会長挨拶
 
第53回日本血管外科学会学術総会
会 長   三井 信介
社会福祉法人 恩賜財団済生会支部 福岡県済生会八幡総合病院 副院長
 
 第53回日本血管外科学会学術総会を、2025年5月21日(水)から23日(金)まで、福岡県北九州市で開催させていただくことになりました。第50回(北九州市)、第52回(別府市)と九州内での開催が続きますが、今回はCOVID-19のパンデミックは収束(5類に移行)し、小倉駅直結の会場(西日本総合展示場新館とアジア太平洋インポートマート)での開催で、アクセスの心配もありません。多くの医師と医療関係者に是非とも現地参加していただき、face-to-faceで活発に討論する学会本来のダイナミズムが堪能できる学術総会となるものと期待しております。

 今回のテーマは「All for a patient~日進月歩と原点回帰の血管外科~」としました。私の現職場(済生会八幡総合病院)には、「すべては病む人のために」と書かれた額が全ての部署に掲げられており、このテーマの着想は必然だったと思います。私は1994年に新日鐵八幡製鉄所病院(現、製鉄記念八幡病院)に就職以来、小倉記念病院、済生会八幡総合病院と一貫して北九州市内の病院で血管外科医として勤務してきました。その30年の間に血管外科領域の患者背景と治療戦略は著しく変化しました。高齢化、糖尿病、透析などの合併症、その結果としてフレイル患者の著しい増加を考えれば、低侵襲治療の発展は不可避です。しかし、他の外科領域と比較し、血管外科における「低侵襲手術」すなわち血管内治療は全くコンセプトが異なり、長期成績を考慮した治療戦略が未だ十分とはいえないのが現状です。今一度臨床家としての原点に立ち返り、何が個々の患者にとって最良の治療であるかを考える学会にしたいと思います。

 『地球の歩き方』というガイドブック、一度は目にされた方も多いと思います。2024年2月に一都市としては初となる〜北九州市版〜が上梓されました。「本当に魅力的な素材がいっぱいある」都市です。明治以降の日本発展の礎となった北九州の文化と食と風景を学会とともに楽しんでいただければ幸いです。