第108回日本泌尿器科学会総会 The 108th Annual Meeting of the Japanese Urological Association

会長挨拶

藤澤 正人

第108回日本泌尿器科学会総会
会長 藤澤 正人
神戸大学大学院 医学研究科 腎泌尿器科学分野 教授

第108回日本泌尿器科学会総会を終えて-2021年1月-

2020年12月22日(火)から24日(木)まで神戸ポートピアホテル、神戸国際会議場、神戸国際展示場にて、第108回日本泌尿器科学会総会を開催させていただきました。新型コロナウイルスの感染拡大により、当初予定していた4月の総会から8か月遅れての開催となりましたが、本総会の開催へご協力頂いた会員の皆様方、厳しい経済状況の中でご支援いただいた企業の皆様方には、教室員ならびに同門会一同、心からの感謝と御礼を申し上げます。

一般演題は、例年同様、多数の演題をご応募いただきました。1,902題の応募演題のうち、一般演題(口演、ポスター、ビデオ)1,388題、総会賞演題149題、International Session Award 演題80題、International Session 演題(口演、ポスター)225題、Rising Stars Session45 題の合計1,887題を採択させていただきました。その後、会期の延長と開催形式の変更により546演題の取り下げがありましたが、コロナの禍中にもかかわらず、1,342演題を現地またはWebにて発表いただきました。指定演題は卒後教育プログラムを含めて324演題の発表があり、4月に予定していたプログラムを予定どおり遂行することができました。

今回は、学会のテーマを『未来に輝く泌尿器科医療の創造と実践』、『Urologyʼs future, bright future』とさせて頂きました。日本の社会は、Society 5.0時代を迎え医療においても新たなテクノロジーやイノベーションが押し寄せ今まで想像のつかなかったような医療技術やシステムがどんどん実装化されてきています。とくに、AI、IOT、ロボット、ビッグデータ、ゲノム医療、デジタルヘルスなどは医療の場で次の時代を創造していくキーワードと考えられます。第108回総会では、これらのキーワードに沿って泌尿器科領域にこだわらず様々な領域の方をお迎えして、プログラムを組みました。基調講演として、豊田長康先生(鈴鹿医療科学大学学長)に「日本の臨床研究の行方」、落合陽一先生(筑波大学准教授・学長補佐/メディアアーティスト)には「計算機時代の多様性と芸術、自然、人の創造」と題して講演いただき、未来を拓くお話でした。文化人講演では、落語家の桂文珍師匠をお招きし、「落語的学問のススメ」と題してユーモア溢れるお話をいただきました。特別講演では、次の時代を創造するに役立つ内容で様々な領域の第1人者の先生方11名から講演をいただきました。各専門家の先生による最先端の発表ですので、お聞きになれなかった方はぜひオンデマンド配信で視聴ください。会長特別企画では、「次世代型医療の現状と今後の展望」「日本の泌尿器科の未来を語る~10年先何を目指すべきか?」の2つを企画し、座長の藤本清秀先生(奈良県立医大)・西山博之先生(筑波大)と大家基嗣先生(慶應大)・市川智彦先生(千葉大)には、プログラムの構成から当日の司会まで盛り上げていただきありがとうございました。

今回のハイブリッド形式(現地開催およびWeb開催の併用)については、With/AfterコロナにおけるNew normalな学会開催方法の一つとして、試行錯誤を重ねながら準備を進めてきましたが、十分なおもてなしもできず、行き届かない点やご迷惑をおかけしたことも多々あったかと存じます。様々な制限の中での苦労の多い開催となりましたが、唯々、大変だったというだけではなく、将来に向けて今回の学会開催をこのような制限のある中での開催であるからこそ見出せる新たな価値を創造するいい機会として考えるようにしなければいけないと思っています。

オンデマンド配信では、共催セミナーを除く全てのプログラムを何度でも視聴できます。これまでは、時間帯が重なって聴講できなかったセッションを、オンデマンド配信期間中であればいつでも好きな時に何度でも聴講することができます。ダイバーシティー推進委員会では、開催形式の変更により、現地で予定していたダイバーシティ・カフェを、Zoomのブレイクアウトルーム機能をうまく利用して、オンラインで開催いただきました。結果的に、様々な職場・家庭環境の方がオンラインで参加できることになり、ダイバーシティー推進委員会が目指す方向性にもなったのではないかと思います。一方で、共催セミナーや機器展示については、オンラインで発信できる内容がプログラムに比べて制限や限界が多く、協賛いただいた企業の方々には大変申し訳なく思っております。

私見ではありますが、経費面と労力さえ惜しまなければ、コロナ終息後でも今回のようなハイブリッド形式での開催、すなわち、リアル空間とバーチャル空間をうまく融合した時空を超える学会こそが次世代の学会形式であるようにも思いました。本学会を振り返り、今後、それぞれの会員にとってどのような学会の形式が最適であるか、デジタル社会が進んでいく中でしっかりと考えていくべき時が来ていることを我々に教えてくれたように思います。

改めて、第108回日本泌尿器科学会総会の延期ならびに開催形式の変更にご理解・ご協力をいただいた全ての関係者の皆様に御礼を申し上げますとともに、新型コロナウイルスの感染拡大が一日でも早く終息へ向かうことを祈念いたします。


教室員集合写真(12月24日:展示会場内にて)

開催にあたって-2020年12月-

4月に予定しておりました第108回日本泌尿器科学会総会は、新型コロナウイルスの感染拡大により延期を余儀なくされましたが、約8か月遅れて、この度、開催形式を一部変更したうえで、2020年12月22日~24日に神戸ポートピアホテル、神戸国際会議場、神戸国際展示場にて開催させて頂くこととなりました。会期の変更により、多大なるご迷惑と混乱をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます。また、新型コロナウイルスが世界各地で未だ猛威を振るう混乱の中で、本総会の開催へご協力頂いた会員の皆様方、厳しい経済状況の中でご支援いただいた企業の皆様方には、教室員ならびに同門会一同、心からの感謝と御礼を申し上げます。

さて、神戸大学が日本泌尿器科学会総会を開催させて頂くのは、前守殿貞夫教授が2001年に開催して以来19年ぶりです。今回は、学会のテーマを『未来に輝く泌尿器科医療の創造と実践』、『Urologyʼs future, bright future』とさせて頂きました。日本の社会は、Society 5.0時代を迎え医療においても新たなテクノロジーやイノベーションが押し寄せ今まで想像のつかなかったような医療技術やシステムがどんどん実装化されてきています。とくに、AI、IOT、ロボット、ビッグデータ、ゲノム医療、デジタルヘルスなどは医療の場で次の時代を創造していくキーワードと考えられます。本学会では、これらのキーワードに沿って泌尿器科領域にこだわらず様々な領域の方をお迎えし、基調講演として豊田長康先生による「日本の臨床研究の行方」、落合陽一先生による「計算機時代の多様性と芸術、自然、人の創造」、さらに様々な特別講演や会長企画を組んで、次の時代に輝く泌尿器科医療を創造したいと考えています。日本はますます高齢化が進み、2025年には65歳以上が3人に1人となり、さらに2035年には超々高齢社会を迎えます。そのような現実の高齢者医療現場で今後の泌尿器科診療のあり方を皆さんと一緒にしっかり考えたいと思います。一方で、本学会は、泌尿器科すべての領域における最先端医療・適正医療の教育を行う重要な場でもあり、様々な教育講演、UP TO DATE 企画やシンポジウムも準備し、皆さんに多くの知識を吸収して頂きお役に立てるように準備いたしております。また、Rising Stars Session を設けてそれぞれの領域でとくに活躍されている若手の方に発表して頂きます。

一般演題は、例年同様、多数の演題をご応募いただきました。1,902題の応募演題のうち、一般演題(口演、ポスター、ビデオ)1,388題、総会賞演題149題、International Session Award 演題80題、Interna-tional Session 演題(口演、ポスター)225題、Rising Stars Session45 題の合計1,887題を採択させていただきました。特に今年は海外から International Session への応募が Award 演題を含めて305題と大幅に増加しました。さらに昨年同様、Late-breaking & Encore Session を設けていますので最新の知見に関する発表が期待できると思います。

4月開催、当初は、学問以外にも皆さんに大いに楽しんで頂けるような懇親会、マラソン大会を企画しておりましたが、感染防止のためこれらの行事は中止とさせて頂きました。ただし、提供を予定していた神戸の有名なスイーツ・グルメは、個別包装に対応した品に絞って展示場にご用意させて頂きます。ハイブリッド開催形式としての新たな取り組みとして、展示会場には、Live-Web 一般演題(口演・ビデオ)の座長・演者が学会場に来場されてもご不便のないよう、電源・有線 LAN を備えた個別発表ブースを設けましたので、会期中は自由にお使い頂ければと思います。ご自宅や勤務先と変わらず快適に学会に参加できる環境をご用意しておりますので、12月の年の瀬のせわしい時期となりますが、今年最後の学術大会にぜひ現地に足をお運びいただければ幸いです。

12月は、やや寒い時期ですが、まさにクリスマスシーズンと重なり、街の洋菓子店では様々なクリスマス菓子が並び、神戸が一年で最も華やかになるシーズンです。一人でも多くの方にお越しいただけることを教室員一同、心からお待ちいたしております。

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