会長挨拶

第33回日本乳癌学会学術総会を、2025年7月10日（木）〜12日（土）の3日間、新宿京王プラザホテルと工学院大学で開催させていただくこととなりました。大変光栄に存じますと共に、その責任の重さを感じております。

本総会のテーマを「アジアと欧米の違い Bridging across the Pacific」としました。我々アジア人と欧米人とは、遺伝的および環境的な背景の違いから体型や体質が異なります。また、乳癌の診療体制も異なります。そのため、欧米で創出されたエビデンスは非常に貴重ですが、すべてそのまま外挿できない可能性があります。今回の総会に向けて、外科、内科、放射線診断および治療、病理、形成外科、緩和、医療情報などの領域で日本と海外の実態を調査しています。それをもとに両者の違いに焦点を合わせて議論したいと考えております。

薬物治療や画像検査が大きく進歩して手術をしない治療も現実味を帯びてきました。私は消化器外科からキャリアをスタートした腫瘍外科医であり、今でも手術は最も重要な治療法であると考えています。しかし、乳癌診療における手術の位置づけが変わる中、我々の存在意義や診療体制も変わっていくのかもしれません。日本と海外の診療の実態を比較することによって、時代に即した乳癌診療のあり方にも迫りたいと思います。

今回は、東京医科大学が医工連携を締結している工学院大学に新宿キャンパスを会場としてお借りすることができました。メイン会場の京王プラザホテルの隣に位置し、どちらの会場にも動く歩道を通って雨に濡れずに移動することができます。ご尽力いただいた関係各所にお礼を申し上げるとともに、これを契機に連携がますます強固になることを期待しています。

“アジアと欧米の違い”を考えることで、我々の、そして世界の乳癌患者のためになるような学会にしたいと考えております。医局員一同、皆様方のご参加を心よりお待ちいたしております。

どうぞよろしくお願いいたします。