会長挨拶

大家 基嗣

第109回日本泌尿器科学会総会
大会長 大家 基嗣
慶應義塾大学医学部 泌尿器科学教室 教授

当初2021年4月に予定しておりました第109回日本泌尿器科学会総会は、新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い延期させていただきましたが、この度2021年12月7日(火)~10日(金)にパシフィコ横浜にて開催させていただくこととなりました。会期の変更に伴い、会員および講演を依頼させて頂いた皆様、ご支援を頂いております企業の皆様には多大なるご迷惑をおかけ致しましたことにお詫びするとともに、変わらぬご支援とご指導を頂きましたことに心より御礼申し上げます。

第109回の学術総会のテーマは、「泌尿器科の世界観―比類なき専門性と多様性―」といたしました。泌尿器科医は、癌、生殖医療、腎臓移植、結石、男性のED(勃起機能不全)、女性の尿失禁、先天性疾患等々、幅広い疾患を扱い、またそれぞれに高い専門性が求められます。治療については、薬物治療も行えば、外科手術も行いますし、機器開発や基礎研究も行います。患者様は小児から高齢の方まで年齢、性別を問いません。専門性が高い上に、多彩な分野・領域が存在することは、泌尿器科の大きな特徴となっており、泌尿器科医自体も技術・特性・性格を含めて実に多様な人材が集まっているのではないでしょうか。一方で、生命の誕生に関わる生殖医療あるいはがん患者様の終末医療も担当するため、その時代の社会・宗教・文化・経済などあらゆる分野を包括した価値観が我々の医療に自然と反映されます。泌尿器科の特徴である高い専門性、診断から外科治療と薬物治療を一貫して行う多様性を強調し、そこから育まれた世界観を後進に伝えるとともに、この学会を通して新たな世界観の創造と、「泌尿器科学とは何か?」を問いかけ、未来への方向性を考えるプラットフォームを構築したいと考えております。

医学を起点とした世界観の限界を超えるために、医学以外の分野からの特別講演、未来先導講演、そして「世界観」講演を複数とり入れました。特別講演は細川護熙先生(第79代内閣総理大臣/アーティスト)による「細川家700年 文と武と美」、未来先導講演は池上彰先生(ジャーナリスト)による「変わりゆく世界と日本―グローバル社会を生きる―」です。「世界観」講演は3名の先生をお招きしています。森村泰昌先生(現代美術家)「M式・美術鑑賞術~まちがっていても、おもしろければよい~」、亀山郁夫先生(名古屋外国語大学 学長/東京外国語大学 名誉教授/日本芸術院 会員/ロシア文学者)「豊穣の黒―ドストエフスキーと現代」、中沢新一先生(京都大学こころの未来研究センター特任教授/千葉工業大学日本文化再生研究センター所長/思想家・人類学者)「泌尿器的逆転」です。

シンポジウムやワークショップもこのコンセプトに基づき、分野横断的な企画を多数設けました。泌尿器科学会の15の専門部会の委員長を中心としたプログラム委員の皆様のご協力に深く感謝申し上げます。このように補完的あるいは多層的に構成いたしました。参加していただく皆様のこころを揺さぶる4日間にしたいと考えております。参加後に社会貢献へのポジティブな気持ちが湧出できれば、総会の目的は達成されたと考えております。

今回も多数の演題をご応募いただきました。1,446題の応募演題のうち、総会賞演題152題、一般演題(口演、ビデオ、ポスター)1,179題、International Session Award演題45題、International Session演題(口演、ポスター)58題の合計1,434題を採択させていただきました。また、例年同様、Late-breaking Sessionを設け、泌尿器科医が注目する正に最新の発表が期待できるものと考えております。

あらゆる学会を通して、初めての試みだと思います。本プログラム集に合わせて、「109JUA攻略本」を作成いたしました。意図としては、企画者の思いを伝えること、参加計画の補助とすること、学会の記憶の縁とすることです。気軽な「読み物」として、ゆるりと学会を楽しんで頂く伴侶としてご活用いただければ幸いです。

充実した総会にすべく様々な工夫を施しております。慶應義塾大学医学部泌尿器科学教室の教室員、同窓会一同、心よりお待ち申し上げております。是非とも多数の皆様のご参加をお願い申し上げます。

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