第40回日本環境感染学会総会・学術集会
会長 舘田 一博
(東邦大学医学部 微生物・感染症学講座 教授)
第40回日本環境感染学会総会・学術集会を担当いたします東邦大学医学部微生物・感染症学講座の舘田一博と申します。副会長は板橋中央総合病院の坂本史衣先生、プログラム委員長は広島大学の大毛宏喜先生にお願いいたしました。会期は2025年7月10日(木)~12日(土)、パシフィコ横浜ノース・展示ホールで開催させていただきます。第40回の節目の大会ということで、テーマを “感染制御:サイエンスに高め、文化として育む” とし、記念シンポジウムなどの特別企画も多数予定しております。
1986年に第1回日本環境感染学会総会・学術集会が東京慈恵会医科大学の上田 泰先生のもとで開催されました。当時、私は研修医として本学会に参加しましたが、その後40年間、多くの先生のご指導のもと感染症診療・感染対策を学ばせていただきました。40年という時間の中で、我々はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌や多剤耐性緑膿菌・アシネトバクター、バンコマイシン耐性腸球菌などの院内感染事例を経験してきました。感染事例を経験する中で新しいエビデンスを創出し、新しい技術の開発を通して、感染対策をサイエンスに高める方向性が見えてきたように思います。加えて、この感染対策の実践をどのように医療現場に定着させるか、まさに感染対策を文化として育むことの重要性を感じている状況です。
COVID-19のパンデミックにおいて、日本環境感染学会の会員の先生方は医療現場の第一線で感染対策に貢献してきました。新しい病原体ということもあり、感染様式や臨床的特徴、重症化要因などの情報も限られており、難しい対応が求められたことが思い出されます。しかし、今回のパンデミックの20年前には重症急性呼吸器症候群が、そして10年前には中東呼吸器症候群が出現していたことが重要です。次のパンデミックがいつ発生してもおかしくない状況であるということを覚悟しなければなりません。パンデミックへの備えは危機管理の視点が基本であり、自治体・医療機関・社会が一体となった対応が重要となっています。このような状況の中で日本環境感染学会に求められる責任は益々大きくなっており、感染対策への貢献を私たちの使命として、誇りとして活動していくことが求められています。
2025年の学術集会が、これまでの40年の歴史を振り返りながら、次の40年を夢想う学術集会になることを祈念しています。会員の先生方はもちろん、感染対策・診療・研究・教育に関わる多くの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。
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