会長挨拶

第60回という記念すべき日本赤十字社医学会総会を、2024年10月17日(木)・18日(金)の2日間にわたり、仙台国際センターに於いて開催させていただくことになりました。60回の開催を迎えられたこと、今まで携わってこられた多くの皆様にお祝い申し上げるとともに、心から感謝致します。

医学会総会は、過去の学術の成果や先人たちの努力に敬意を表し、未来への展望を見つめる重要な機会です。また、私たち医療従事者が知識を共有し、新たな知見を得る場でもあります。この医学会総会での交流を通して、異なるバックグラウンドや専門分野の方々との活発な議論や連携が生まれることを期待しています。

今回のテーマは、医療そして一人ひとり自分のイノベーションにより迎える未来をキーワードに、「未来(はな)は咲く~可能性の開花~ Get over yourself」としました。このテーマは、職員家族の高校生が、東日本大震災復興支援ソングである「花は咲く」を参考に、花を未来と捉え考えてくれました。「花は咲く」のCDでは、ガーベラの花の写真が使用されています。ガーベラの花言葉は色によって違いますが、「希望」や「常に前進」と言われています。今の医療業界は、ゲノム医療、医療DX、人工知能(AI)活用など革新的なアイデアやテクノロジーによって、驚異的な進化を遂げています。その中で、これからは現在の自分の限界をどう超えていくか考える必要があり、その可能性を共有し、協力して未来を築くための貴重な機会としたいという思いを込めています。

医学会総会の1日目はイノベーション、2日目は災害医療をサブテーマとしてプログラムを構成しています。特別講演については、3名の演者を招待させて頂きました。東北楽天ゴールデンイーグルスシニアアドバイザーのマーティキーナート氏は、2004年10月新規参入球団である「東北楽天ゴールデンイーグルス」において、日本球団初の外国人ゼネラルマネージャーに就任する他、2018年7月より仙台のプロバスケットボールチーム「89ERS」のオーナー代行兼シニアGMに就任し、現在「新生89ERS」のチーム作りに邁進しております。パーソナリティー・書家の矢野きよ実氏は、東日本大震災時には石巻に視察に入り、以後繰り返し石巻を訪問する中で現地の子供たちから預かった書を全国展開する活動を行っており、2023年に石巻観光大使に就任しています。Smart Supply Visionの佐藤敏郎氏は、教師でありながら東日本大震災時大川小学校で自身のお子様を亡くした経験から「命の大切さ」「命を預かる意味」、そして「組織の意思決定のあり方」の講演活動を行っています。いずれも各界で活躍されていらっしゃる方々で、今回のテーマに相応しく貴重なお話が拝聴できるものと期待しております。

医学会総会以外の企画として、多くの方々にご参加頂き楽しんでもらえるよう、医学会総会前日には現在の石巻の復興状況を体験していただく「被災地視察プログラム」の催行と、仙台市内において「前夜祭」を開催する他、医学会総会後のアフターコンベンションにも力を入れています。是非、現在の石巻も感じていただければと思います。

最後に、本医学会総会が皆様にとって刺激的で充実した時間となることを願い、そして、私たちが共に学び刺激を受け新たな洞察を得ることで、より良い医療の未来を築くことができると信じ、大会長の挨拶と致します。

第60回日本赤十字社医学会総会
会長 石橋 悟
(石巻赤十字病院 院長)