2025年10月、第24回IPPNW世界大会を長崎で1989年以来36年ぶりに開催することとなりましたので、日本支部を代表してご挨拶を申し上げます。2025年は広島と長崎への原爆投下から80年目を迎えます。原爆放射線による後障害は癌および白血病・骨髄異形成症候群(MDS)などが現在に至るも生涯にわたり持続しており、核兵器の人間に及ぼす非人道的結末が明白となっています。被爆者の高齢化も進み、その平均年齢は85歳を超えています。被爆者の数は2024年3月末時点で11万人を切り、この10年間は平均して約8,600人の被爆者が亡くなっているという分析もあります。
そのような中で、2025年10月開催の「第24回IPPNW世界大会」は、「核なき世界~長崎を最後の被爆地に」をテーマに掲げ、「80年の総括、被爆者との対話、安全保障、環境問題」などの他、2024年にノーベル平和賞を受賞した被団協(日本原水爆被害者団体協議会)を含む受賞4団体(IPPNW・パグウォッシュ会議・ICAN)が一堂に会するプログラムを予定しております。様々な観点から核について考える一助となれば幸いです。
本大会は被爆当時の状況やその後の経験を被爆者から直接聞くことができる最後の機会になると言われております。被爆の実相を学んでいただけるよう、皆さまのご支援、ご協力を得ながら成功に導いていきたいと思います。被爆地ナガサキでのIPPNW世界大会への世界各国からの多くのご参加を心よりお待ちしています。
最後に、人間の生命と健康を守る医師としての使命に基づき、核戦争が人類に対して後戻りのできない壊滅的な影響を及ぼすことを医学的立場から機会あるごとに訴え、核戦争を防止する活動をしてこられた皆様方の長年のご尽力に心から敬意を表します。