第60回日本胆道学会学術集会
第60回日本胆道学会学術集会
会長挨拶
hirooka yoshiki
第60回日本胆道学会学術集会
会 長:廣岡 芳樹
藤田医科大学
消化器内科学講座 主任教授
 日本胆道学会の歴史は1965年11月に設立された「胆のう造影研究会」に始まります。その後毎年研究会が開催され、胆道疾患全般にわたる問題を討議すべく、福岡で行われた第5回研究会から「胆道疾患研究会」、東京で行われた第18回研究会から「日本胆道疾患研究会」と名称が変更されました。1986年3月27日、日本胆道疾患研究会臨時世話人会で「日本胆道学会会則」が承認。同年8月22日「日本胆道学会」の第1回評議員会が開催され、学会設立の経過報告、会長、副会長、役員の選出が行われ、1987年度予算案が承認されて学会として発足しました。第1回日本胆道学会の学術集会は、1987年8月21日、22日の両日、青森県弘前市で開催され、その後、毎年1回の学術集会が開催されています。日本胆道学会ホームページによりますと、弘前での学術集会が第23回となっています。名古屋での開催は胆道疾患研究会時代の第8回(中澤三郎当番世話人)が最初で、次に第16回(武内俊彦当番世話人)、学術集会になってからは、第38回(堀口祐爾会長)、第44回(乾 和郎会長)、第55回(堀口明彦会長)、そして小生が第60回学術集会を担当させて頂くということになりました。
 第60回日本胆道学会学術集会は、2024年10月10日から11日の2日間にわたり、ウインクあいちにて開催させて頂きます。本学術集会は第60回の節目の会となっております。このような記念すべき会を会長として開催させて頂きますことを大変光栄に存じますとともに、責任の重さに身の引き締まる思いです。このような機会を与えて下さいました日本胆道学会の役員、会員の皆様方をはじめ関係各位に心から感謝申し上げます。
 本学術集会のテーマは『パラダイムシフトを迎える胆道学』と致しました。近年の免疫チェックポイント阻害剤をはじめとした免疫化学療法の出現とその進歩、包括的ゲノムプロファイリング(CGP: comprehensive genomic profiling)による臓器横断的な癌治療とprecision medicineの推進は癌治療に大きな転換期をもたらそうとしています。Precision medicineは癌治療だけに止まりません。Precision medicineを強く後押しする次世代シーケンサーなどの基盤技術の発展は、例えば、最適な栄養(precision nutrition)の提案をもたらします。また、常在細菌叢の分析・制御による免疫環境の最善化は、感染制御だけでなく、癌・炎症性疾患・機能性疾患などの病態解明と治療に不可欠と言えます。これらは、胆道学がこれまで経験したことのない世界を含んでいるように思います。技術や知識が進化し、それが深まることは内科領域と外科領域の境界を不明瞭化することだと思います。内科の領域や外科の領域という考えが古びたものに感じられる時代がすぐそこまで来ているように思います。日本胆道学会は、内科医と外科医が忌憚なく意見を言い合える数少ない学会の一つとして極めて貴重な学会であります。否応なくパラダイムシフトを迎える胆道学に対して、内科・外科が融合した、境界のあやふやな胆道学を十分に議論したいと考えテーマを決めました。このテーマを念頭において、シンポジウム・パネルディスカッション・ワークショップなどを考えたつもりです。一般演題も含めて活発な議論が繰り広げられることを願っております。また、第60回学術集会としてのいくつかの記念企画も鋭意計画中でございます。
 第60回学術集会は従来通りの対面式の開催を目指します。また、主題演題・特別講演などについてはオンデマンドでのご視聴も可能になるように準備を進めております。是非とも、多くの皆様にご出席頂き、有意義な時間をお過ごし頂きたいと存じます。そのため、当科を挙げて精一杯取り組んで参る所存です。何卒、よろしく御願い申し上げます。