招請講演では周術期・麻酔関連テーマにとどまらず、医療・医学、そして一般教養まで広く話題を取り上げました。
超高齢患者が増える今、手術の成功だけでなく、「元の生活に戻れるか」が周術期医療の重要なアウトカムとなっています。麻酔・鎮痛が術後リハビリを支える一方、術前から身体機能を高めるprehabilitationは麻酔・手術を支えます。麻酔科とリハビリテーション科が術前からタッグを組む、新しい周術期医療のかたちを紹介します。ちなみ当院で手術を受けた患者に「何が一番辛かった?」と尋ねるとほとんどの方が、「術前リハビリ」と答えます。
自己修復が難しい関節軟骨に対し、高純度硬化性アルギン酸ゲル「UPALゲル」を用いた新たな再生治療が開発されました。基礎研究から治験、薬事承認、保険収載、そして全国での臨床使用へ――。一つのアイデアが患者に届く医療へと育っていく過程を、研究開発の最前線から紹介します。トランスレーショナル研究に関心のある麻酔科医には必聴です。
和歌山といえばマグロ。マグロといえば近畿大学。体重400 kgを超え、泳ぎ続けなければ生きられないクロマグロ。衝突死、仔魚の共食い、沈降死、そして11年間の産卵停止。幾度もの壁を越え、近畿大学は2002年、世界初の完全養殖を成し遂げました。「海を耕す」という壮大な構想はいかに現実になったのか。医学研究にも通じる、挑戦、失敗、発見、そして社会実装の物語です。
医療・研究へのAIの導入がどんどん進んでいます。どうやってAIを使うのかだけではなく、倫理についても深く理解する必要があります。麻酔管理の自動化・精密化が進めば、AIは単なる「助言者」から患者への介入を担う存在へ近づきます。そのとき、人間はどこまで監督すべきか、患者には何を説明するのか、麻酔科医の技能はどう維持するのか。WMAポルト声明と最新の議論を手がかりに、AI時代の麻酔科医に避けて通れない「責任と信頼」の問題を考えます。
新型コロナパンデミック時に、日本の基礎研究者を束ねall Japanの研究チームを立ち上げ(G2P Japan)、次から次へと研究成果を発信し世界をリードしたのが佐藤 佳先生です。佐藤 佳先生には、パンデミック下でどうやってall Japanの研究チームを立ち上げ成果を出していったのか、チームワークなどの研究哲学は、そして、今後のウイルス感染のパンデミックの可能性やどう対応するべきか? などについて講演いただきます。G2P Japanについては書籍「G2P-Japanの挑戦 コロナ禍を疾走した研究者たち」(日経サイエンス者)をぜひ、一度お読みください。熱いです。Xでも発信しています(The Sato Lab (Kei Sato))。私もフォローしています。
臨床研究の研究計画や論文作成に使用されるAIについて、その特徴や使い方についてご講演いただきます。問いの整理、文献検索、研究デザイン、統計解析、図表作成、英文執筆、査読対応――生成AIは研究のほぼ全工程を支援できるようになりました。一方、ハルシネーションや架空文献、解析の誤り、個人情報など落とし穴もあります。AIに何を任せ、研究者は何を判断すべきなのか。「明日から使える」臨床研究のAI活用法を具体的に紹介します。招請講演4と合わせて聴講ください。
皆さん、行動経済学って知ってますか?私は、上田先生の講演で初めて知りました。これ、とても面白いです。「これだけ丁寧に説明したのに、なぜ伝わらない?」――その理由は説明不足ではないかもしれません。人は必ずしも合理的に意思決定するわけではありません。がん治療、HPVワクチン、薬物療法など、医療現場には直感や経験、思い込みによるさまざまなバイアスが潜んでいます。術前説明や治療選択など、患者との意思決定に日々向き合う麻酔科医にも身近な問題を、行動経済学という新しいレンズから読み解きます。
「血小板が今すぐ欲しい。でも届くまで30分」――その常識が変わるかもしれません。
外傷、心臓血管外科、産科危機的出血など、大量出血では「何を輸血するか」と同時に「いつ投与できるか」が勝負を分けます。冷蔵血小板、乾燥血漿、低力価O型全血など、海外では新たな血液製剤の臨床応用が進んでいます。大量出血に日々対峙する麻酔科医に直結する、これからの輸血医療を展望します。
© 2025 The 46th Annual Meeting of
the Japan Society for Clinical Anesthesia