受賞記念講演のご案内

Gold Medal

西村 恭昌

西村 恭昌

(生長会府中病院 放射線治療センター/近畿大学名誉教授)

この度JASTRO Gold Medalを授与されるにあたり、一言御礼を申し上げます。Gold Medalは、JASTROが授与する梅垣賞、阿部賞、地域貢献賞など各賞のうちもっともシニアの会員に授与される賞で、以前は特別功労賞と呼ばれていました。これまで11人の会員が授与されています。いずれも高名な先生方ばかりで、その仲間に加えていただけたことは、何よりの幸せです。

私は、2012年から2016年の4年間JASTRO理事長として、がん診療における放射線治療の利用率向上、放射線腫瘍医の増加、がん患者への安全で効果的な放射線治療の提供、海外の放射線腫瘍学会との連携などに注力しました。それらが今回の受賞につながったものと推察しますが、理事長になる前も、放射線治療の推進・標準化を心がけていました。日本放射線科専門医会・医会(JCR)の理事をしていたころ、「放射線治療計画ガイドライン2004」を企画しました。多数のJASTRO会員の協力を得て、コンセンサスに基づく治療計画ガイドラインが完成しました。簡潔明瞭に書かれていたため一気に広まり、放射線治療の標準化に大いに役立ったと自負しています。その後、治療計画ガイドラインはJASTROが編集母体となり、現在に至っています。

JASTROは、若い会員から理事に至るまで、すべての会員が放射線治療を愛し、発展させようとの意思を有している学会です。そういう学会からGold Medalを頂けたことは誠にありがたく、心より御礼申し上げます。

梅垣賞

奥村 真之

奥村 真之

(名古屋大学医学部附属病院放射線科)

この度は歴史ある梅垣賞を受賞し、身に余る光栄に存じます。今回、放射線誘導免疫応答を修飾する薬剤について包括的スクリーニングを行った成果を御選出頂きました。免疫療法と放射線治療の併用の有効性は様々ながんにおいて報告されております。免疫療法併用放射線治療においては放射線によって誘導される免疫応答が重要なファクターと考えられますが、同時に使用されうる抗がん剤やその他の一般的に使用されている薬剤がその免疫応答にどのような影響を及ぼすか不明でした。本研究では、免疫療法併用放射線治療における放射線治療と併用薬剤の相互関係を明らかにするために、レポーターアッセイによるハイスループットシステムを確立、さらにそのシステムを用い2595種類のFDA承認薬が放射線誘導免疫応答に及ぼす影響をin vitroでスクリーニングしました。結果としてほぼ全ての臨床で用いられる薬剤が放射線誘導免疫応答に与える影響を数値化・カタログ化することができました。特に抗がん剤はその標的に応じて放射線誘導免疫応答への影響が大きく異なり、免疫療法併用放射線治療の有効性が放射線誘導免疫応答の修飾を介して影響を受ける可能性があることを示しており、大変興味深い結果でした。本研究が今後の免疫療法併用放射線治療の更なる臨床試験の生物学的基盤となり、がん治療の発展に少しでも寄与できればと考えております。今回の受賞を励みに放射線腫瘍学の発展に貢献できるよう、より一層精進して参ります。最後になりましたが、研究をご指導頂きました秋元哲夫先生・影山俊一郎先生をはじめとした国立がん研究センター東病院の先生方、JASTRO賞等推薦委員会および理事の先生方、御推薦頂いた名古屋大学医学部附属病院の川村麻里子先生に、心より御礼申し上げます。

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