ご挨拶

会長 藤原一男
福島県立医科大学医学部 多発性硬化症治療学講座 教授
脳神経疾患研究所 多発性硬化症・視神経脊髄炎センター センター長
この度、第40回日本神経治療学会学術集会を2022年11月2日(水)~4日(金)の3日間、福島県郡山市のホテルハマツで開催する運びとなりました。
今回は学術集会のテーマとして「神経治療学の新たな門出:パンデミックを克服し更なる発展をめざす」を掲げました。一昨年末から新型コロナウイルス感染症(Covid-19)が世界中で蔓延し、すべての国と地域の社会経済があらゆる面で停滞を余儀なくされ、神経疾患の診療や研究、教育も大きな打撃を受けました。ワクチンや治療薬もこれまでにないスピードで開発されていますが、スペインかぜ以来のグローバルな感染拡大はまだ終息の糸口が見えていません。
しかし一方、神経治療学の進歩は目覚ましく、例えば私が専門とする多発性硬化症や視神経脊髄炎でも分子標的薬が次々に承認され、MOG抗体関連疾患でも複数の国際治験が企画されています。本学術集会では、あらゆる神経疾患の治療に関する診療ガイドラインなどの最新情報を提供するとともに、有望な神経治療薬の効果と安全性を評価する治験を産官学そして患者団体が一丸となって推進するためのノウハウや体制の整備を議論していきたいと存じます。今や各神経疾患におけるCovid-19の対策を十分に理解しておくことが求められていますし、AIやデジタル技術などによる新たな神経疾患の解析や診療システムについてもシンポジウムなどを企画します。国際化も本学会の大きな課題であり、米国神経治療学会(ASENT)との合同シンポジウムに加えて、海外の第一線の臨床家や研究者をできるだけ多くお招きしたいと存じます。これらにより、わが国が創薬の基礎研究から治験を経て新薬を国内外の市場に供給するまで、切れ目のない神経治療開発の体制の構築を進めていきたいと考えております。
2022年秋のCovid-19の状況は予測が困難ですが、可能ならば皆様に郡山にお越しいただき、神経治療学の議論を大いに深めていただきたいと存じます。無論、Web参加も選択可能にし、感染状況に応じて柔軟な対応を目指します。
また福島県には自然と歴史や食材など魅力溢れるものが数多くあります。学問を深めるとともに福島の思い出が残る学術集会になるように努めますので、多くの皆様のご参加をお待ちしております。