会長挨拶
- 第44回日本脳神経外科コングレス総会
- 会長 齋藤 竜太
名古屋大学脳神経外科
第44回日本脳神経外科コングレス総会を、2024年5月9日(木)~12日(日)の4日間の日程で、ポートメッセなごやにて開催させていただきます。日本脳神経外科コングレスは、脳神経外科医の生涯教育と科学的研究による脳神経外科学の進歩を通して、国民の健康・福祉に貢献することを目的として1980年に創設されました。創設以来、歴代会長ならびに会員の先生方のご努力により、我が国の脳神経外科学の発展に大きく貢献してまいりました。日本脳神経外科コングレスの紋章に書かれたAncora imparoは「私は今でも勉強している」という意味をもっています。すべてのプログラムがプレナリーとして構成され、会員が一堂に会して専門領域を超えて最新の知見を勉強する本会は、我が国の脳神経外科医の向学心・探究心の高さを象徴しています。
今回の総会の主題は「脳神経外科の伝統・継承そして進化」と致しました。創設以来、脈々と継承・発展してきましたコングレス総会ですが、名古屋大学が主催させて頂くのは今回が初めてになります。昨今の目覚ましい自然科学の発展に伴い、医学領域も多くの優れた基礎・臨床研究により良質なエビデンスが創出され、それぞれの分野で必要な知識量が増しています。脳神経外科分野も例外ではなく、病態の解明、新しい疾患概念の提唱、診断・治療の進歩が進んでいます。このような中、上述の「私は今でも勉強している」というコングレス原点の思想がさらに重要さを増しています。これまでの先人が構築した現代脳神経外科の基礎となる伝統を継承して、進化させていくことが何よりも重要となっています。その意味から原点回帰を意識してこの主題と致しました。一方で、ポスターは我々脳神経外科医が何よりも守ろうとする大切な脳を金色で表現し、中央に置き、背景に日本を想起させる和紙をモチーフとした極めて単純なデザインと致しました。和紙には、波のように未来永劫続いて欲しいという願いが込められた伝統文様である「青海波(せいがいは)」をあしらっており、本会の大切にする学びへの原点回帰、そしてそれが日本独自のものとして悠久に引き継がれていく様を意識したものと致しました。それぞれの分野を代表する演者の先生にご講演いただき、それぞれの専門領域のみならず、専門領域外においても最新の知識がupdateできるように、プログラムを練りたいと思います。
この3年間新型コロナウイルス感染症の影響で学術集会のあり方が大きく変わりました。多くの会員が一つの会場に集まる従来の現地開催は行うことができず、私たちは学会を通じた議論や交流の機会を失いました。一方で、オンライン配信によるWeb開催が主流になり、限られた時間の中でも、遠方からであっても、学会にアクセスすることができるようになりました。今後はアフターコロナ時代の持続可能な学会開催形態を模索していく必要がありますが、日本脳神経外科コングレスではアフターコロナにおいても、現地開催とオンライン配信のハイブリッド形式として学術総会を開催していくことを理事会で決定いたしました。一方で、この新型コロナ感染症も感染症法上の位置づけが2類から5類感染症に移行することが決まり、よりウィズコロナ、アフターコロナを意識した時代へ変遷しつつある現況です。会員の利便性を維持したまま、学会ならではの対面での議論・交流の場を再び活性化する会としたいと考えます。本会では全体としてハイブリッド開催の形態をとりながら、できるだけ現地に集まっていただき会場で議論を行うセッションを組むことに力を入れる方針と致しました。会員の皆様への有意義な交流の場の提供ができればと考えております。
個々の企画の詳細につきましては、これからプログラム委員会で検討してまいりますが、本会が会員の皆様のさまざまなニーズに対応し、多くの皆様にとって有意義なものとなるよう考えていきたいと思います。2024年初夏の名古屋で皆さまにお会いできるのを楽しみにしています。奮って本会にご参加いただきますよう、心よりお願い申し上げます。