第128回日本小児科学会学術集会タイトル

会頭挨拶

第128回
日本小児科学会学術集会
会頭 齋藤 伸治
(名古屋市立大学大学院医学研究科 新生児・小児医学分野)
齋藤伸治

~ 子どもたちに持続可能な小児医療の未来を:SDGs for Children ~

 この度,第128回日本小児科学会学術集会を,2025年4月18日(金)~20日(日)の3日間にわたり,ポートメッセなごや(愛知県名古屋市)で開催させていただきます。2025年度は中部日本ブロックが担当し,東海地区を代表して選出いただきました.東海地区の先生たちと準備委員会を組織して,議論を重ねて参りました.オール東海で皆様をお迎えすることができればと願っています.
 21世紀に輝かしい未来を期待していたことをつい先日のように覚えています.しかし,21世紀も四半世紀近くが過ぎた今日,世界は連続する紛争により不安定さが増し,未来は不透明です.さらに,新型コロナウイルス感染症のパンデミックを経験し,予想を超える事態がありうることを強く記憶に刻んでいます.そのような中で,こどもを巡る状況も大きく変わっています.世界に目を向けると,難民や貧困,格差の拡大は弱い存在であるこどもを蝕みます.我が国においても,新型コロナウイルス感染症パンデミックの3年間で,不登校やこどもの自殺は大きく増加しました.加速する少子化の中で,社会構造は変化し,こどもの心と身体は危機的な状況にあります.
 一方,科学技術の発展は目覚ましく,ゲノム医療や遺伝子治療・遺伝子編集が現実となり,生成AIの発展は医師の存在意義を問うています.私たちは不確実な時代の中で,予想を上回り発展する科学技術を制御して,真にこどものためになる小児医療を行わなければなりません.
 学術集会は私たち小児科医が最先端の医学を学び,小児医療の課題を議論し,私たち自身で小児医療の未来を築く重要な機会です.第128回学術集会では,「子どもたちに持続可能な小児医療の未来を:SDGs for Children」のテーマの下で不確実な時代の中で,持続可能な小児医療の未来を皆様と議論できればと願っています.そのためには,こども自身の声を聞くことが重要と考え,こどもを連れて参加できる,こどもも参加できる学術集会に取り組みたいと考えています.そして,ハイブリッドの利点を生かし,世界を繋いで,世界中の方と小児医療の未来を議論できればと思います.そのためには,会員の皆様一人一人の参加が何よりも重要です.名古屋の地で,そして,オンラインで皆様とお会いできることを願っています.

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