心臓分野
1)シンポジウム
「ACSに対する外科のbest practice OPCAB, On pump beating, arrestそれぞれの立場から」(公募・一部指定)
領域:冠動脈
- 企画趣旨
- 冠動脈バイパス術の死亡率は定期手術では1%台まで低下しているが緊急手術での死亡率は9%台と依然として高い。現在OPCABの施行率は50%台で施設によってはOn pump beatingやarrestでの手術を基本としている施設もある。ACSに対する緊急CABGの戦略を経験豊富な施設から報告していただく。
2)シンポジウム
「MitraClipの登場でIMRの外科治療戦略はどう変わったか?」
(指定)
領域:冠動脈
- 企画趣旨
- 虚血性僧帽弁閉鎖不全症(Ischemic Mitral Regurgetation: IMR)は、いつ・どのように治療を行うべきか議論の分かれるところである。これは、本疾患の本質が左室機能の低下で、病態が複雑であり、一般的な弁尖・弁輪の介入のみでは逆流の制御が不十分となることにある。また外科的手術リスクから、手術そのものを躊躇われる症例も多い。そのような中、Mitralclipの登場はこの疾患に対しての新たな治療方法を提示した。Mitralclip治療も選択肢となった現状でのIMRに対する外科治療を改めて検討したい。
3)パネルディスカッション
※英語セッション
「ISCHEMIA trial後の安定冠動脈虚血に対するlifetime managementを見据えた治療戦略~チャンスカード (CABG)をいつ切るのか?~」
(指定)
領域:冠動脈
- 企画趣旨
- ISCHEMIA trialの報告により、無症候性心筋虚血(SMI)に対する治療戦略は大きな変換の岐路に置かれたが、至適内科治療:optimal medical therapy (OMT)・経皮的冠動脈形成術(PCI)・冠動脈バイパス術(CABG)の選択においてはいまだ議論が多い。今回は3つの治療戦略について実臨床における影響および今後の理想とされるSMIへの治療方針について討議することを目的とする。
4)パネルディスカッション
「冠動脈多枝病変に対するMICS-CABGの立ち位置」
(公募・一部指定)
領域:冠動脈
- 企画趣旨
- 多枝病変に対する一期的完全血行再建こそが外科医にとって正義であると我々は信じてきたが、MICS CABGの普及に伴い、ハイブリッドを含めた包括的な治療戦略が求められるようになってきた。循環器内科医はどう考えているのだろうか?PCIエキスパートも交えて、多枝病変に対するこれからの治療を模索したい。
5)ビデオワークショップ
「VSP手術の難渋症例」(公募)
領域:冠動脈
- 企画趣旨
- 急性心筋梗塞後に発症する心室中隔穿孔に対する手術は、Exclusion法などの左室アプローチの他、最近では右室アプローチによる方法も報告されている。また、IMPELLAによる循環補助により手術成績の改善も期待されているが、左室破裂など予想外の合併症もしばしば経験する。心室中隔穿孔の難渋症例と、その対処法につき共有したい。
6)ディベート
「5枝バイパスが患者と術者の未来を切り開く!バイパス原理主義者の叫びは令和に響くのか?」(指定)
領域:冠動脈
- 企画趣旨
- 冠動脈バイパス術(CABG)のメリットのひとつに、完全血行再建がある。オフポンプCABGの黄金期には、「あらゆる枝に1本でも多く」が普通であったが、20年後の現在はどうであろうか。5本以上の末梢吻合することは、CABGの強みとなるか、将来的なスタンダードとなり得るか、心臓血管外科の未来を切り開くセッションになることを期待したい。
7)パネルディスカッション
「Radial arteryは信頼できるか?」
(指定)
領域:冠動脈
- 企画趣旨
- 橈骨動脈については、国際的なエビデンスに基づく使用法、評価と、日本国内での評価に違いがある。近い将来、橈骨動脈の評価や使用法は、どのようになっているのか、他のグラフトとの比較も踏まえて議論したい。
8)Surgical Colosseum
「最強グラフト選択 アルゴリズム対決」
(公募・一部指定)
領域:冠動脈
- 企画趣旨
- 日本のお家芸とも言えるtotal arterial graftによるan-aortic OPCABを追求するのか,はたまた世界的には大多数派であるsingle ITAとSVGによるCABGなのか?各自のグラフト選択のアルゴリズムを提示いただきたい。
9)パネルディスカッション
「MitraClip後の僧帽弁手術」(公募・一部指定)
領域:弁膜症
- 企画趣旨
- MitraClip手術の普及に伴い、術後に外科的僧帽弁手術が必要となる患者は少なくない。MitraClip後の手術には特異な課題が多く、術式選択や合併症管理において高度な対応が求められる。本パネルディスカッションでは、実際にMitraClipを行う循環器内科医と外科医が、手技の特異点や改善点を共有しつつ、多職種の視点を通じ治療連携を深め、より良い治療成績を目指すための実践的な議論を期待したい。
10)シンポジウム
「SAVR vs TAVR -医療経済的観点からの検討-」
(公募・一部指定)
領域:弁膜症
- 企画趣旨
- 近年、TAVRはその低侵襲性と患者負担の軽減が評価され、急速に普及している。一方、SAVRは長年の実績と比較的低コストという特徴を持ちながら、侵襲性が高い点が課題である。TAVRの普及に伴い、医療の質を高める一方で、その高コスト構造が医療経済に与える影響を無視することはできない。本シンポジウムでは、両術式の特徴を医療経済的観点から多角的に比較検討し、質の高い医療と持続可能な医療資源の配分を両立させる方策について議論を深め、医療現場、政策立案者の視点を交えた議論を通じ、新たな方向性を探りたい。
11)シンポジウム
「三尖弁形成術の最新技術と課題を探る」(指定)
領域:弁膜症
- 企画趣旨
- 三尖弁形成術は進歩を遂げ、新しい術式であるSpiral Suspensionや、低侵襲技術のTriClipが注目されている。一方、これらの技術には十分なエビデンスの蓄積が求められている。また、三尖弁逆流症の一形態であるEbstein病の治療成績は依然として明確でなく、さらなる検討が必要である。本シンポジウムでは、これらの最新技術や課題を共有し、術式選択や治療効果の向上に向けた戦略を議論し、医療の質向上に向けた多角的な議論を目指したい。
12)ビデオワークショップ
「大動脈基部近傍の再手術」
(公募・一部指定)
領域:弁膜症
- 企画趣旨
- 近年、大動脈弁温存および置換術を伴う大動脈基部再建術を再手術で行う症例が増加している。成人および先天性心疾患におけるこれらの術式には、特有の課題や技術的問題が存在します。本セッションでは、実際の手術映像を通じてこれらの術式における問題点や特異点を共有し、効果的なアプローチや治療戦略を多角的に議論し、知見を深めることで、より良い治療成績の実現を目指したい。
13)パネルディスカッション
※英語セッション
「Ross手術のup to date」
(公募・一部指定)
領域:弁膜症
- 企画趣旨
- 近年、若年患者に適した大動脈弁置換術としてRoss手術が再注目されている。自己弁を用いる特性が生存率向上や抗凝固療法不要といったメリットをもたらす一方、ホモグラフト入手の困難さや技術的課題も指摘されている。本パネルディスカッションでは、Ross手術の最新の知見やエビデンスを共有し、適応、課題、将来展望について多角的に議論することで、術式の最適な活用法を探りたい。
14)ビデオワークショップ
「TAVR弁やSutureless弁におけるPVEや弁輪破裂などに対する外科治療」
(公募)
領域:弁膜症
- 企画趣旨
- 近年、TAVRやSutureless弁といった新しい治療法の普及に伴い、これらの弁の感染や大動脈弁輪部破裂といった重篤な合併症の報告も散見される。これら合併症に対する適切な外科治療は、生命予後を大きく左右する。本セッションでは、これらの合併症に対する最新の外科的アプローチや課題を具体的な症例を通じて共有し、治療戦略を深く議論したい。
15)ディベート
「僧帽弁形成術におけるリング選択」(指定)
領域:弁膜症
- 企画趣旨
- 僧帽弁形成術におけるリング選択は、術後成績を左右する重要な要素である一方、標準化された選択基準は確立されていない。「どのリングでも良い」とする立場と、「特定のリングが最適」とする立場が存在し、意見は分かれている。本セッションでは、各立場のエビデンスや臨床経験に基づいた議論を通じ、リング選択における理想的なアプローチを探りたい。多様な視点を共有し、術者間の理解を深めることで、より良い治療戦略の構築を目指す。
16)ワークショップ
「複雑僧帽弁病変に対する形成成功率を上げるための術前TEE/CT活用法」(公募)
領域:弁膜症
- 企画趣旨
- 複雑僧帽弁病変に対する僧帽弁形成術の成功率向上には、術前の精密な評価が重要である。TEEやCTを活用することで、弁尖の切除範囲や人工腱索の長さを術前に予測し、最適な人工弁輪サイズを選択することが可能となってきている。本ワークショップでは、これらのモダリティをどのように活用するべきか、具体的な症例を通じて議論し、術前評価の最適化と形成成功率向上のための戦略を探求したい。
17)シンポジウム
※英語セッション
「自己弁温存大動脈基部置換術の再考」
(公募・一部指定)
領域:大動脈
- 企画趣旨
- 自己弁温存大動脈基部置換術は標準術式と言って良いほど普及し、20年程度の長期成績も報告されてきている。手術適応はもちろん、さらなる成績向上のために必要なこと、また再手術時における注意点等について論じていただきたい。
18)シンポジウム
「慢性B型大動脈解離に対する外科治療. Open surgery, TEVAR, FETの実情はどうなっているのか?」
(公募・一部指定)
領域:大動脈
- 企画趣旨
- 慢性B型解離に対してのアプローチは百花繚乱である。果たして、現時点において採るべき治療法は何か、どのように治療法を選択すべきか、追加治療のタイミングをどうするのか、治療効果はどれほどなのか、各施設の遠隔期成績を元に議論を進めたい。
19)シンポジウム
※英語セッション
「Preemptive TEVARの実情」(公募・一部指定)
領域:大動脈
- 企画趣旨
- ガイドラインではhigh riskで将来拡大が予想される症例にPreemptive TEVARが推奨されている。現在の日本の現状はどうなっているのか、中期成績をふまえてガイドラインを超えた詳細な適応、介入時期、治療方法について議論を進めたい。
20)シンポジウム
「胸腹部大動脈瘤に対するFenestration/branched TEVARを用いた戦略」
(公募・一部指定)
領域:大動脈
- 企画趣旨
- 胸腹部大動脈瘤に対するFenestration/branched TEVARは人工血管置換術に代わりうる治療法なのか、その実際の成績を示していただき、適応すべき症例や問題点について議論したい。
21)パネルディスカッション
「大動脈緊急症ネットワークの実情と将来構想」(公募・一部指定)
領域:大動脈
- 企画趣旨
- 心臓血管外科医不足が顕著になってきており、さらには働き方改革の波が押し寄せてきた。各施設が競争する時代ではなく、施設間の協力を行うためのネットワークの設立が喫緊の課題である。地域の実情に合わせたネットワークの構築を進めるための議論を期待したい。
22)ビデオワークショップ
「左開胸手術における中枢側吻合:Open proximal surgeryのピットホール」
(公募)
領域:大動脈
- 企画趣旨
- 左開胸による大動脈手術はTEVAR時代においても重要である。特に中枢吻合について焦点を当て、その注意点やコツについて議論したい。
23)ワークショップ
「脊髄障害を防ぐために:最新の戦略を学ぶ」
(公募・一部指定)
領域:大動脈
- 企画趣旨
- 大動脈手術における脊髄障害は未だに未解決な問題である。最新の知識を踏まえて最新の方策を議論したい。
24)ディベート
「遠位弓部広範囲大動脈瘤に対して(1)アプローチの違い(2)1ステージか2ステージか」
(指定)
領域:大動脈
- 企画趣旨
- 正中切開だけでは完遂しない、また左開胸からでも困難を伴う、遠位弓部を含む広範囲大動脈瘤に対するアプローチを討論していただきたい。患者次第では等の条件を考えず、基本的な治療戦略について日和ることのないディベートを期待したい。
25)シンポジウム
「先天性心疾患における新しい技術を用いた術前シミュレーション」(指定)
領域:先天性
- 企画趣旨
- 複雑先天性心疾患の外科治療において、術前シミュレーションは非常に有用であり、血流シミュレーションや、CTのデータから3D-プリンターを使用して作成する実物大ゴム製レプリカはもちろん、バーチャル(ped UT-Heartやviewtify、VR手術シミュレーションなど)においても、より実際に近いimageが再現されるようになった。それら新しい技術を用いた術前シミュレーションの有用性と今後の展望、pitfallなどについて、それぞれの分野の最先端の先生方にご講演頂き、理解を深めたい。
26)シンポジウム
「小児心臓外科トレーニングの工夫」(公募・一部指定)
領域:先天性
- 企画趣旨
- 昨今の働き方改革による制約の中で、小児心臓外科領域においても効率的な技能習得が急務である。off-the-job trainingに限らず、実臨床でのスキルアップの工夫や、知識の修得、経験の共有など、修練医、指導医双方からの取り組みを紹介いただき、良質な小児心臓外科医療の継承について議論したい。
27)パネルディスカッション
「機能的単心室の未来を考える:~遠隔成績向上のための外科的治療オプション~」
(公募・一部指定)
領域:先天性
- 企画趣旨
- Fontan手術は機能的単心室の最終手術として確立され、手術成績の向上により長期生存が可能となった一方で、Fontan関連肝疾患(FALD)や蛋白漏出性腸症(PLE)などの遠隔期合併症が新たな課題として浮かび上がっている。本セッションでは、これらの合併症を回避し、患者の生活の質を向上させるための積極的な治療選択肢、特に二心室修復やFontanからのBiventricular Conversion、導管のサイズアップなどの再手術例に焦点を当てる。機能的単心室の二心室修復や、Fontan手術からのBiventricular conversionを検討している症例については公募を行い、機能的単心室の治療法としての新たな可能性を議論したい。
28)パネルディスカッション
「大動脈弓発生異常のLife-long management」
(公募・一部指定)
領域:先天性
- 企画趣旨
- 先天性大動脈弓発生異常のうち、Kommerell憩室などでは無症状のまま成人期に達したのち、気道や食道の圧迫による症候化や大動脈瘤形成が原因で成人期に外科治療が必要となる場合がある。このような疾患に対して、どの時点で外科治療を考慮すべきであるのか、一定した見解はない。本セッションでは成人期手術症例からのフィードバックに基づいて、これらの疾患に対する予防的外科治療を小児期にどの程度積極的に行うべきであるのかを討論する。各施設における小児期の手術方針を遠隔期成績と共にご発表いただきたい。
29)ディベート
「最適な大動脈弓再建術式とアプローチは何か?」(指定)
領域:先天性
- 企画趣旨
- 大動脈縮窄・大動脈弓離断やノーウッド手術などの大動脈弓再建術は、各施設がより良い大動脈形態と遠隔成績を目指し様々な工夫(下行大動脈送血、パッチ補填・材質、正中・側開胸アプローチ、Swing-back法、Chimney法など)を行っており、また本邦特有のアプローチや術式が多いことも特徴の一つである。疾患や大動脈形態などの背景を踏まえ各施設のデータとこだわりを基に、より再現性があり最適な大動脈再建術は何かを議論し知識を共有し発信したい。
30)ワークショップ
「末梢肺動脈病変への挑戦 肺動脈形成のこだわり」
(公募)
領域:先天性
- 企画趣旨
- 良好な肺循環の確立は単心室循環ではもちろん2心室循環においても循環機能維持のために必須である。肺動脈形成術は多様な背景や病変部位に応じた対応が必要であり、形成術の方法もそのデザイン、パッチ素材、吻合方法、無血視野確保法など多岐にわたる選択肢がありそれぞれに対する最適治療は明らかではない。肺動脈縮窄を合併した肺動脈閉鎖、ノーウッド手術後の肺動脈狭窄、ジャテン手術時の肺動脈再建、肺門部を超えた分岐後末梢肺動脈狭窄など、様々なシナリオにおける各施設での肺動脈形成術のこだわりを発表いただきたい。発表ではその成功例だけでなく失敗例やそこからのフィードバックも提示いただき、その最適治療について議論を深めたい。
31)ワークショップ
「「苦労したACHD再手術」から導き出されたACHD再手術のピットフォール」(公募)
領域:先天性
- 企画趣旨
- 成人先天性心疾患(ACHD)患者の増加に伴い、これらの患者に対する再手術の必要性も増加している。先天性疾患に起因する特異な血行動態、複雑な解剖学的構造、大血管や心筋などの組織の脆弱性、さらに繰り返される再開胸が、これらの手術を非常にリスクの高いものとしている。このセッションでは、今後も増加が予想されるACHD再手術に対し、「苦労したACHD再手術」症例の手術動画を交えた発表を通じて、そこから得られる手術のピットフォールを探求し、より確実で安全な手術の実現を目指す。
32)ワークショップ
「非デバイス・非移植心不全外科医療の現状と展望」
(公募・一部指定)
領域:心不全、基礎、ロボット他
- 企画趣旨
- 2025年版心不全資料ガイドラインが日本循環器学会から発行された。薬物治療やデバイス治療の進歩する中で、移植や補助人工心臓以外に外科医ができること、心不全医療において外科医が果たす役割について議論していただきたい。
33)シンポジウム
「移植・VAD医療の効率化:患者利益と医療資源のマネージメント」
(公募・一部指定)
領域:心不全、基礎、ロボット他
- 企画趣旨
- 2024年4月から働き方改革が実施されたが、心臓移植は国内11施設に限られ、負担の偏りが問題視されている。またdestination therapyが開始され、補助人工心臓治療の増加とともに関係医療者の負担も増加している。人的資源が限られる中で、移植やデバイスを含めた心不全治療を円滑に行っていくための方策について各施設の工夫を提示していただくとともに、今後の展望について議論したい。
34)シンポジウム
「心臓血管外科の未来を創る基礎研究」
(指定)
領域:心不全、基礎、ロボット他
- 企画趣旨
- このセッションでは、最先端の基礎研究がいかに心臓血管外科の未来を形作るかに焦点を当てる。最先端の研究者と臨床医が一堂に会し、新しい技術や治療法の開発について議論し、次世代の心臓血管外科医療を見据えた革新的なアプローチを共有したい。
35)ワークショップ
「ロボット心臓手術の功罪と未来」(指定)
領域:心不全、基礎、ロボット他
- 企画趣旨
- 我が国においても、ロボット心臓手術が増加してきたが、通常のMICSで手術を行っている施設も多い。そこで、技術的な面、経済的な面から両者のメリット、デメリットを示して頂きたい。ロボット手術は病院の経済負担が大きいが、ロボット手術を行うことで、入院期間が短くなったり、病院への広告効果があり、新規患者が増加するなどのメリットもある。外科手技のみではなく、経済学的な側面も含めたロボット心臓手術について包括的な議論を期待したい。
36)ワークショップ
「ロボット心臓手術のローンチにおける課題」(指定)
領域:心不全、基礎、ロボット他
- 企画趣旨
- ロボット心臓手術の認定施設は増え続けている。本セッションでは、ロボット心臓手術を開始して間もない施設からロボット心臓手術を始める際の苦労を講演いただき、スムーズなロボット心臓手術の導入法を学びたい。
37)ワークショップ
「MCSのベストプラクティス:Postcardiotomy cardiogenic shockを制する」
(公募・一部指定)
領域:心不全、基礎、ロボット他
- 企画趣旨
- 機械的補助循環装置の進歩により、postcariotomy cardiogenic shockの治療ストラテジーも変化しつつある。各施設での取り組みや工夫をご提示いただき、今後の展望について議論を深めていただきたい。
呼吸器分野
1)シンポジウム
「局所進行非小細胞肺癌に対する集学的治療戦略と手術」(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- 局所進行肺癌に対する治療戦略が注目されている。特に免疫チェックポイント阻害剤を併用した術前治療に関しては、術後の補助療法の在り方も含め選択肢が増えている。一方、根治的薬物放射線治療の成績も向上しており症例も増えているが、再発等に対してサルベージ目的で手術が行われることもある。これら薬物や放射線治療歴のある症例については手術の難易度が高くなるが、呼吸器外科医としては対応する必要がある。本セッションでは局所進行肺癌に対する治療戦略や成績について発表いただき知見を共有したい。
2)シンポジウム
「間質性肺炎合併肺癌の克服を目指して」
(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- 間質性肺炎合併肺癌に対する外科治療は、手術適応・術式選択・周術期管理を含め解決すべき問題が山積している。間質性肺炎合併肺癌手術における各施設での成績向上に向けた取り組みや治療成績を提示して頂きたい。
3)シンポジウム
「肺悪性腫瘍の治療における新たなエビデンスと新技術」(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- 肺癌を主体とする胸部外科手術に用いられる機器の進歩が我々の手術を支えている。そこで、ナビゲーション、ロボット、分子イメージング、AIなど手術に応用される、あるいは応用が期待される新規技術について議論する。
4)シンポジウム
「転移性肺腫瘍の治療戦略」
(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- 悪性腫瘍に対する薬物療法を含む集学的治療の進歩は目覚ましく、多くのIV期がんに於いて治療成績が向上している。このような現状に即した転移性肺腫瘍の治療戦略について改めて議論をお願いしたい。特に、集学的治療の一貫としての外科治療について、手術適応、術式、術後成績などのupdateをお願いしたい。
5)シンポジウム ※英語セッション
「技術革新時代の外科医教育」
(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- ロボット手術やユニポート手術などの低侵襲手術が普及し、手術機器・デバイスなどの技術革新が進む中で、術前画像シミュレーション・システムやVR技術など外科医教育にはDxの活用が望まれる。また、医療安全の観点から、若手外科医に対するOn-the-Job Trainingは限定的であり、Off-the-Job Trainingの重要性が高まっている。このセッションでは、世界各国の教育方針や修練方法などを提示いただき、次世代を担う若手外科医の教育について改めて考えたい。
6)パネルディスカッション
「区域切除後局所再発に対する治療」
(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- 小型肺がんに対する肺区域切除術は標準治療となりつつあり、その数も増加している。JCOG0802の結果においても肺葉切除と比較して全生存率は良好という一方で、断端再発は多い傾向にある。多くは局所再発であり、局所治療の適応であるが、外科治療では手技的難易度は高くなり、手術と放射線治療で議論が分かれる。治療成績とともに、手技的視点、合併症、治療効果の視点など、多角的に議論し、治療の方向性を探っていただきたい。
7)パネルディスカッション
「血痰・喀血を伴う炎症性疾患(結核、アスペルギルス症など)に対する外科治療」
(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- アスペルギルス症などの炎症性肺疾患では、血痰などの症状が出現し、手術適応となる場合がある。実際の手術においては、胸壁への肺組織の強固な癒着とそれに伴う出血も多い。また、抗酸菌症については多剤耐性菌などの難治性疾患があり技術的にも難易度が高く,周術期管理も含め困難な場合がある。本セッションでは、その手術適応、術式および手術時の剥離、止血の工夫を、自施設の経験を踏まえて議論していただきたい。
8)パネルディスカッション
「急性および慢性膿胸に対する治療方針」
(公募)
- 企画趣旨
- 膿胸に対する治療は、急性・慢性,有瘻性・無瘻性など個々の病態に応じた臨機応変な対応が求められ、未だに治療が困難な症例も多い。また治療には開窓術・EWS・筋弁充填などの必要性やその実施タイミング含め、戦略は施設ごとの多様性に富んでいる。本企画では膿胸治療法の基本的な考え方から施設毎の工夫、特に「急性膿胸の治療戦略」、「慢性膿胸の治療戦略」、「開窓術など二期治療の適応・タイミング」、「再建法(開窓術後など)」をテーマとした演題を公募し、広く討議のうえより有益な治療戦略の共有を目指したい。
9)パネルディスカッション
「難治性気胸の治療戦略」(公募)
- 企画趣旨
- 本邦では、高齢化が進み、高度肺気腫や高度な線維化を伴う間質性肺炎を併存している症例が増加している。そのような背景肺における気胸の治療はしばしばその治療方針に難渋する。一方でハイリスクで全身麻酔ができない症例への局所麻酔下の手術、EWS挿入の適応など総合的な対応が求められる。本セッションでは、重篤な背景肺を持つ症例に様々な理由で生じた気胸にどのような治療戦略を立てるべきか、自施設の経験を踏まえて議論していただきたい。
10)パネルディスカッション
「肺高血圧を伴う呼吸器疾患に対する肺移植 up to date -待機中管理、手術戦略、周術期管理、肺移植後長期管理-」
(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- 現在日本の脳死肺移植待機患者の約半数を間質性肺炎が占める。間質性肺炎をはじめとする呼吸器疾患にしばしば合併する肺高血圧症は、待機中の予後や肺移植後成績に大きく影響する。片肺移植において、平均肺動脈圧40mmHg以上は死亡率のハザード比増加と関連するため原則両肺移植が選択される。一方で、間質性肺炎をはじめとする多くの呼吸器疾患に対しては、日本ではドナー肺シェアの観点から片肺移植が選択される。片肺移植を第一術式として登録した患者の肺高血圧発症の有無をどうスクリーニングし発症時にはどう管理するのか?両肺移植の年齢制限がある日本において片肺移植と両肺移植をどのような基準で選択するのか?肺移植術に際してどのように術中管理を行うのか?術後急性期および長期成績はどうなのか?術後管理においてどのようなことに注意すべきか?いまだコンセンサスは得られていない。本パネルディスカッションでは、肺高血圧を合併した特発性肺線維症に対する新規治療を含む、肺移植登録前の診断、治療、待機中管理の考え方についてご専門の呼吸器内科医から、肺高血圧合併呼吸器疾患に対する片肺移植時の術中管理について米国のハイボリュームセンターの肺移植医からそれぞれ基調講演をいただいた上で、各施設の現状、考え方をご発表いただき、集中的に討議したい。
11)パネルディスカッション
「新規肺移植実施施設になるために」
(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- 新規施設になろうと思っている施設と最近なった施設と協議会の審査員の3つの違った視点から新規肺移植施設になるための具体的な問題点を明らかにする。
12)パネルディスカッション
「日本の肺移植はどこに向かうのか?どこまでタスクシェア可能か?」
(公募・一部指定)
- 企画趣旨
-
脳死下臓器提供数の増加に伴い、肺移植実施数は年々増加している。さらなるドナー数増加が見込まれる中、2024年4月から施行された医師の働き方改革に逆行するかのように、肺移植外科医の業務は増加している。施設増加の機運が高まり、また既存の施設と日本臓器移植ネットワークにおいては業務の効率化、タスクシェアが急ピッチで進められている。各施設における、肺移植適応検討・待機登録、待機中管理、メディカルコンサルタント業務、肺移植実施時、術後急性期・長期管理における業務効率化、肺移植内科医やNurse practitioner (NP) などとのタスクシェアの工夫、新たなアイデア、新規施設認定へのアクションと既存施設の支援など、今後5〜10年を見据え、日本の肺移植をどこにもってゆくのか?どのような有りようが理想なのか?意見交換とコンセンサス形成の場をつくりたい。
- 新規患者登録と術前管理のタスクシェア(内科・外科・NP・紹介元など)
- 肺移植手術と肺移植後急性期管理のタスクシェア(内科・外科・集中治療)
- 肺移植後慢性期管理のタスクシェア(内科・外科・NP・紹介元など)
に関する演題を公募する。
13)パネルディスカッション
※英語セッション
「ロボット呼吸器外科手術の現在地を探る:さて、その機種はどうなの?」
(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- RATSは2018年の保険収載以来、年々増加してきており、最近では年間約5000例ほど実施されるようになっている。また2023年より従来のDavinci(X/Xi)に加え、新たな機種が導入されており、呼吸器外科領域に新たな新風を巻き起こしている。本セッションでは各機種ごとの特徴を明らかにし、それぞれの適応範囲やテクニックを提示することで、安全かつ有用な普及の促進を図る。
14)パネルディスカッション
「胸膜中皮腫におけるMARS2 trial後の外科の役割」(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- 胸膜中皮腫治療において、MARS2試験は化学療法に外科手術を加える意義を否定した結果となったが、その適応を含め数々の問題点が指摘されている。また、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の登場により、各施設で胸膜中皮腫に対するICI治療後のサルベージ手術等の手術症例数も蓄積されてきていると考えられる。本セッションでは各施設のデータを持ち寄り、胸膜中皮腫における外科手術の意義を再確認し、またICI併用療法を含めた新たな治療法の可能性についてもディスカッションしていただきたい。
15)ワークショップ
「区域切除術の適切な適応と手術手技」
(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- JCOG0802以後、区域切除が急増している現在、その適応につき議論いただきたい。とくに区域切除を完遂した後にリンパ節転移が発見された症例に対する方針などを中心とした発表をお願いしたい。
16)ワークショップ
「肺移植を含む異時性・同時性複数臓器移植の現状と課題」(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- 心肺同時移植、生体肺・生体肝同時移植、肺移植後腎不全に対する腎移植など、肺を含む、異時性・同時性複数臓器移植の現状をシェアしていただき、今後の課題について討議したい。
17)ワークショップ
「胸腺上皮性腫瘍におけるトランスレーショナル研究」(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- 胸腺上皮性腫瘍はまれな疾患であり、治療開発が進んでいない分野である。胸腺上皮性腫瘍の生物学理解、バイオマーカーの探索、治療標的に関する基礎・臨床研究について情報共有していただき、新たな診断法や治療法の開発について議論していただきたい。
18)ワークショップ
「急性縦隔炎に対する治療戦略」(公募)
- 企画趣旨
- 急性縦隔炎は、頻度こそまれだが発症すれば致死的な合併症である。縦隔炎に対する治療戦略に関する強固なエビデンスが存在しないため、個々の医師の判断で治療が進められているのが現状である。重症な縦隔炎の患者を救命するためには、積極的な外科的ドレナージやVAC療法、大網充塡、筋皮弁充塡などが必要であり、本セッションでは、さまざまな縦隔炎に対する診断、手術適応、アプローチ、手技について議論したい。
19)ワークショップ
「大血管に浸潤する縦隔腫瘍手術のテクニックと周術期管理」(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- 進行縦隔腫瘍の手術において縦隔大血管に浸潤する症例にしばしば遭遇する。近年、手術手技や補助循環技術などの進歩により、大血管を安全に合併切除・再建することが可能となっており、長期予後も期待できる。一方で、手術アプローチや切除・再建の手順に関しては心臓血管外科チームとの詳細な術前検討が不可欠である。また静脈系に関しては、呼吸器外科医のみで手術を完結できる場合も多いが、心臓外科の助けを必要とすることもある。こうした状況の中、特に若手呼吸器外科医を対象に、アプローチ法、剥離の手順、切除と再建、周術期管理におけるノウハウを披露していただきたい。
20)ワークショップ
「呼吸器外科領域における胸部外傷に対する治療戦略」(公募)
- 企画趣旨
- 胸部外傷の手術は比較的稀ではあるが、手術になった時は、その場での状況判断および手術手技が生命予後に大きく関わる。ゆえに我々は、その経験と知識を共有し、いざという時に備えなければならない。さらに今後、胸部外傷に対するガイドラインの作成の予定もあり、呼吸器外科医も専門領域を超えて、救急医や心臓血管外科医と連携し、ガイドラインの作成に参加しなければならない。本セッションでは呼吸器外科領域における胸部外傷のデータや治療経験を発表して頂き、今後の治療戦略・ガイドラインの作成について論じて頂きたい。
21)ディベート
「肺癌に対する低侵襲手術アプローチ」
(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- 肺癌に対するロボット支援下手術、単孔式胸腔鏡手術は近年急速に普及し、低侵襲手術のオプションの一つとして選択可能な位置付けとなっている。しかしながら、各々のアプローチのベネフィットを正確に導くためには、アプローチ毎の低侵襲性と治療成績の検証が必要である。本セッションでは、各施設における肺癌に対する低侵襲アプローチについての取り組みについてご発表いただき、さらに従来の胸腔鏡手術、開胸手術と比較した場合の各々のアプローチの利点、欠点について議論していただきたい。
22)Techno-academy
「体外循環を用いた呼吸器外科手術ー肺癌を中心に」(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- 周囲臓器への浸潤を伴う肺癌に対する手術では、ECMOなどの体外循環が必要となる場合がある。様々なケースを通して、体外循環の適応基準、術式の工夫、他診療科との連携について提示して頂きたい。
23)Techno-academy
「”温故知新”開窓術の技術を伝承する」
(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- 開窓術や胸郭形成術は、結核治療で開発されてきた術式であるが、そのテクニック、工夫を若い世代に継承していくことは重要である。本セッションでは、開窓術の適応、タイミング、開窓部位、そしてその後開窓部の充填、胸郭形成術に至る適応とそのテクニックに関して、自施設の経験、取り組みを議論していただきたい。
24)Techno-academy
「胸腺上皮性腫瘍に対する低侵襲アプローチのピットフォール」(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- 胸腺上皮性腫瘍に対するアプローチは、胸腔鏡、ロボット、側方、剣状突起下など低侵襲術式が普及してきている。しかし大血管損傷等のトラブル時に対応が難しいという問題がある。緊急開胸にどのように備えているか、また実際のトラブル時にどのように対応したか貴重な経験を共有して頂きたい。
25)Techno-academy
「百花繚乱のロボット縦隔腫瘍切除術」
(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- ロボット支援下縦隔腫瘍切除術は2018年に、同拡大胸腺摘出術は2020年に保険収載となり手術症例数は増加の一方である。2021年のJATS Annual Report によると縦隔腫瘍5590例のうち1261例がロボットにて施行されている。2023年からは様々な新機種ロボットの縦隔腫瘍切除術の保険収載が相次ぎまさに百花繚乱といえる状況である。本セッションではそれぞれの機種のエキスパートに現状と課題について報告していただき、今後の縦隔腫瘍切除術の方向性・ロボットを使用することの意義を議論していただきたい。
26)Techno-academy
「胸壁,横隔膜再建および胸郭変形矯正のUp date」(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- 胸壁,横隔膜再建や漏斗胸に対する胸郭矯正の手技は施設により多種多様である。また、近年のインプラントの進歩も著しく,呼吸機能とQOLも考えた新たな術式も開発されている。本セッションでは,胸壁,横隔膜再建や漏斗胸に対する胸郭矯正のUp dateについて論じて頂きたい。
27)Techno-academy
「乳び胸治療のベストプラクティス」
(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- 乳び胸に対しては、従来、食事療法、癒着療法、胸管結紮術、薬物療法などの治療が行われてきた。しかし、近年、リンパ管の画像診断技術の進歩に伴ってカテーテルによる乳び胸治療が可能となり、その治療戦略に変化が生じつつある。胸部外科医にとっては避けて通れない呼吸器、食道、心臓血管術後の乳び胸、あるいは外傷性、特発性などの乳び胸に対する、各施設の治療戦略および治療手技の工夫について紹介していただき、乳び胸治療のベストプラクティスを明らかにしたい。
28)Surgical Colosseum
「徹底討論!術前治療後の手術法はいかにあるべきか(開胸かVATSか或いはRATSか?)」(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- 胸部悪性腫瘍における放射線化学療法や免疫チェックポイント阻害薬をはじめとした術前治療の進歩に伴い、その手術機会が増えている。多くは難易度の高い手術となるため各施設で手術アプローチを含めた手術法の工夫がなされているものと思われる。本セッションでは各施設の試みを持ち寄って議論いただくことで、本邦の手術精度を高め、治療成績の向上を図りたい。
食道分野
1)International Session
※英語セッション
「食道癌に対する低侵襲手術のエビデンス」(指定)
- 企画趣旨
- 高度侵襲手術と位置づけられていた食道癌に対する食道切除術は、医療技術の進歩により開胸術から胸腔鏡手術、そしてロボット支援手術へと大きく変革を遂げ、現在ではほとんどの手術が低侵襲手技で行われるに至った。しかし、これまで低侵襲食道切除術に関する明確なエビデンスはなかったが、近年ようやくその臨床試験の結果が報告され、その有用性が認識されている。本セッションでは、世界各国で行われた臨床試験に携われた先生からその結果を報告して頂き、その結果を共有すると共に、今後に向けた課題や将来性についての展望を議論していただく予定である。
2)ビデオ・シンポジウム
「上縦隔郭清におけるこだわりの手技とその理論」(公募)
- 企画趣旨
- 食道癌手術における上縦隔リンパ節郭清は、患者の生命予後および術後QOLを左右する最も重要な手術手技である。同部の手技では反回神経を解剖学的かつ機能的に温存しつつその周囲を徹底郭清するという、根治性と機能温存を極限まで追求した手技が求められる。これまでの学術集会でも上縦隔郭清手技の概略については提示して議論されてきたが、いずれも少しずつ手技やコンセプトが異なっており、特に106recLの郭清については、「食道切離派vs.非切離派」、「flip up vs. pull down」、「内側郭清vs.背側郭清」、「頸胸境界部をできるだけ胸腔から郭清vs.頸部から郭清」、等様々の流派がある。106recRの郭清においても、右反回神経の確認の仕方は様々で、さらには「胸腔鏡 vs. 縦隔鏡」などアプローチに関しても多種多様である。本セッションでは皆さんが特にこだわっている手技についてフォーカスを絞り、その利点や注意点とコツについて、その理論的根拠と共に自己アピールをして頂きたい。
3)パネルディスカッション
「縫合不全の対応と難治例に対する再建手技」(公募)
- 企画趣旨
- 縫合不全はゼロであることが理想ではあるが、一定の確率で起こりうる、消化器外科医にとっては避けては通れない永遠の課題である。一旦発症すると患者に対する負担は大きく、早期に診断して適切に対処することで局所の感染を最小限に制御し、確実な消化管再建を提供してできるだけ早期に食事摂取を可能にすることが求められる。しかし、中には広範壊死や複数回の手術既往などのために消化管の再建が極めて困難になる場合もある。本セッションでは、縫合不全の程度や部位に応じた各施設での対処や再建時の工夫と共に、局所の感染制御や消化管再建に難渋した症例を提示して頂き、その最適な対応策を議論することでその経験し、実臨床に生かすことができればと考える。
4)ワークショップ
「cStage IV食道癌に対する治療戦略 〜 Conversion surgeryの意義」(公募)
- 企画趣旨
- 大血管・気道系浸潤を示すcT4局所進行食道癌や遠隔転移を有する高度進行食道癌は切除不能とされてきた。前者に対しては、根治的化学放射線療法(dCRT)後のcT4が解除された症例や、完全奏効後の局所再発した症例など一部の症例に対してsalvage手術が行われることがあった。一方、後者に対しては化学療法による維持療法以外に有効な治療法がないというのが現状であった。
近年、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の登場により切除不能症例に対する治療戦略は従来の概念を超えたパラダイムシフトを迎えている。dCRT後のICI補助療法による局所制御効果の向上、ICI治療による全身制御効果の向上およびCRTとの併用によるアブスコパル効果が報告されており、切除不能例においても著効が得られる症例が増加している。これに伴い、治療戦略としてConversion Surgery(CS)が積極的に行われつつある。しかし、ICIを組み入れた治療戦略はまだ始まったばかりで、CSの適応や意義はまだ明らかではない。そこで本セッションでは、治療成績の観点から、「どのような症例がCSのよい適応となるのか」あるいは「CSを行う意義が少ないのはどのような症例なのか」などを議論したい。また同時に、CSにおける手術手技の要点や工夫についても提示していただき、ICI時代におけるCSの位置づけについて活発に意見交換をしていただきたい。
5)他分野参加型ワークショップ
「cT4(大動脈) 胸部食道癌における大動脈ステント(TEVAR)の意義と有用性」
(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- cT4(大動脈)胸部食道癌は切除不能とされ、放射線療法や免疫チェックポイント阻害薬などを中心に治療が行われるが、奏効しなければ腫瘍浸潤による大動脈食道瘻から大出血を伴うリスクを有している。そのため大動脈ステント(TEVAR)を留置して出血を予防したり、ステント留置後に積極的に大動脈壁合併切除で根治切除を目指す場合もあるが、食道癌に対する大動脈ステントは保険適応ではなく、一部の施設に限られているのが現状である。そこで、食道外科からは食道癌に対する大動脈ステント留置の治療経験とその有用性を、心臓血管外科からは大動脈ステントの適応の是非、注意点等についてご発表頂きたい。
6)他分野参加型ワークショップ
「進行胸部食道癌の大血管・気道浸潤または損傷例に対する対処 〜 あの時どうすべきだったか?」(公募)
- 企画趣旨
- 食道の悪性腫瘍は縦隔の中央に位置し、気道や大血管に近接しているため、進行するとこれらの臓器に容易に浸潤し、切除が困難となる。根治を目指した手術では、かろうじてR0切除が可能となる場合がある一方で、合併切除を要することや、術中に大出血や気道損傷を生じることも少なくない。不幸にもR2切除となる場合や、一見根治切除が成功したと思われても早期に局所再発を認めることもある。こうした結果に直面する中で、手術方法が本当に適切だったのか、あるいは他により良い方法が存在したのかは常に悩む課題であり、領域横断的な議論が求められる。
本セッションでは、食道癌手術における大血管や気道に関連する困難症例やトラブル症例を提示する。心臓血管外科や呼吸器外科の専門家とともに症例を検討し、困難を克服するための具体的な解決策や、新たな可能性を追求する場とする。
7)ディベート
「胸腔鏡下食道切除術 〜 腹臥位 vs. 側臥位」(公募・一部指定)
- 企画趣旨
- 食道癌手術手技は開胸手術から鏡視下/ロボット手術へ移行した。腹臥位手術での簡単に良好な術野確保がなされることが手術そのものの難易度を下げ、この移行を加速的に進めたと推測されるが、側臥位手術にも利点とこだわりがあるはずである。側臥位手術あるいは腹臥位手術に強いポリシーをもつ各施設から、熱い論戦を交わしていただきたい。ただ、現在、側臥位を基本体位としている施設は限られているので、「側臥位派」に関しては指定とし、それに対抗し得る強い信念を持った「腹臥位派」の先生からの演題を募集する。
8)日本胸部外科学会/日本食道学会共同企画
「食道外科専門医試験合格を目指して」(指定)
- 企画趣旨
- 食道外科専門医試験はビデオ審査,筆記試験,口頭試問の三本立てで行われている。本セミナーはその概要と審査のポイント,過去問の解説を踏まえ,食道外科専門医を目指す若手外科医のレベルアップを目指す企画である。