大会長挨拶

鶴屋 和彦

第55回日本腎臓学会西部学術大会

大会長 鶴屋 和彦

奈良県立医科大学腎臓内科学

この度、第55回日本腎臓学会西部学術大会の大会長を拝命し、主催させていただくこととなりました。奈良での開催は、当教室の先々代教授である土肥和紘先生が1998年に開催して以来、27年ぶりとなります。

私が腎臓内科学を学んだ九州大学第二内科腎臓研究室は、検尿異常から透析、腎移植に至るまで幅広く診療を行い、全人的医療を理念として掲げ、そのもとで腎臓内科医として研鑽を積んできました。また、1961年に始まった久山町研究は、現在では世界的に高く評価される疫学研究として確立され、臨床医学と疫学の融合により多くの疾患コホート研究が進められています。私たちも久山町研究室と共に腎生検症例や透析患者のコホート研究を確立し、成果を発表してきました。最近では、保存期慢性腎臓病コホートを構築し、日本腎臓学会のデータベース研究にも積極的に参画しています。また、私は2018年に奈良県立医科大学に赴任しましたが、幸いにも同様の理念のもとで診療と研究が行われており、これまでの姿勢を維持しながら腎臓内科医として活動を継続しています。

以上のような経験を踏まえ、大会のテーマを「EBMに基づく臨床腎臓病学~臨床データからの病態改善を目指して~」と設定しました。1症例を丁寧に診る重要性と、腎臓病学における大規模コホート研究の意義を再認識できる学会にしたいと考えています。独自企画として、臨床データ解析やコホート研究のポイントに関する教育講演や、可能であれば統計ソフトを用いたデータ解析の実践セミナーを企画し、腎臓病のコホート研究や臨床研究の推進につなげたいと考えています。学生や初期研修医にも積極的に参加していただき、腎臓病学の魅力を伝える工夫を凝らしたいと思います。

本会が、腎臓病学の臨床・研究に携わる方々にとって貴重な議論の場となり、明日からの診療や研究に少しでも貢献できることを願っております。多くの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。

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