に関する理解の向上と治療の個別化・最適化につながることを期待して作成しました。今回頂いた賞に見合うような貢献ができますよう、引き続き精進してまいりたいと存じます。

末筆ながら、日本放射線腫瘍学会第36回学術大会長の茂松直之先生、大会事務局の皆様およびJRR編集委員会の先生方に改めて御礼申し上げます。

今後ともご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

常峰 將吾

常峰 將吾

(静岡県立静岡がんセンター 放射線・陽子線治療室)

この度は、私の研究に対しての受賞を賜り、心より感謝申し上げます。本研究は、適応放射線治療の中で、不均質補正の重要性を考慮し、CT値密度変換テーブルの許容値設定に特化して取り組みました。一般的に、CT値密度変換テーブルの品質保証はCT値側に設定されることが多いのですが、この研究では独自のアプローチとして密度側に許容値を設定しました。この方法により、MVCTの線量計算に使用されるCT値密度変換テーブルの品質管理が可能となると考えております。この手法を取り入れた新たな研究にも現在取り組んでおります。

研究を進める中で、多くの苦しみや悩みに直面しました。特に、データの取得や解析の過程で予期しない問題が発生し、解決のために多くの時間を費やしました。この困難な時期に、大学の先生や同僚が手を差し伸べてくれ、共に問題を解決するための助言やサポートをしてくれました。 それらの経験と支援が私の研究者としての成長を促し、今回の成果に繋がったと感じています。

病院での実務経験を背景に、放射線治療、特に適応放射線治療の進化とその実用化に関する課題に取り組んできました。適応放射線治療は、患者の体型や腫瘍の位置の変化に柔軟に対応する治療法として注目されており、そのための新しいアプローチや方法論の開発が急募されていると感じております。

今後も、医学物理士としての立場から、安全で高精度な放射線治療のための研究を続けて参りたいと考えております。このような賞を頂きました日本放射線腫瘍学会の皆様、そして私の研究活動をサポートしてくださった皆様に、心より感謝申し上げます。

優秀査読者賞

角谷 倫之

角谷 倫之

(東北大学病院)

この度は、優秀査読者賞という名誉ある賞を頂くことができ、ありがとうございました。今回の受賞によって通算4度目の受賞となり、いつから査読をしていたのかな?と査読システムを見てみますと、JRRで初めて査読したのが2013年10月でしたのでちょうど約10年経ちました。この10年を振り返ってみますと、この“査読”というプロセスを責任をもって行うことで私自身も研究能力や表現力を大きく養うことができたなとしみじみ感じており、査読依頼をして頂きました先生方には大変感謝申し上げます。話は少し変わりますが、「研究者同士、研究内容についてはどんどん喧嘩しなさい」という私の大学院時代の恩師、故田伏勝義教授が常々仰っていた言葉があります。私がまだ研究を開始したての大学院生時代に田伏先生はこの言葉の通り、研究内容について私と対等に熱く議論して下さり、今でも印象的な言葉として残っています。この言葉は今でも私の研究の指針の一つとなっており、論文著者と査読者との論文リバイスのやり取りはこれに近いかなと思っています。著者はこの論文リバイスで査読者から大変有益なアドバイスや気づきを与えられることで大きく成長できるのと同時に、査読者も論文リバイス過程で得られる著者とのやり取りは貴重な研究財産だと思います。査読の依頼がきて断ってしまう若い先生方は、最初は大変だと思いますが1度、2度査読を行ってみてはどうでしょうか、多角的・客観的に自分の研究も評価できるようになり研究能力が知らず知らずのうちに向上していることに気づくのではないでしょうか。

最後になりますがこのような機会を頂きました佐々木編集委員長、宇野理事長、茂松大会長をはじめ関係の先生方に御礼申し上げます。また、科学的見地を養うにあたり、日々私のつまらない議論に長くつきあってもらっています多くの共同研究者・同僚・大学院生の皆様にも感謝申し上げます。

白井 克幸

白井 克幸

(自治医科大学附属病院)

この度は優秀査読者賞と大変名誉ある賞を受賞することができ、誠にありがとうございます。今回で3年連続での受賞となりまして、私としては望外の喜びです。このような機会を与えていただきました理事長、大会長、編集委員長の先生方には心より御礼申し上げます。私はJRR誌の査読はJASTRO会員としての務めであると思っております。また、先輩の放射線治療医からは「査読は自分の勉強にもなるので、断らないで対応するように」と教育を受けてきまして、忙しい時でも査読はできるだけお断りせずに対応するよう心がけております。

私が査読を担当させていただく際に気をつけている事は、この論文が世に出た際に、より読者にとって有用な情報を含み、臨床実地において有益になってもらえればと思い、コメントをしております。また、たとえ論文においてリミテーションがあったとしても、臨床において重要な気づきを与えてくれる論文や、放射線治療分野において一遇を照らすような内容については、できるだけ採択してもらえればと思い査読をしています。

また、私はJASTRO編集委員として、JRR誌のEditorにも携わらせていただいております。さらに編集委員会では、佐々木編集委員長の元、JRR誌がJASTRO会員の皆様から親しまれ、そして学術的な価値を高められるよう、日々議論をしております。これまで、JRR誌では、「寺島賞」や「Highly cited award」がありましたが、今年度からは「優秀論文賞」を新設することとなりました。若い先生方には、ぜひJRR誌に有望な論文を投稿していただき、上述の賞を目標としていただければと思います。私も引き続きJRR誌のさらなる発展につながるよう、微力ながら貢献させていただければと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

地域貢献賞

山本 鋭二郎

山本 鋭二郎

(放射線治療かたろう会/大阪府済生会野江病院)

日本放射線腫瘍学会における地域貢献賞の受賞に際し、大変光栄に思っております。この栄誉ある受賞は、これまで活動してきた先人の方々や参加者のみなさまの情熱が認められた証と受け止めております。

われわれ「放射線治療かたろう会」は1982年に大阪府立成人病センター(現在の大阪国際がんセンター)での第1回開催から、現在に至るまで、放射線治療技術の向上と発展を追求し、主に関西地域での貢献を続けてまいりました。2023年9月に155回を迎える歴史ある当会は、現在では世話人約20名を含む多くのメンバーが、先人のバトンを継ぎながら、熱い想いをもって活動しております。

私たちの活動の基本は、主に関西地域で放射線治療技術に携わる方々を対象に、知識の交換と技術の研鑽を通じて、放射線治療技術の向上に寄与することです。定例会は年間4回開催され、 常に臨床に活かせる実践的な情報と最新の治療技術情報を織り交ぜながら発信し続けて参りました。また、コロナ禍以降は新たな形での開催に努め、ウェビナーやハイブリッド開催、オンデマンド配信など、多様な情報発信を行い、治療技術者の交流と学びの場を提供しています。さらに、学会や機構が発信する情報をエンドユーザーにわかりやすく、正確に伝えることで、各施設で安全で質の高い放射線治療が提供されることを目指しております。

これからも受賞に満足することなく、人と人、また学会等の組織と臨床現場を繋ぐ双方向のパイプラインとして、そして放射線治療の発展と患者満足度向上のために情報発信と地域の治療技術者との交流に努めて参りたいと思います。

大城 佳子

大城 佳子

(筑波メディカルセンター病院)

この度日本放射線腫瘍学会地域貢献賞に選出して頂き身に余る光栄に存じます。これまで多くの高名な先生方の指導を受けて参りました。中でも、私が子育てをしながら臨床と研究を続けられているのは今回推薦して下さった筑波大学教授の櫻井英幸先生のお陰であると心より感謝申し上げます。私が勤務する筑波メディカルセンター病院では、1台のリニアックで年間600人以上(うち高精度約1/3)を治療しており、一緒に働くスタッフにいつも助けられています。少しでも彼らの役に立てればと、研究のお手伝いをすることもありました。当院は肺癌症例が多く、当初Durvalumab施行件数が県内最多でした。しかし、この薬剤の使用に際し、私自身が、放射線肺臓炎が心配で線量制約が従来通りで良いのか知りたかったので、県内初の多施設共同研究を発案、実行しました。筑波大学の協力が不可欠でしたが、この研究がその後の県内多施設共同研究が生まれる契機となりました。半年毎に嘱託常勤としてローテートしてくる専攻医の多くは未完の論文や研究を抱えています。臨床の傍ら、一緒に考えていくと筆が進んでいく先生が多く、彼らがその研究で受賞したり、学位をとったりと活躍していく姿を見るのは嬉しい限りです。この10年、興味の向くままに仕事をしているうちに、市民講座や地域の医師向けの講演機会も増えてきました。皆に放射線治療を知って頂くだけでなく、自分の知識のアップデートにも良い機会だと思って臨んでいます。今後も地域に根付いた臨床を行いつつ自らのレベルアップにも努め、そしてそれが共に働くスタッフや地域の放射線治療のボトムアップに繋がると良いな、と思っています。

優秀教育発表奨励賞

P2-4 ハイドロゲルスペーサー留置時に静脈内迷入を生じた4例の経験
秋田 知子 (山梨大学医学部放射線科)
P6-3 線量分布図から作成した3D画像を用いた皮膚炎の予想と実際の比較
宮部 泰秀 (札幌孝仁会記念病院札幌高機能放射線治療センター)
P8-4 脊柱管内進展を伴う局所進行非小細胞肺癌の高精度治療-脊椎SBRT技術の応用-
半田 恵実 (がん・感染症センター都立駒込病院 放射線診療科治療部)
P8-6 肺定位放射線治療後に照射野内の肺アスペルギルス症を発症した2例の検討
真室 奈青 (京都大学医学部附属病院 放射線治療科)
P14-2 左心房内へ直接浸潤を伴うT4b食道癌への根治的CRT後,瘻孔形成なく腫瘍消失を得た一例
水上 翔太 (東京都立墨東病院)
P15-4 多発肝海綿状血管腫に放射線治療を行った3例の検討
高松 繁行 (金沢大学 放射線治療科)
P16-6 OHVIRA症候群合併子宮頸癌の1例
小舘 明日香 (千葉大学医学部附属病院)
P28-3 前立腺癌根治照射後の局所再発病変に対し低線量率密封小線源治療を施行した一例
岡林 俊 (山梨大学医学部 放射線科)
P31-4 Blastic plasmacytoid dendritic cell neoplasm (BPDCN) に対する放射線治療
高 将司 (富山県立中央病院 放射線治療科)

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