第61回 日本胆道学会学術集会

会長挨拶

第61回日本胆道学会学術集会
会長 佐野 力
愛知医科大学 外科学講座(消化器外科)教授
佐野力

 この度、第61回日本胆道学会学術集会を2025年10月2日(木)、3日(金)の2日間にわたり、ウインクあいちで開催する運びとなりました。まずは、本会の開催をお認めいただきました海野倫明 前理事長先生、安田一朗 理事長先生をはじめ、理事・評議員の皆様、また、これまで本学会を支えてこられたすべての方々に心より御礼申し上げます。
 日本胆道学会の歴史は、1965年に設立された「胆のう造影研究会」に始まり、その後、胆道疾患全般にわたる問題を討議する場として発展を遂げてきました。第5回研究会からは「胆道疾患研究会」、第18回研究会からは「日本胆道疾患研究会」と名称が変更され、1987年に「日本胆道学会」として正式に設立されました。名古屋での開催は、第8回、第16回、第33回、第38回、第44回、第55回、第60回に続き、今回で8回目となります。
 特に第60回で還暦を迎えた本学会が、新たな一歩を踏み出す第61回学術集会を、再び名古屋で開催させていただくことは、私にとって大変な光栄であり、大きな責任を感じております。この機会を与えてくださった皆様に深く感謝申し上げます。
 歴代理事長である二村雄次先生、故近藤哲先生のご指導を受けて育った胆道外科医として、今回の学術集会を主催できることは、大変な名誉であり、その教えを受け継ぎ、胆道学のさらなる発展に貢献できるよう努めてまいります。
 今回のテーマは「熱く、深く語ろう胆道学」としました。肝胆膵領域においては、膵臓がんに続き、肝臓がん、そして胆道がんにおいても、切除適応や限界を示すボーダーラインの議論が活発になっています。また、切除不能な肝門部領域胆管がんに対する生体肝移植が先進医療の臨床試験として開始されるなど、新たな治療法が登場しています。さらに、胆道癌手術においてもロボット支援下の低侵襲手術が広がり、患者の負担軽減や術後の回復促進に寄与しています。これにより、胆道学における新たな治療選択肢が今後ますます広がることが期待されます。
 さらに、免疫チェックポイント阻害剤や包括的ゲノムプロファイリング(CGP: comprehensive genomic profiling)による癌治療の進展は、内科と外科の境界を曖昧にし、学際的なアプローチの重要性を高めています。本学術集会では、内科医と外科医が境界を越えて意見を交わし、胆道学の未来を共に築く場を提供いたします。シンポジウム、パネルディスカッション、ワークショップなどを通じて、最新の知見を深く探求し、熱意を持って議論を交わす機会を設けました。また、若手医師の活躍できるセッションを用意いたしました。”最後のピースは君だ”と学会ポスターにもありますように、胆道学のワンピースとして積極的な参加・活躍を期待しています。
 本学術集会は対面式での開催を予定しておりますが、特別講演や主題演題についてはオンデマンド視聴も可能とする準備を進めております。多くの皆様にご参加いただき、有意義な時間を過ごしていただけるよう、全力で取り組んでまいります。何卒、よろしくお願い申し上げます。