第64回日本老年医学会学術集会 The 64th Annual Meeting of Japan Geriatrics Society

ご挨拶

第64回日本老年医学会学術集会
会 長:楽木 宏実
(大阪大学大学院医学系研究科 老年・総合内科学 教授)

 第64回日本老年医学会学術集会の会長としてご挨拶申し上げます。私が所属する大阪大学老年・総合内科学講座は、1976年に老年病医学講座として誕生しましたので、第1回学術集会の1959年より17年遅れていますが、半世紀近い私どもの教室の歴史は、この間の日本の老年医学の発展とともにあったと感じております。今回学術集会を担当させていただくにあたり、歴史を振り返り、未来に向けた老年医学のマイルストーンであったと思っていただける集会を目指したく存じます。
 学術集会のテーマは「幸福長寿実現のための老年医学:知と技の結集」です。高齢者が単なる長生きである「長命」ではなく、元気で生き生きとした「健康長寿」、さらには老いても幸福感をもって生きる意味での「幸福長寿」を目指す医学・医療の推進が喫緊の課題となっています。この分野は、生命や人体の科学を中心とした従来の医学の枠を超え、高齢者が生きる社会全体が対象となる学問分野です。実際、老化制御や若返りすら視野に入れた基礎研究から、高齢者が今を幸福に生きるための科学や技術の革新まで、いかに医療・介護に応用していくか、社会全体に実装していくかを見据えた活動が日進月歩の勢いで展開されています。このような現状と未来を表す形で、開催テーマを決定しました。
 私が日本老年医学会理事長時代に策定し2018年6月に発表しました「健康長寿達成を支える老年医学推進5か年計画」も残り1年となる時期での学術集会になります。次の5か年計画に向けた準備に向けても大事な位置づけの学術集会になります。超高齢社会をめざすための医療・看護・介護・福祉、更には高齢者特有の病態に関する基礎から臨床にわたる広範な研究分野について、知と技を結集した最新の報告と討論が行われ、その成果を社会に発信・還元する絶好の機会とするよう努める所存です。
 なお、2021年6月の段階ではまだCOVID-19感染拡大を制御できていない状況ですが、2022年6月には是非とも皆様に大阪にお越しいただき、学術面だけでなく、大阪の食と文化も満喫いただけることを願っております。