第55回日本心臓血管外科学会学術総会 第42回日本呼吸器外科学会学術集会 第53回日本血管外科学会学術総会 第79回日本食道学会学術集会

会長挨拶

統括会長挨拶

分野会長(心臓)

分野会長(呼吸器)

第78回日本胸部外科学会定期学術集会 統括会長

近畿大学医学部 外科学教室 上部消化管部門 主任教授

安田 卓司

安田 卓司

この度、第78回日本胸部外科学会定期学術集会の統括会長を拝命し、大変光栄なことと身を引き締めつつ、鋭意準備を進めているところです。長い歴史を有する日本胸部外科学会で食道分野が統括会長を務めるのは、第11回の桂重次先生(東北大学)、第12回の中山公明先生(千葉大学)、第19回の赤倉一郎先生(慶応大学)、第53回の内田雄三先生(大分医科大学)、第65回の藤田博正先生(久留米大学)に次いで6人目です。また、1948年に端を発する学術集会も2025年の第78回で77歳、喜寿を迎えます。そしてこの回で統括会長制度は終わりとなり、以後は3分野会長制に移行していきます。そういう節目の統括会長を受け持つことの責務を十分に理解し、これまでの胸部外科の進歩・発展の歩みを止めることなく、未来に向けてより強く3分野が連携・統合し、世界に向けてさらに発信力のある学会へ成長すべく、その橋渡しができればと考えています。

学術集会のテーマは、「勠力共振(リクリョクキョウシン)」としました。実際の熟語は“勠力協心”で、「全員の力を結集して、一致協力して任務に当たること」という意味です。胸部外科治療の質が更に向上し、その治療成績と共に日本胸部外科学会が世界に向けて更に発展・発信していくには単に3分野が協力するだけでは不十分です。3分野の知恵と技術と創造力が互いに有機的に融合し、かつ共鳴し合うことで相加相乗効果を生み出し、その効果と影響力がアジアへ、そして世界へと拡がっていくことが必要と考えます。そこで、日本の胸部外科が互いに響き合いながら更なる飛躍を遂げ、世界への影響力を大きく向上させるという願いを込めて「協心」を『共振』に変え、テーマを「勠力共振」とした次第です。英語表記はそれらの意味を全て盛り込んで、“Advancing together with solidarity, collaboration, and resonance”としました。

ポスターは学術集会のテーマをそのまま具現化して頂きました。周囲の3つの波紋は各3分野からの発信と影響力を表し、それを繋ぐ三角形は3分野間の協調・連帯を表現し、それらの波紋がJATSのロゴマークを取り囲むことで3分野が一致協力してJATSの発展を支えていることを示しています。そして、JATSから拡がる大きな波紋は、3分野の生み出す波紋と融合しながら世界へ向けたJATSの大きな発信力と影響力を表現しています。ちなみにシルエットの人物像は各分野の会長です。

現在、分野会長(心臓)の湊谷先生(京都大学)ならびに分野会長(呼吸器)の伊豫田先生(東邦大学)と共に事務局およびコングレの方々と「勠力共振」の精神で鋭意準備を進めているところです。少数勢力の食道分野の者が統括会長をするということで少々不安なところがありましたが、湊谷先生、伊豫田先生、皆さん非常に前向き、かつ協力的で、自由に意見を出し合いながら、学会テーマの通りに協力してプログラムを検討させて頂いています。竹村統括会長がされた第77回の魅力的なプログラム構成や円滑な運営は非常に参考になりました。第78回でも上級演題と一般演題が被らないようにプログラムを組む予定です。また、大阪国際会議場という一つの箱で開催するメリットを生かして、領域横断や学会企画はメインの大ホール、心臓分野は10階の4会場、呼吸器分野は12階の3会場、そして食道分野は3階の1会場にできるだけ固定して、セッション間を自由に移動しながらより多くのセッションに参加できるように企画する予定です。こうすると3分野が分断化されて、学術集会テーマの「勠力共振」に反しているようですが、大事なのは各分野の会場が混在していることではなく、内容的に各分野が融合し、同時に参加して熱い議論を交わすことだと思います。現在、分野ごとのプログラム委員会で上級演題のテーマを練り上げているところですが、今回は領域横断的なテーマを多く盛り込む予定で、関係する複数の分野の先生が一堂に会し、その経験や技術を互いに共有して更なる成績向上につなげて頂ければと期待する次第です。いずれにしても、朝から夜まで忙しい位にセッションを梯子して勉強して頂き、全員懇親会も企画する予定ですので、そこで領域を超えて交流して頂き、その後は食道楽の大阪の夜を満喫して頂けたらと思います。

3会長共々、力と知恵を出し合い、「勠力共振」で皆様をお迎え、おもてなしさせて頂きます。多くの先生方の演題登録とご参加を心よりお願い申し上げます。

第78回日本胸部外科学会定期学術集会
分野会長 (心臓)

京都大学大学院医学研究科 器官外科学講座 心臓血管外科 教授

湊谷 謙司

湊谷 謙司

本原稿を書いている現在、統括会長の安田卓司先生、呼吸器外科分野会長の伊豫田明先生とともに、学術集会の成功を期して着々と準備を進めております。分野は異なりますが、その目標とする魅力的な学術集会の開催については完全に意見が一致しており、各大学の混成チームではありますがチームワークはすこぶる良好です。

COVID-19の影響によるWEBによる学会を含めると夥しい学会が国内外を含めて開催されておりますが、本学会は心臓血管外科分野における国内では最も重要な学会の一つであります。歴史的に重みがある本学会の学術集会ではありますが、大阪らしく、肩の力を抜いた本音で興味深い議論が行われるようなセッションや構成を準備していきたいと考えております。

学術集会に参加することで、日常臨床に役立つ、あるいは次世代の新しい技術の発掘に繋がるヒントが少しでも得られるような学会運営を心がけたいと考えています。ご批判は承知しておりますが、昨年の第77回に引き続き、分野ごとに組んだ上級セッションに多くの方が出席できるように、一般演題が上級セッションと重ならないようなプログラム構成を行います。学術集会で最も重要なことは積極的な意見交換です。忙しい中、全国から集まった若手からベテランまでが、会場の内外で熱意あふれる議論をし交流を深めることができるような学術集会の実現に皆様のご協力をお願い申し上げる次第です。

第78回日本胸部外科学会定期学術集会
分野会長 (呼吸器)

東邦大学医学部 外科学講座 呼吸器外科学分野 教授

伊豫田 明

伊豫田 明

この度、第78回日本胸部外科学会定期学術集会呼吸器分野会長を拝命しました東邦大学医学部外科学講座呼吸器外科学分野 伊豫田 明(いよだ あきら)と申します。東邦大学は1925年(大正14年)帝国女子医学専門学校として額田豊先生、額田晉先生によって創立され、来年創立100年という記念すべき年を迎えます。丁度その貴重な年に東邦大学として初めて会長を仰せつかることを大変光栄に思っております。

今回のテーマ『勠力共振-Advancing togerther with solidarity, collaboration, and resonance-』は、日本胸部外科学会の3領域が全員の力を結集し調和をはかりながら一致協力して活動することを目的としたテーマで、より高みを目指し領域を越えた活発な発表と未来を見据えた議論をすることで、先生方の診療に役立つ新たな知見が生まれることを期待しています。呼吸器分野の上級演題は現在、肺腫瘍、肺非腫瘍、肺移植、縦隔、胸壁/胸膜、手術手技/低侵襲手術/拡大手術/新技術の各分野に30名を超える先生方にプログラム委員としてご就任いただき、現在領域横断を含めた充実したプログラムを作成すべく会議を重ね、25を超えるシンポジウム, パネルディスカッション, ワークショップ, techno-academy, surgical colosseum, ディベートセッションを検討しております。

さらに、第77回学術集会から始まりましたAATS(American Association for Thoracic Surgery)/JATS International Thoracic Surgical Oncology Summit(ITSOS)はAATSのBoard memberの先生方とより身近に討論でき大変盛況でした。第78回学術集会におきましてもAATS/JATS ITSOSを継続して開催するべく準備を進めてまいりますのでご期待ください。

最後になりますが、このような機会をいただいた学会役員、会員の先生方に、心より感謝申し上げます。今後は統括会長の安田卓司先生、心臓分野会長の湊谷謙司先生と力を合わせて、魅力ある有意義な学術集会となるように準備を進めて参りたいと存じます。2025年、大阪で、多くの先生方、メディカルスタッフ、研修医、学生の皆さんにお会いできることを楽しみにしております。