優秀教育講演賞、Highly Cited Award、
JRR誌優秀論文賞、優秀査読者賞、地域貢献賞のご案内

優秀教育講演賞

武田 篤也

武田 篤也

(慶應義塾大学医学部放射線科学教室(治療))

このたび、「優秀教育講演賞」をいただき、心より感謝申し上げます。これは2023年8月3日~4日に行われた、夏季セミナーでの講演に対して受賞をいただいたものです。演題名は「肝細胞癌に対する体幹部定位放射線治療 ー広めるための多角的アプローチ」でした。本講演では、肝細胞癌に対する体幹部定位放射線治療(SBRT)の多角的なアプローチを通じて、その有用性と現状の課題について考察しました。肝細胞癌の治療において、SBRTは手術やラジオ波焼灼療法(RFA)が適応とならない症例に対し、有効な治療法であります。そのような患者に対してSBRTを届けたいと願っています。また、低侵襲で短期間に外来通院での治療が可能であることから、患者のQOL向上にも寄与するものと期待します。

しかしながら、SBRTの普及には、放射線治療医や肝臓専門医、さらには患者さんへの啓発が不可欠です。また、現行のエビデンスに基づく治療アルゴリズムの中でSBRTが提示されるために、高いエビデンスの研究が求められています。講演では、既存のガイドラインと最新の研究成果を踏まえ、SBRTの適応とその意義を明確に示すことに努めました。

この賞を励みに、今後も研究と教育に精進し、肝細胞癌治療の更なる発展に貢献してまいります。関係者の皆様に深く感謝申し上げます。

吉岡 靖生

吉岡 靖生

(公益財団法人がん研究会有明病院 放射線治療部)

この度は、昨年度のJASTRO学術大会での教育講演「前立腺癌」に対して優秀教育講演賞を賜りまして誠にありがとうございます。私の講演が教育のお役に立てましたことを嬉しく思います。

私は放射線腫瘍医となってから一貫して前立腺癌を診療と研究の中心に考えてまいりました。高線量率組織内照射、永久挿入密封小線源治療、IMRT、SBRTと、その時代の先端技術を自ら実践するよう努めてまいりました。小線源治療は自ら刺入を行い、外照射における金マーカーや直腸スペーサーも自ら挿入してきました。この中にはいずれ廃れ行く運命のものもあるかもしれませんが、自ら実践せずに批判や優劣の判定を行うことは片手落ちの可能性があると考え、意義のありそうなことは積極的に取り入れてきました。結果として光子線治療に関してかなりの治療法や手技を網羅してきたと考えております。

前立腺癌の放射線治療は、表層的には単純な解剖と一律な照射で高い効果が得られると考えられがちですが、光子線を適切に使って1例も取りこぼさず100%近い局所制御率まで達するのはそれほど簡単ではありません。近年話題のSBRTやMDTの次には、免疫放射線治療やがんゲノム医療などの時代がくるかもしれません。放射線腫瘍医の仕事の何割かはAIに置き換わるでしょう。激動する前立腺癌の放射線治療の知見をさらに深め、患者さんや学会員の皆様に貢献できるよう努力を続けたいと思います。

Highly Cited Award

梶川 智博

梶川 智博

(京都府立医科大学 放射線医学教室)

この度は,栄誉ある「Highly Cited Award」を頂き,誠に光栄に存じます.日本放射線腫瘍学会理事長,大会長,編集委員長および関係各位の先生方に心より御礼申し上げます.

受賞対象となった論文は,「Kajikawa, T., Kadoya, N., Ito, K., Takayama, Y., Chiba, T., Tomori, S., ... & Jingu, K. (2019). A convolutional neural network approach for IMRT dose distribution prediction in prostate cancer patients. Journal of radiation research, 60(5), 685-693.」です.本研究は,私が東北大学大学院医学系研究科放射線腫瘍学分野に在籍していた修士課程で行った研究の成果の一部をまとめたもので,前立腺がん患者に対する強度変調放射線治療(IMRT)の線量分布予測において,3D畳み込みニューラルネットワークを用いることの有効性を評価したものです.本研究を開始した当初,放射線治療分野における深層学習の応用はほとんどなく,手探りの状態で進める必要がありました.新しいアルゴリズムの適用やデータ前処理の方法などに対する多くの試行錯誤の中で,多くの学びを得ることができました.研究が行き詰まった際には,医学物理グループの先生方から親身になったご指導をいただきました.その際にいただいた専門的な視点からの助言は,新たな方向性を見出すきっかけとなり,研究の進展に大いに役立ちました.特に角谷倫之先生には,研究方針の立て方や結果のまとめ方,解釈の仕方など幅広い知識をご教示いただきました.また,神宮啓一教授にも研究の進展に多大なご支援をいただきました.この場をお借りして深く感謝申し上げます.

今回の受賞を励みに,今後も本邦の放射線治療の発展に向けて精進していく所存です.改めまして,東北大学大学院医学系研究科 放射線腫瘍学分野の先生方,ならびに今回ご評価下さった先生方に心より感謝申し上げます.

JRR誌優秀論文賞

平島 英明

平島 英明

(京都大学大学院 医学研究科 放射線腫瘍学・画像応用治療学)

この度は、私の研究に対してこのような栄えある賞をいただき、心より感謝申し上げます。受賞対象の論文(Hirashima H, Nakamura M, Nakamura K, Matsuo Y, Mizowaki T. Dosimetric verification of four dose calculation algorithms for spine stereotactic body radiotherapy. J Radiat Res. 2024 Jan 19;65(1):109-118.)は、脊椎SBRTにおける4つの線量計算アルゴリズム(AXB、PMC、AAA、CC)の比較を通して、特に骨境界付近における線量変化の影響を明らかにしました。ファントムおよび臨床データを用いた解析により、線量計算アルゴリズムの違いが、線量精度や線量指標にどのような影響を及ぼすかを定量的に示すことができました。特に、骨密度の変化によって生じる線量差の評価は、今後の臨床応用において極めて重要な情報となると考えております。

本研究が放射線治療における品質管理の向上に寄与するものとして高い評価をいただけたことを大変光栄に存じます。近年、高精度放射線治療において、計算アルゴリズムの選択は慎重に行われておりますが、脊椎SBRTに対してはデータが少ないことが現状でした。これに対して、私の研究はその一端を担い、今後の治療法の進化に貢献できるものと自負しております。

研究を進める中では、数多くの困難に直面しましたが、その都度、指導教員の先生方や共同研究者、そして研究にご協力いただいた多くの方々から温かい支援とご助言を賜りました。皆様の励ましがあったからこそ、今回の成果を得ることができたと強く感じております。この場を借りて、改めて深く御礼申し上げます。

今後も、医学物理士として放射線治療の更なる進歩と、より安全で効果的な治療の実現に向けて研鑽を重ねてまいりたいと考えております。本賞を頂きました日本放射線腫瘍学会学術大会事務局の皆様およびJRR編集委員会の先生方、そしてこれまで私の研究を支えてくださったすべての方々に、心より感謝申し上げます。引き続きご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

角谷 倫之

角谷 倫之

(東北大学 放射線治療科)

この度は、Journal of Radiation Research誌優秀論文賞という大変素晴らしい賞を賜り大変光栄です。受賞対象となった論文は、『Evaluation of deep learning-based deliverable VMAT plan generated by prototype software for automated planning for prostate cancer patients、 N Kadoya, Y Kimura, R Tozuka, S Tanaka, K Arai, Y Katsuta, H Shimizu, Y Sugai, T Yamamoto, R Umezawa, K Jingu』で、東北大発スタートアップ(アイラト)との共同開発によって作られたAI自動計画ソフトウェアのプロトタイプを用いて前立腺癌VMATに対してその有用性を評価した論文です。結果としてAIベースプランは臨床プランと遜色ないクオリティで計画できることを示し、AI自動計画の臨床利用の可能性を示すことができた論文となっております。今研究にあたり、10年以上直属の上司として暖かく見守って頂きました神宮啓一先生をはじめ放射線治療科の先生方には心からお礼申しあげます。この受賞を契機として、今後も臨床現場に即した研究・開発に励んでいきたいと思っており、今後ともご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

優秀査読者賞

礒橋 文明

礒橋 文明

(奈良県立医科大学 放射線腫瘍医学教室)

この度は、優秀査読者賞という栄誉ある賞を賜り、心から感謝申し上げます。このような形で評価していただけたことは、これまでの努力が報われたと感じるとともに、非常に光栄に思います。

放射線腫瘍学は日々進化しており、新たな発見や技術の応用が患者の治療に大きく貢献しています。査読者として、その一翼を担い、研究成果が高い学術的水準を保ちながら発表されることに尽力できることを、大変意義深く感じております。忙し臨床や教育の合間に査読という業務を行うことは、時には大変なこともあります。また自身が本当に科学的に公平な視点で査読を行えているか疑念にかられることも多々あります。しかし科学的議論を通じて研究が洗練されていく過程に関わることは、研究者としての重要な責務であり、また貴重な機会でもあります。

今回の受賞を励みに、今後も放射線腫瘍学の発展に貢献できるよう、引き続き努力を続けてまいります。最後に、このような機会をいただいたJASTRO編集委員会の皆様、そして支えてくださった多くの方々に改めて感謝を申し上げます。ありがとうございました。

角谷 倫之

角谷 倫之

(東北大学 放射線治療科)

この度は、優秀査読者賞という名誉ある賞を頂くことができ、ありがとうございました。今回の受賞によって通算5度目の受賞となりました。放射線治療の研究を開始して20年になりますが、今だ放射線治療に対する興味は尽きることなく放射線治療一筋で飽くなき探求心をもって臨床・研究開発を行っております。その経験が査読にも活きているのではないかと思っております。今後もJRR 誌のさらなる発展と共に本邦の放射線治療関連技術の技術開発に貢献できればと思っております。このような機会を頂きました佐々木編集委員長、宇野理事長、大西大会長をはじめ関係の先生方に御礼申し上げます。また、科学的見地を養うにあたり、日々私のつまらない議論に長くつきあってもらっています多くの共同研究者・同僚・大学院生の皆様にも感謝申し上げます。

小此木 範之

小此木 範之

(順天堂大学 放射線治療学講座)

この度は日本放射線腫瘍学会2024年の優秀査読者賞を賜りますこと、大変光栄に感じております。推薦してくださった日本放射線腫瘍学会編集委員会の先生、ご承認くださった日本放射線腫瘍学会理事会の先生に感謝申し上げます。また、受賞の機会を用意してくださる、日本放射線腫瘍学会第37回学術大会・大会長の大西洋先生、スタッフの皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございます。

[JRRS] Reviewer Invitation for…というメールを拝見する度に、正直に申せば、陰鬱な気分になります。誰かの学位論文になるかもしれない、真に世の中の為と信じて必死に紡いだ文章かもしれない、上司に怒られ泣きながら書いた文章かもしれない。そんな一編に、私が関わって良いのかと思いつつも、Editorは常々お世話になっている先生ばかりであり、(言外のちからを感じつつ)If you would like to review this paper…をポチッとクリックする、それを繰り返しております。

査読をさせていただく以上、そのドラフトをより魅力的なものにする様な、建設的批判であることを常に留意しているつもりです。同時に、私の狭い見識のせいで、そのドラフトを過小評価することだけはあってはならないと、必死に調べ、勉強し、魂を込めてコメント提出するようにしております。結果として、一番、学びの機会を頂いているのは私なのだと、この文章を書きながら再認識している次第です。

もっと優れた査読者になれる様、精進してまいります。

地域貢献賞

小幡 史郎

小幡 史郎

(長崎県島原病院 放射線科)

この度は、輝かしい地域貢献賞を頂戴し誠に光栄に思います。ご選出いただき心よりお礼申し上げます。ありがとうございます。さて、私が大学放射線科に入局した36年前、あまり放射線治療の人気はなく、ほとんどの同級生や先輩方は他の分野に進んでいきました。わたしは少し器用だったのでIVRに進もうかなとも思っていましたが、ある時、公私ともにお世話になっていた某師匠から、『人気がないからと言っても誰かやらないといけないんだろ、放射線治療は!』『誰も行かないなら、お前がやってあげればいいじゃないか!!』と言われ、自分の弱いところを突かれたなと重い腰を上げ、すでにそれから36年の月日があっという間に過ぎてしまいました。今はもはや当時とは隔世の感で、放射線治療はがん診療にはなくてはならないオプションとして、様々な新技法が生み出され、免疫を含んだ新たな薬物との併用、増感剤との出会いと目まぐるしく進化してきています。まさにその潮流に乗れたことはたいへん幸せなことでした。何よりもなにかのご縁で治療させていただいた患者さんの、心の平安を取り戻せたときの笑顔を見ると、ほんとうにこの道を進んできてよかったなあと心の底より思います。今はまだ道半ば、さらに新たな出会いがあるものと固く信じ、タンポポの綿毛がふわっと飛び舞い降り根づき花を咲かせることができたこの島原の地で、これからも良き仲間と力を合わせてがんばっていきたいと思います。関係各位のみなさま方、これまでそしてこれからも、どうぞよろしくお願い致します。

川本 晃史

川本 晃史

(順天堂大学 放射線治療学講座)

この度は、日本放射線腫瘍学会地域貢献賞に選出して頂き、大変光栄に感じております。この栄誉ある受賞は私一人の努力ではなく、地域の皆様、共に働く医療スタッフや関係者の方々との連携、そして推薦して下さった順天堂大学主任教授の鹿間直人先生のお陰であると心より感謝申し上げます。

順天堂大学医学部附属静岡病院は人口約40万人の伊豆半島の中で唯一の放射線治療設備を備えていますが、2時間以上かけて来院される患者もおり、放射線治療を断念し、放射線治療機会を損失することが問題となっていました。主な地域活動としては緩和的単回照射や短期照射の啓蒙・普及を目的に院内キャンサーボードカンファレンスでのアピールや地域医療従事者向けにがん治療研修会での講演・オンライン配信を行いました。また、対象疾患として多く、通院回数も多い前立腺癌患者を対象に短期照射導入を検討するためのアンケート調査を行い、放射線治療へのニーズを都心の病院と比較したものを学会発表、論文掲載しました。今回の活動によって実臨床面でも患者数も増え、地域医療現場での放射線治療機会を損失することを防ぎ、普及と臨床導入の面で地域における放射線治療のレベルアップを図ることが可能となりました。

今回の活動を通して地域医療現場で患者さんに寄り添い、地域の放射線治療を支えることの重要性を実感しております。今後も、より良い医療を提供し、皆様の安心と希望を届けられるよう、尽力してまいります。このような素晴らしい賞をいただいたことを励みに、さらに研鑽を重ね、医療の発展に貢献してまいります。改めて、感謝申し上げます。ありがとうございました。

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